Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【エネルギー安全保障と脱炭素】化石燃料需要を低減する実効性ある移行計画が求められている

 

 APEC アジア太平洋経済協力会議の首脳会議がタイのバンコクで、G20サミットに引き続き開催されます。読売新聞によると、持続可能な成長や環境目標の達成をうたう「バンコク目標」を採択する見通しとなったそうです。

【独自】APEC首脳会議、環境目標の達成などうたう「バンコク目標」採択の見通し : 読売新聞オンライン

 APECで環境課題を中心とする包括的な目標をまとめるのは初めてになるといいます。 ロシアによるウクライナ侵攻以来、国際会議での合意形成が困難になっている現実から、成長や環境など各国が賛同しやすいテーマを目標として採択し、存在意義をアピールする狙いがあるといいます。

草案では、〈1〉異常気象や気候変動などの課題への取り組み支援〈2〉環境政策と補完し合う貿易と投資〈3〉天然資源の保全や管理の促進――といった方策を盛り込んだ。(出所:読売新聞)

 こうした気候変動対策から和平への道を模索するのが、現実的なアクションなのかもしれません。難しいことかもしれませんが、あるべき姿のような気もします。

 

 

 ウクライナ侵攻によって生じたエネルギー危機は受け入れがたいことですが、現実的な解を模索しなければならなくなりました。また逆にこうしたことで、温暖化ガス排出実質ゼロをめざす脱炭素社会の実現の機運がより高まってきたともいえそうです。

脱炭素と事業成長を両立 「移行計画」が不可欠に: 日本経済新聞

 記事は、脱炭素をどうやって実現するのかという「移行計画」について株主に賛否を聞く「セイ・オン・クライメート」と呼ぶ仕組みを要請している英国の運用会社の事例を紹介しています。

「確実にネットゼロにつながるものではない懸念がある」との理由から、いくつかの企業の「移行計画」に対して、反対票を投じているそうです。

 その背景には、カーボンニュートラルを宣言する企業が急速に増えていることがあるといいます。見かけ倒しの宣言なら何ら意味を成し得ず、機関投資家などがその実効性が厳しく問うようになったといいます。

出光興産は、2030年までに化石燃料資産を今よりも2割圧縮する計画を公表したそうです。日量約30万バレル相当の原油処理能力を削減するほか、石炭鉱山の生産規模を縮小するそうです。

出光、2030年までに化石燃料資産を2割圧縮-石炭鉱山の生産縮小も - Bloomberg

 オーストラリアに権益を保有する石炭3鉱山に内、2つを終掘させ23年度以降の生産を見込んでいないといいます。主力のボガブライ鉱山についても30年代半ばくらいには減っていくことになると明らかにしたといいます。実需と照らし合わせての対応になるのでしょうが、実効性を高めるためのアクションが求められるのでしょう。

 

 

 インドネシアで開催されたG20サミットに合わせ、世界の経営者が集う会議「B20」が開催されたそうです。

 この会議の「エネルギー・持続可能性・気候」セッションの共同議長を務めた三菱重工は、再エネを推進してきた欧州が「理想的な姿と現実をどう折り合いを付け、解決していくかに議論は動いている」と指摘し、再エネ一辺倒が現実的ではなくなっているといいます。

インタビュー:アジアの脱炭素は段階的に、CO2抑制燃料で火力活用=三菱重社長 | ロイター

 また、アジアの新興国は経済成長に多くの電力を必要とするため、環境に優しい燃料を使った既存発電設備の活用が必要とし、「既存の石炭火力にアンモニアを混焼するのが1つの選択肢」といいます。

 将来的には再エネを拡大するにしても、移行期間は必要でしょうし、そこで水素転用も可能なアンモニアをはさむことは現実的な解なのかもしれません。実際、欧米も将来的に水素を混焼できるガスタービンを購入しようといるといいます。

(資料:JERA)

  脱炭素、強いて言えば、脱化石燃料を多くの国で進めることができれば、ロシア憎しという訳ではありませんが、それだけロシアへの依存度を下げることが可能となります。それによって、その影響力を薄めていくこともできそうです。こうしたことを通してロシアの変化を待てば、和平は近づくのかもしれません。長い時間を要しそうですが、脱炭素も一気に進むことはないので、着実に進めるしかありません。

