Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

TポイントからVポイントへ、曲がり角を迎えるポイント経済圏

「さよならTポイント」、国内最古参のポイントプログラム「Tポイント」が消滅し、三井住友グループが手がける「Vポイント」に統合されました。

「Tポイントはお持ちですか」、Tポイントが登場してポイントを意識するようになったことを思い出します。時代を先取りした新しいサービスといっていいのでしょう。

Tポイントの会員データ分析から企業は何を知るのか - ZDNET Japan

 個人データが容易に集まるようになり、ビッグデータ活用の先駆けであったといってもいいのでしょう。それによってマーケティングが変わり、消費スタイルを変えていったといってもよさそうです。

 

 

 メディアの注目の的であった「蔦屋書店」も当時の勢いはなくなってしまったようです。

「さよならTポイント」、衰退の背景に屋台骨の難題 TSUTAYA不振に「挽回策」の蔦屋書店も拡大せず | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン

 隆盛を誇ったTポイントも、楽天や通信キャリアのポイントサービスに駆逐され、今に至ります。お膝元で上手くデータ活用できなかったということなのでしょうか。

 一方で、Vポイントに統合されたことで新たなポイント経済圏が誕生し、各社の囲い込み競争がより一層激しくなるのではないかとも言われます。

「青と黄色のVポイント」で変わる事、変わらない事 さらに競争が激化する「共通ポイント」サービス | 金融業界 | 東洋経済オンライン

 そのVポイントが、SBI 証券のクレカ積立サービスのポイント付与条件を大幅に引き下げ、改悪と利用者の不平を買う事態もおきているようです。

「このタイミングでのポイント付与条件の改悪は、商業道徳上いかがなものか」。

新NISA特需の分捕り合戦を続ける金融業界。個人投資家にとって、銀行口座や証券口座からの引き落としと比べてポイント付与などの魅力があるクレカ積立は人気を集め、金融機関にとっても主戦場となった。(出所:日経ビジネス

SBI・三井住友、新NISAのクレカ積立「改悪」 かすむ顧客本位:日経ビジネス電子版

 楽天証券楽天ポイントを武器にNISA客の囲い込みを拡大させたことで、血で血を洗うような激しい競争になったようです。ポイント付与率の高さを競い、一方で体力をすり減らす、無謀な戦さのようです。レッドオーシャンはさけるべきと知りながらも、無理を承知で突き進んでしまうというところなのでしょうか。ポイント経済圏も曲がり角にあるように感じます。そろそろ斬新なアイデアによる変化があってもよそさそうな気がします。

 

 

 楽天が傘下にある決済アプリを再編するそうです。乱立していたアプリを再編し、モバイル事業での躓きから反転攻勢に出るといいます。

楽天グループ、乱立アプリ再編 狙うはスマホ決済「楽天ペイ」誘導 - 日本経済新聞

フィンテックサービスとの連携を加速し、AI 人工知能を使って次世代アプリにする」

 スマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリに「楽天ポイント」、電子マネー楽天Edy」の機能を集約、ポイント利用にとどまっているユーザーに決済サービスを活用してもらうといいます。

効率よくポイ活をしようと思ったら、いずれかの共通ポイントに狙いを定め、日々の暮らしの買い物やサービスの利用を、そのポイント経済圏の中でやりくりするのがいい。とはいえあまり熱心になり過ぎると、わざわざポイント加盟店まで行って購入したり、キャンペーン期間中にまとめ買いしたりと、ポイント重視の行動になってしまいがちだ。(出所:東洋経済オンライン)

 良かれと思ったのでしょうが、グループ内に色々なサービスが乱立するようでは非効率と断じても過言ではないような気がします。いくら役立つサービスだったとしても、こんな状態では選択に悩み、場合によってはそのサービスに縛られてかえって不便なことになりそうです。

 それはサービスを開発する企業においても同じで効率が悪すぎて生産性を悪化させることになってはいるような気もします。今あるサービスをより意味あるものへと変えていく時ではないでしょうか。

 

 

「参考文書」

「楽天ペイ」「楽天ポイントカード」「楽天Edy」アプリを統合 “史上最大級のキャンペーン”も実施(1/2 ページ) - ITmedia Mobile

 