 脱炭素を緻密に計画し、実行性あるものにできるのであれば、エネルギー安全保障も向上するのでしょう。そのためにはまだやるべきことはまだまだありそうです。

 

【仮想通貨期待の星FTXの破綻】なぜ不正を犯してまで急いでしまうのか

 

 米アマゾンの創業者 ジェフ・ベゾス氏は、1240億ドル(約17兆4000億円)にも及ぶ資産の大半を慈善事業に生前寄付することを計画していると明かしたといいます。

ジェフ・ベゾス氏、資産の大半を慈善事業に生前寄付へ-CNN - Bloomberg

ベゾス氏は、資産のほとんどを気候変動対策事業と、社会的・政治的分断に対抗して人類を結束させることができる人々に寄付するつもりだとCNNに語った。このような意向を明言したのはこれが初めて。(出所:ブルームバーグ

 

 

 膨大な資産は生きている間に使えなければ、意味がないということに気づいたのでしょうか。

 かつての大富豪たちも墓場にお金をもっていくことはできないとして生前に慈善活動に寄付しています。カーネギーホールの鉄鋼王アンドリューカーネギーや石油王のジョン・D・ロックフェラーなどなど。ロックフェラーはロックフェラー財団を興し、その後は慈善王ともいわれるくらいに熱心になったそうです。

 こうした事例があるにも関わらず、お金に執着する輩が多くのいるようです。

 世界的な暗号資産(仮想通貨)交換業者であるFTXトレーディングが経営破綻したこでが世界が震撼しているようです。

仮想通貨業者「FTX」破綻、リーマン型かエンロン型か: 日本経済新聞

 記事によれば、負債総額は数兆円規模とされ、急成長する仮想通貨ビジネス界で過去最大の破綻劇となったといいます。連鎖的な経営悪化から「仮想通貨界のリーマン・ショック」との指摘がある一方で、2001年のエンロン事件のような巨額不正会計の色彩もあるとの声も上がっているそうです。

 ビットコインなど仮想通貨の市況は総崩れとなり、「仮想通貨界のリーマン危機」といわれるような連鎖的な信用不安が発生、全体の時価総額は25%も下落、21年11月の直近ピーク時と比べると市場規模は約4分の1に縮小したといいます。

 一方、サマーズ元財務長官は、FTXを金融詐欺だと指摘して「リーマン危機に例える人が多いようだが、どちらかと言えばエンロン事件に近いだろう」と話したそうです。

バンクマン・フリード氏は政界への巨額献金で知られる「仮想通貨界の期待の星」で、今回のFTXショックもエンロン事件と舞台裏が似る。(出所:日本経済新聞

 

 

 仮想通貨ビットコインが誕生した背景には、リーマン危機を引き起こした金融行政への不信が根底にあり、中央銀行による統治によらず、無機的なブロックチェーンに金融システムを委ねようという発想だったといいます。しかし、いつしか仮想通貨の理念は消えうせ、投機目的のコインが乱立するようになり、今ここに至るといいます。

 国家を超越した基軸通貨の実現は、リバタリアン自由至上主義者)の理想社会の一つだったと日本経済新聞は指摘し、リーマン危機やエンロン事件と同じように規制強化に向かっていくだろうといいます。ただ暫くこの事件の余波は続くのかもしれません。

 仮想通貨に対する強気派はまだ多く存在しているようです。しかし、機関投資家の多くは、ポートフォリオに仮想通貨を採用する理由を完全に否定したとみられているそうです。

機関投資家、仮想通貨と永久に決別か-FTX危機がとどめに - Bloomberg

損失があまりに大きく、市場構造が過度にリスキーだというのが理由だ。(出所:ブルームバーグ

 エンロン事件が起きたときも社会を震撼させ、その後「CSR(Corporate Social Responsibility)企業の社会的責任」が急速に広がるきっかけになりました。

 企業に対する不信感を払拭し、高いモラルによるコンプライアンス(法令順守)の姿勢を求めるべきとの声に反応したといわれます。

 

 

 悲しい現実ですが、周期的に同じよう行為が繰り返されているようです。過度なお金への執着がこうした事件の根本的な背景なのでしょうか。強欲資本主義の末路のようにも見えます。この事件はどんな教訓を残すことになるのでしょうか。