ポイント経済圏、苛烈な競争、ドコモとアマゾン提携、楽天の苦境続く

 NTTドコモが、アマゾンジャパンと決済やポイント事業で提携すると発表しました。アマゾンが、ネット通販で支払い方法を問わず、他社のポイントをためたり使ったりできるのは初めてのことだといいます。

ドコモ、Amazonと決済・ポイント連携 経済圏拡大へ - 日本経済新聞

「dポイント」がアマゾンでのショッピングでもたまり、利用もできるようになるそうです。ただポイント還元率を高めるにはドコモの回線契約が必要になるとのことです。

 

 

 ドコモ経済圏に国内最大のネット通販を組み込み、利用者の囲い込みにつなげる狙いがあるそうです。ポイント経済圏で、楽天が先行し、ソフトバンクスマホ決済「PayPay」を軸に猛追、KDDIはローソンをグループに引き入れテコ入れを急いでいるといいます。

 少子化、人口減でこの先、携帯電話の契約者増は見込めず、ポイントを軸にした経済圏の拡大競争がますます激しくなっているようです。

「非通信」事業での成長が各社共通の課題になっているといいます。

 KDDIは約5000億円を投じ、ローソンへのTOB 株式公開買い付けをはじめました。

KDDI髙橋社長が激白「ローソンTOBは垂直統合戦略上の必然」:日経ビジネス電子版

「グローバルリアル×テックコンビニエンス」という戦略をローソンは掲げて、技術をフル活用して「リアルテックローソン」の実現を目指すそうです。竹増社長は、「テックカンパニーになりたい」といって、本気で「GAFA“L“」を目指すと公言します。

 世界のITプラットフォーマーに成長したアマゾンは、「グローバルな物流体制」「情報通信技術」、「商品計画」など競争力を磨き、常に新たなビジネスの開拓に勤しみ、そのための開発にも惜しみなく投資を続けています。

 「GAFA“L“」を本気で目指すローソンをKDDIが支援するのはありなのかもしれません。これもまた新規事業ということでしょうか。

 

 

 ドコモは、来たる「6G」通信を見据え、技術開発に余念がないようです。人間の感覚をネットワークで拡張可能にする人間拡張基盤の開発を進め、モノに触れた時の触覚を共有する技術「FEEL TECH™」を公表しました。

 この他にもゴルフ場のサブスクサービスを始めたり、「非通信」事業を強化しようとします。


www.youtube.com

 一方、楽天は携帯事業の赤字に苦しんでいます。構造改革の途上のようです。血で血を洗うレッドオーシャンに後発で参入したからでしょうか。

楽天Gのドル債、発行額3000億円規模に増額-高利回りで需要強く

 ポイント経済圏の強みもこの市場では活かすことができないようです。勝者総取りでスケール争いに勝つという論理が通用しないのはなぜなのでしょうか。摩訶不思議です。

 

 

 楽天がキャッシュで苦しむ一方、米アマゾンのキャッシュが積み上がり、昨年のフリーキャッシュフローは過去最高の320億ドル(約4兆8500億円)を記録し、2024年はその2倍近くになるという予測もあるそうです。

アマゾンの膨らむキャッシュ、株主還元に期待の声-株は最高値に接近 - Bloomberg

 創業以来30年間、キャッシュを事業に投入してきたといいます。同業他社が自社株買いする中、それより投資を優先させてきたそうです。

AI関連のデジタルサービスに対する爆発的な需要を見込んで、今後15年間でデータセンターに1500億ドル近くを投じる計画だ。(出所:ブルームバーグ

 アマゾンはなお成長の途上にあり、そのためには支出を続ける必要があるそうです。

AmazonのCEO、生成AIがクラウド以来の最大の技術革新になる可能性を指摘 - ZDNET Japan

 同じような事業を営むプラットフォーマーでありながら、アマゾンと楽天は似て非なるもののようです。

 

 

「参考文書」

ドコモがAmazonと“dポイント”で提携の背景 楽天やPayPayとの違いはどこにある?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ) - ITmedia Mobile

「日本版アマゾン」が誕生?KDDI×ローソン×三菱商事TOBの“真の狙い”を考える | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン

綾瀬はるかさんが世界初の技術「フィールテック™️」を初体験!NTTドコモ 新CM 「あなたと世界を変えていく。」 フィールテック篇 | 株式会社NTTドコモのプレスリリース

NTTドコモ、ゴルフ場30カ所のサブスク 月8778円から - 日本経済新聞

楽天モバイル、黒字化できるか 参入4年、800万回線達成カギ―ニュースQ&A:時事ドットコム

(写真:NTTドコモ

 

歴史的な円安、二極化する企業業績、活かされない円安効果

「円安は日本にとっても良いわけがない」とファーストリテイリングの柳井社長が決算説明会でそう語ったそうです。さらに「世界の中の日本を考えると円安になることを喜ぶような人はおかしいのではと思うし、あってはならないと考えている」と述べていました。

ファーストリテイリングの柳井正氏、円安「日本にとって良いわけがない」 - 日本経済新聞

世界中でインフレが進んでいる。給料を改善しないと成長しないのは当然だ。インターネットやスマートフォン、生成AIが登場した『超情報化社会』では世界中で情報がすぐに伝わり、人もすぐに移動する。小売業の問題は人海戦術であることだ。もっと人を大事にして、小売業こそ少数精鋭でやらないとならない。(出所:日本経済新聞

 業績は相変わらず好調のようです。好業績と相まって柳井社長の言葉の説得力がさらに増します。

 

 

歴史的な円安

 円安が進んでいます。155円もありそうだといいます。イランの報復が始まり中東情勢がさらに深刻化しそうです。影響があるのでしょうか。

 材料を輸入に頼っていてはますます苦しくなりそうです。つぶれる会社が増えそうです。色々意識を変えていかなければならないのでしょう。

訪日客「旅費も食費もフィリピンより安い」 円安加速で34年ぶり153円突破 米国産ステーキ店“仕入価格が約10年で3倍”|FNNプライムオンライン

「安いニッポン」、柳井社長のいわんとすることがよくわかります。円安効果を活かすことができれば、やがて円高に転じるのが経済の摂理ですが、そうならないのは従うべき摂理を無視しておかしなことをするからなのでしょうか。

 過度な円安、こうしたピンチのときこそ、機会にすべきなのでしょう。「ピンチはチャンス」といいます。

進む二極化

 会社の業績も二極化しているといいます。円安効果もあって絶好調な会社がある一方で、不調にあえぐ会社も多いといいます。ユニクロなど好調な会社の戦略を完全模倣できれば、苦境から脱すこともできそうですが、そうできない理由はあるのでしょうか。

 「超情報化社会」、インターネットに生成AI、正解がどこにでもゴロゴロしていそうですが、それすら活かすことができていないようです。

 

 

 世の中が変わり、様々なことが激しく変化する時代といわれます。これまでと同じ意識、思考ではもうだめなのかもしれません。

過剰に「正解」が供給される時代に何が価値になるのか?|山口周

 ありていの正解を模倣するのではなく、問題の本質を見抜き、選ばれる正解に対して、価値を与える作業が必要になっていそうです。タイパにコスパ、過度に効率性を求めてはいては難しいことなのかもしれません。今ある風潮が弊害といってよさそうです。

「ピンチがチャンス」、歴史的な円安の今、このピンチをチャンスにすべきなのでしょう。実は溢れるほどに機会があるのかもしれません。

 

 

「参考文書」

楠木建氏が解説 アイリスオーヤマの『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』 | 日経BOOKプラス

 

IEの基礎

IEの基礎

Amazon

 

課題多いアンモニア発電は何のため、エネルギー基本計画は誰のため

 東南アジアは脱炭素目標を達成するため、1年間に新設する再生可能エネルギー発電の能力を「7〜12倍」に増やす必要があるそうです。この実現には2050年までに9300億ドル(約140兆円)の投資が必要になるといいます。

東南アジア、再エネ7〜12倍に拡大急務 脱炭素目標へ - 日本経済新聞

 EDB シンガポール経済開発庁とマッキンゼー&カンパニーが、まとめたレポートにそうあるといいます。

 

 