 アマゾンにも賛否両論はあるのかもしれませんが、誰も真似することのできない顧客第一主義を貫き通したジェフベゾス氏は驚くほどの資産を残しました。ただそれには20年余りの時間を要しています。また、それはイーロンマスク氏においても同じなのでしょう。人並み以上に努力した時間は決して裏切ることはないということなのかもしません。

 こうした必要な時間を人はついつい忘れてしまい、「時短」や「効率化」などを誤った方向に使っているのかもしれません。それを正しい方向に使えるようになれば、誰もがベゾス氏のようになれるのかもしれません。

 

 

「参考文書」

FTXの顧客、資産回収望み薄か-貸借対照表と不正引き出し示唆 - Bloomberg

【FTX】仮想通貨が上げに転じる、バイナンスCEOが業界支援基金 - Bloomberg

CSR(企業の社会的責任) | 目からウロコの経済用語「一語千金」 | 連載コラム | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス

 

【SDGsと利他主義】頭で理解できても実践が難しい利他という考え方

 

 世の中に「SDGs」などの言葉が浸透し、その重要性は理解はできるものの、25歳の一個人としては「もっといい暮らしをしたい」「スキルを手に入れたい」など、社会のことより自分のことを優先的に考えてしまうと、自分が抱える違和感をForbesのニュースレターでつぶやく若者がいます。

一定の実績を積む、あるいは成功を収めて「余裕」が生まれて初めて、社会のことを考えられるのではないか──。(出所:Forbes JAPAN NEWSLETTER)

 何となくですが、理解できます。自身の目標を大切にしたいと思いつつも、それが正しいことなのか釈然としないということでしょうか。

 きっと正解はいく通りもあるのでしょうから、どれが自身にとってしっくりするものなのかを見出していくしかないのかもしれません。そのためには学び続けるしかないと考えると、堂々巡りに陥りそうです。

 

 

利他主義と私欲

 江戸末期から明治期の話ですが、渋沢栄一が一代で浅野財閥を築いた浅野総一郎を支援していたといいます。栄一は総一郎が野心家で私欲に飢えた一面があることを知った上で、色々取り計らいを行っていたそうです。それによって、総一郎は京浜工業地帯の発展の基礎を作り、日本のセメント産業の礎も作っていきます。後年、栄一は総一郎のことを、もう少し私欲を隠しておけば世間的に批判されることもないと回顧しています。

浅野氏が如何にも強慾の人であるかの如く、危険な人物であるかの如くに誤解せらるるのは、何事にも他を益するといふよりも自分を富まさうとの観念が先きに立つからである。

自分を富まさうとする事も、他人を益さうとする事も、結局実際に臨めば同じになつてしまひ、利他は自富となり自富は利他にもなるのだが、自富を先きにするのと利他を先きにするのとでは、同じ事を営んで同じく自ら富むにしても、それまでになる筋立に違つた処のあるものだ。その筋立の差によつて、強慾で危険な人物であるかの如く世間から想はれたり、或は斯く思はれずに済んだりするのである。(出所:デジタル版「実験論語処世談」(35) / 渋沢栄一

 栄一は総一郎の「先見の明」と「優れた計画性」を評価していたようです。

 栄一に従えば、利他主義を押し通して、私欲を満足させよということになるのではないでしょうか。

 他人のために働くことが自己(私欲)の満足につながり、それが豊かさにつながっていく、それには「自富」お金やスキルも含まれるということでしょうか。 

 

 

 ただ現実において、実践することは難しい面もあるようです。

 気候変動問題が世界の関心テーマとなり、カーボンニュートラルが国是となって、いかに脱炭素社会を作っていくかが大きな課題となっています。多くの企業と人がこれに関わっているのでしょうが、エネルギー関連企業で働く人たちにとっては日々ジレンマとの闘いになっているようです。

「エネルギーの安定供給」「再エネ」って実際どうなっているの? 石油・天然ガス大手のINPEXに聞いた | J-WAVE NEWS

長期的に世界が向かうのは、脱炭素社会に転換していくことだと思います。しかし、世界情勢が不安定な中、短期的には、人々の生活を安定させる石油・ガスの安定供給が課題となるので、私たちとしてもクリーン・持続可能なエネルギーを志向しつつ、中核事業である石油・ガスの安定供給により精進していく方向性と考えております。(出所:J-WAVE NEWS)