 昨年のCOP28で首相は、世界の国々が多様な道筋でネットゼロという共通の目標を目指すことを訴えました。しかし、アンモニア混燃による石炭火力発電を積極活用しようとし、国内だけでなく石炭への依存度が東南アジア、インドなどにも広めようとしていると批判を浴び、国際NGOから「化石賞」を受賞したことが思い出されます。

 首相の主張と東南アジアの現実ではやはり違いがあるということなのでしょうか。

アンモニア発電

 アンモニア発電を推進するJERAを中心とする企業や団体は、「混焼」という言葉が誤解を与えるとし、「転換」に改めることにしたそうです。いずれにせよ、批判をかわし政府の支援もながら、JERAなどはアンモニア混焼の実証実験を進め、2027年度には商用運転に切り替え、2030年代に混焼率50%を達成させ、2040年代のアンモニア100%による「専焼」に移行する計画といいます。

JERAとIHI、石炭火力発電の脱炭素を目指しアンモニア混焼の実証開始 | 日経クロステック(xTECH)

 燃焼時に二酸化炭素を排出しないアンモニア発電は、LNG液化天然ガス火力発電以来の技術革新と、JERAは主張し、世界初の取り組みに胸を張っているそうです。

 しかし、アンモニア天然ガス由来で製造され、この過程において発生する二酸化炭素は、天然ガスをそのまま火力発電に使った場合の2倍に達するという指摘があるそうです。また発電に使用するには膨大な量のアンモニアの確保なども課題といいます。

独自の脱炭素化戦略「アンモニア発電」 JERAなど世界に先行:日経ビジネス電子版

 アンモニアバリューチェーン構築において日本は強みがあるそうです。さすれば、こうした矛盾や課題の解決も、これを推進するJERAなどの企業群によって可能ということなのでしょうか。金銭的な国の支援なく進めていただきたいものです。リスクを乗り越えることできなければ、税金がムダに使われることになってしまうので。

 

 

企業献金

 政治における企業・団体献金が問題視されています。政府自民党献金禁止に反対し、また経団連も同様といいます。一方、「利益誘導につながりかねないから、認めない方がよい」と国民は捉え、そう思う人が朝日新聞世論調査では79%に上ったそうです。

企業団体献金「容認せず」8割 理解得られぬ首相主張 朝日世論調査:朝日新聞デジタル

 しかし、首相は最高裁判決を用いては言い訳します。「企業の政治活動の自由」だそうです。

 

 

 防衛力強化でもよく名を聞くようになった日本の重工業、三菱重工IHI。防衛関連だけでなく、ロケットや火力発電用タービンなども主力事業しているようです。

三菱重工・IHI・川崎重工「水素かアンモニアか」分かれる選択 脱炭素とアンモニア発電(下) - 日本経済新聞

 献金によって政策が歪められていることはないと信じたいのですが、どうなのでしょうか。まさかと思いますが、これが世界の動きとシンクロすることができない理由であれば残念なことです。

 

 

「参考文書」

鈍い再生エネの伸び、気候目標達成に程遠く インフラ不足が課題 | ロイター

 

電気料金値上げ、エネルギー危機だった欧州では電力価格がマイナスに、その差は何か

 北欧 フィンランドでは電力のスポット価格がマイナスになったといいます。豊富な再生可能エネルギーなどクリーン電力によるものといいます。フランスやスペインでも電力価格がほぼゼロに近づき、マイナス価格も予測されているそうです。

欧州で原発の運転停止相次ぐ、再生可能エネルギー急増で需要低下 - Bloomberg

化石燃料に依存しない電力の生産はかつてないほど急がれ、欧州の一部では依然として原発を電力政策の中核に据えている。だが、再生可能エネルギーの急増と電力価格の低下で、原発の運転にしわ寄せが及んでいる。(出所:ブルームバーグ

 エネルギー危機以来、風力や太陽光の発電量が増加し、また節電の取り組みもあり、需要が減じたことで、原子力と石炭火力のシェアがいずれも低下することになったそうです。再生可能エネルギーの促進が、欧州の原子力発電業界に追い打ちをかけているといいます。

 

 

 日本では政府補助が終わり、電気料金が値上げになります。この違いは政府施策の差なのでしょうか。

倒産や事業撤退続く新電力

「新電力」の苦境が続き、倒産や事業撤退が加速しているそうです。資源価格高騰で電力の調達コストが上昇したのに加え、今年度から始まった「容量拠出金」の負担などが影響したようだといいます。

「新電力」119社が倒産・撤退 資源高に新拠出金、低料金維持できず | 毎日新聞

「容量拠出金」が今年4月から始まりました。電力供給の安定に向け、火力発電や原子力などを整備して将来の供給量を確保する「容量市場」が整備されたことによるものといいます。

 新電力など小売事業者がこの「容量拠出金」を負担することになったそうです。新電力が利益を出すために値上げをしようとすると、大手事業者と同じような料金になり新電力の魅力がなくなってしまうといいます。海外を模した制度のようですが、欧州のような電力価格低下が起こらないことが不思議です。制度とその運用に問題があるということなのでしょうか。

 

 

原発推進で一致する大手電力と政府

 一方で、既存の大手電力は原子力への依存を強めようとしているのでしょうか。関西電力の榊原会長が原発について、新増設やリプレースは当社のような会社が先頭を切る必要があると述べたといいます。

関西電力の榊原会長「原発のリプレース、先頭切る必要」 - 日本経済新聞

関電は運転可能な原発7基がすべて稼働している。ただ、4基の廃炉計画があるほか、老朽化も進んでいる。(出所:日本経済新聞

 「原発が1桁パーセントで本当に安定供給できるのか」と榊原会長は語り、AI人工知能の普及が進み、データセンターの需要が増していることも挙げて原発の重要性を指摘したそうです。

 政府施策を丸のみにして語っているのか、それとも政府が大手電力の擁護しようとしているのか、そのどちらなのでしょうか。

 その大手電力はカルテルなどの不祥事を起こし、また新電力の顧客情報の不正閲覧なども働いていました。大手電力と自民党は同じようなものなのでしょうか。何だかなと感じます。

 これではいつまで経っても電力価格が競争によって低下することもなさそうですし、再生可能エネルギーも拡大することはないのかもしれません。見直される第7次エネルギー基本計画が心配になります。

 政府自民党は一体どこを見て仕事をしているのでしょうか。もっともらしい口実するのはもう止めてもらわなければなりません。

 

 

「参考文書」

フィンランド、電気料金がマイナスに…新原子炉稼働、雪解け水、国民の節電などが要因 | Business Insider Japan

容量市場とは?容量拠出金とは?仕組みや背景、影響について解説|でんきナビ|Looopでんき公式サイト

 

インフレ環境下で見直されるエネルギー基本計画、社会の要請、国の思惑

 エネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」が3年ぶりに見直されるといいます。

政府「エネルギー基本計画」見直しへ 電源構成の目標が焦点 | NHK | 経済産業省

3年前とは国際情勢も異なるものとなり、ビジネス環境もまた変化しています。これらも鑑みた上で、この先何がベターであるのかを指し示すことができればよいのでしょうが、現在の自民党岸田政権下ではそれも期待できず、偏ったものになりそうな気もします。

 

 

 首相が突如原発政策の方針転換したことは記憶に新しいことです。またCOPの会議の場でもアンモニア発電を活用する力説したことも思い出されます。こうした首相の発言がエネルギー基本計画に反映されても不思議ではないのでしょうが、それでよいのかとの疑問が残ります。社会の要請、そして民意を網羅していくのが政治の務めではないでしょうか。

求められる再エネ、アマゾンの警告

 日本はいまだ発電の70%超を化石燃料に依存し、また今後も石炭やガス火力発電を温存させる計画といわれています。一方、多くの企業が、社内の排出削減目標や顧客の要求を満たすためにグリーン電力を必要としていますが、十分に利用できるクリーンエネルギーの総量が足らず、企業にとって日本は難しい市場となっているといいます。

日本は再エネ供給不足、企業ニーズ満たさずとアマゾン-化石燃料依存 - Bloomberg

 世界最大のクリーン電力購入企業でも米アマゾンが日本のエネルギー政策に関して、民間部門への再生可能エネルギーの供給ペースが十分でないとの判断を下しているそうです。

アマゾンのような規模の企業が日本で大規模な電力を調達できないのであれば、増大する需要を満たすのに十分なペースで新たなプロジェクトを稼働させる方法がうまくいっていないということになる。(出所:ブルームバーグ

 AWSのアジア太平洋担当エネルギー・環境政策責任者がこう語り、「日本には再生可能エネルギーを求める企業がたくさんある。こうした需要を満たすには供給を増やす必要がある」と、都内で今月開かれた自然エネルギー財団のイベントで主張したといいます。アマゾンに依存している現実からしても、顧客の声として真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。

 

 

 円安が続き輸入インフレで化石燃料も高値で購入を続くことになります。それに紛争の影響も加わり、価格の問題だけでなく安定した供給確保も課題となっています。

 こうした現状を口実にして政府は原発を推進したいのかもしれません。しかし多くの課題を抱え、いまだ解決の道筋は明瞭ではないようです。能登半島地震では、志賀原発で変圧器破損による油漏れの事案が発生し、大きな規模の地震に対する脆弱性が露呈したのではないでしょうか。再稼働においては、東電柏崎刈羽原発を政府の思惑通り進めることはできるのでしょうか。近隣住民の合意は避けることができないハードルになっているはずです。

 風力発電など再生可能エネルギーに課題がないというわけではないでしょうが、社会の要請からしても、その課題の解決をはかりつつ、導入拡大を進めるのが最良のように思えてなりません。

 

 

 それとも国内重工業を保護したいとの思惑があったりするのでしょうか。防衛産業とかぶる企業も多そうです。また再エネ拡大では、中国製に頼らざるを得なくなることにわだかまりがあったりするのでしょうか。

EVよりバッテリーとソーラーが深刻-中国の過剰生産能力を分析 - Bloomberg

 さて国はどんなエネルギー基本計画を作るのことになるのでしょうか。

 色々異次元なことが増え、正常化しなければならないことも多そうです。エネルギーもそのひとつといっていいのかもしれません。

 

 

「参考文書」

震災を経て改めて問われる日本のエネルギー計画 |WWFジャパン

世界のCO2排出、80%が57の化石燃料・セメント生産者に起因=報告書 | ロイター

歴史的利上げでも円を救えぬ4つの理由、金利や変動率の低空飛行響く - Bloomberg

白神山地のブナ林、温室ガスたっぷり吸収|世界遺産|青森ニュース|Web東奥

 

2024年問題、たかが物流、されど物流、混乱は回避できるか

「2024年問題」、時間外労働に上限規制が4月から課されるようになり、様々な業界で影響を受けるといいます。物流業界においては、輸送力の低下・停滞による納期遅延、賃金が減って人手不足に拍車がかかることが懸念されているそうです。

 対策を積極的に進める企業がある一方で、対応の遅れが目立つところもあるようです。

24年問題、地方物流に試練 コスト増、対応に遅れも―来月から運転手に残業規制:時事ドットコム

「県の農林水産品の競争力がなくなってしまう。輸送コストが上がる」、青森県の宮下知事はそう危機感を示しているといいます。運転手が1日で運べる距離が短くなり、遠隔地ほど輸送日数や人件費の増加につながる恐れがあることを理由にあげているです。

 

 

 一方、秋田では青果輸送関係者の協力が実を結び、ムダ取りが進んで運転手の拘束時間低減につながっているといいます。物流ITベンチャー「Hacobu」との実証実験の成果で、パレット利用の徹底で手作業を減らし、従来は運転手が1人で担っていた集荷と幹線輸送を分離、複数の集荷場所から積み荷を集約するハブ拠点も設けることで達成できたといいます。ただこうした対策で約27%のコスト増となるそうで、価格転嫁できるかが課題だといいます。

モーダルシフト、デジタル化、大企業の事例

 キリンビールの横浜工場では、ドライバーの確保と運送会社の安定的な収入を目的に支払う運賃を値上げ、料金体系も重量、距離などから運賃を決める「個建て制」から重量、距離に関係なく車両単位で運賃を求める「車建て制」に移行するそうです。また長距離輸送の一部を、鉄道や船舶輸送に切り替えるモードるシフトで、トラックの利用台数削減や環境負荷軽減につなげるといいます。

 花王は 「製造と物流の一体化」を目指しデジタル化を進め、製品の入庫から出庫までの完全自動化も実現、トラックの工場内滞在時間の半減に成功したそうです。

トラック滞在時間半減、花王が見据える2024年問題の先 | 日経クロステック(xTECH)

 トラックの工場の入退場を自動化し、トラックが入場したことを認知すると、運ぶべき商品を載せたパレットを倉庫の荷物の受け渡しスペースに自動で搬送、パレットごとトラックに積み込むそうです。荷は前日にパレット上に用意されるといいます。これによって1〜2時間かかった時間が、30分程度に圧縮できたそうです。

 花王秋田県同様物流ITベンチャー「Hacobu」のトラック予約システムを利用しているといいます。

 

 

小売

 スーパーマーケットなど小売では今なお対応策の模索が続いているのでしょうか。「そうてつローゼン」は店舗でのトラックの滞在時間を削減するため、納品時間を調整したり、納品場所を整理整頓するなどしたりしているそうです。デジタル化の活用が十分ではないということなのでしょうか。

運賃値上げ、隔日配送…足元から進める連携 配送員の負担軽減も 物流2024年問題 | カナロコ by 神奈川新聞

 生協パルシステムは、物流センターの配送ルートを見直したり、複数台で回っていたルートを最小限に抑えて一定数のトラック台数を削減、一時的に商品を保管する物流拠点も増やすなどの対応をしているといいます。

建設業界

 建設業界では本業の時間外労働の上限規制の他に資材輸送でも2024年問題を抱えているといいます。建設資材は重く大きく、特に鉄鋼資材は重厚長大なものが多いといいます。また大都市圏の現場は資材を置く場所が少なく、資材製造元から現場までこまめに運送することを強いられていたそうです。

止まらない建設会社の倒産 業界にのしかかる2つの2024年問題:日経ビジネス電子版

 清水建設は中間物流拠点を開設、運送回数と荷待ち時間を大幅に削減し、物流大手のセンコーは、建設資材を物流拠点で一時保管した後、工程に合わせて現場に運送する仕組みを構築するそうです。これまでの商慣行を抜本的に見直すことが求められているといいます。

 

 

 どの業界においても抱える課題に差異はあっても、解決策はおおむね同じ方向に向かっていそう気がします。どの業界にあっても物流はサプライチェーン 供給網の一部であって、それは荷主と運送業者で構成されることは共通なのでしょうから。

 古くから「たかが物流、されど物流」といわれていました。ムダの塊であるにもかかわらずおざなりにされる傾向があったからでしょうから。そんな中、早くから着目し改善を進めてきた企業もあります。「ロジスティクス」という言葉が流行った時期でしょうか。またトータルリードタイムをいかに圧縮するかということで物流を含めて改善を進めた事例もあります。

アマゾンの事例

  アマゾンは今では物流に関しては先駆的な企業になっています。米スーパー大手のウォルマートの物流を徹底に研究していたと聞きます。一見無関係そうなに思えますが、類似事例を分析することで誰もまねできない物流システムを作り出したのでしょうか。

アマゾンのジェフ・ベゾスがウォルマート創業者から盗んだアイデア:日経ビジネス電子版

ウォルマートは自前の物流システムを構築することで、時間だけでなくコストも削減しました。物流コストを低減することで、「仮に同じ商品を同じ売価で売ったとすれば、わが社は他社より1.5~2%も余分に利益が出る計算になる。(出所:日経ビジネス

 

 

 ウォルマートが扱う商品数はとてつもなく膨大です。それらの多くを自社の物流センターから直接補充するという仕組みを構築し、各店舗がコンピュータで商品を発注してから実際に納品されるまでにかかる日数が他社においては5日以上かかるのに対し、ウォルマートは早々に2日を実現したといいます。

 そして今では、ウォルマートとアマゾンは熾烈な物流競争を繰り広げるまでになっています。

 従来からの常識を疑う。それでも過去の良き事例を分析し、まねてさらに改善をかける、それが独創性になって新しいものが生まれるのかもしれません。

 物流の2024年問題も単に物流の問題と考えずに、「物流と商流」として捉え、常識を疑えば、もっともっと改善できる余地がありそうな気がもします。