 これが現実なのでしょうか。これに浅野総一郎のような計画の緻密性と実行力がともなえば、時代を少し前に進めることができそうです。そうすることで社会は発展し、多くの人が喜ぶようになり、それが個人の満足となって、また「自富」となり個人にもかえってくることがあるのかもしれません。ただ組織の中でどう振舞うべきかという問題がつき纏ってきますが.....。

 

 

 科学的な分析をもとにした効率のよい慈善活動を推奨する「効果的な利他主義」という考え方があるそうです。

 あのイーロン・マスク氏もそれを支持し、ミレニアルやZ世代からも注目が集まっているといいます。

利他主義」を学び直してもいいのかもしれません。

 

「参考文書」

イーロン・マスクも魅了、気鋭の哲学者が語る「効果的な利他主義」の未来 | ウィリアム・マッカスキル「この暗い世界の先にあるもの」 | クーリエ・ジャポン

浅野総一郎氏の人物 | デジタル版「実験論語処世談」 / 渋沢栄一 | 公益財団法人渋沢栄一記念財団

 

高止まりの米消費者物価指数、揺れる企業業績、今すべきことは何なのか

 

 米国のCPI 消費者物価指数が発表となりました。市場予想よりも下回り、また9月の8.2%から7.7%に減速したことで、インフレがピークアウトした兆しを示しているとし、FRB米連邦準備理事会が利上げペースを落とすのではないかとの憶測から、株価が動き、円も円高に一時振れました。

米CPIが伸び鈍化:識者はこうみる | ロイター

 そうかといっても、一気に状況が好転する訳ではなそうで、インフレが通常の水準に戻るには、まだ時間がかかり、米国の景気後退は未だ否定できず、FRBの利上げは上げ幅こそ調整期待はあるものの、まだ上げ方向にあるとの予測が大方なのでしょうか。

 円高についても、これ以上円が値を戻すことは想定されずに、現状値でもみ合いになる見方が多そうです。

 

 

 企業もこうした経済環境を鑑みて、様々な見直しを始めているようです。

 米アマゾンは、コーポレート社員の採用凍結したばかりでなく、複数の不採算部門の従業員に対し他部署への異動を検討するよう指示し、より収益性の高い分野への配置転換を進めているそうです。そればかりでなく、アレクサ事業も入念に精査しているといいます。

米アマゾン、不採算事業を見直し 「アレクサ」など対象=WSJ | ロイター

 年間50億ドル以上の営業赤字をアレクサを扱う部門が計上していることが理由のようです。

「現在のマクロ環境を考慮し、コストを最適化する機会を検討している」と、アマゾンの広報は述べているそうです。聖域を作らずに事業を最適化するということなのでしょうか。

 日本国内でも企業の業績発表が相次いでいます。円安を追い風にする企業もあれば、涙を飲む企業もあります。様々な要因が絡み合っての企業業績になっているようです。

 楽天グループはモバイル事業が足を引っ張り、2022年1~9月期連結決算の最終損益が2580億円の赤字となったそうです。安さを売りにしたサービス、強力なポイント経済圏があっても契約者数は思い描いた以上には伸びず、苦しい状況になっているようです。

 ソフトバンクGはアリババ株売却で黒字は確保したものの、ビジョンファンドは相変わらずで1兆円超の損失を出したといいます。

孫正義氏、株式市場から退場へ--「投資先は全滅に近い成績」「今後はArmに情熱」 - CNET Japan

 ソフトバンクについては、この他にも暗号資産交換業者FTXの破綻の影響もあるようです。ブルームバーグによると、FTXに対する1億ドル(約141億円)弱の出資分について、そのすべてをゼロと評価して損失を計上することを見込んでいるといいます。

 

 

インフレは当分収まらない。上場株ですらしばらく大変。まして、未上場株は時差があるから当分大変。だから守りを固める。新たな投資はより慎重にし、ビジョンファンドのマネジメント社員の規模も縮小する。(出所:CNET Japan

 かつて名経営者と呼ばれた人たちも今回ばかりは、風を味方に変えることができていないようようです。そろそろ世代交代があってもよいのではないでしょうか。

 もうイケイケゴーゴーではないような気もします。時流にあうように企業文化を調整していくときなのかもしれません。

 ツイッターを440億ドル(約6兆2500億円)で買収イーロン・マスク氏が、初じめて従業員に向けて発言し、より多くのキャッシュフローを生み出し始めない限り、破産の可能性があるとの見解を示したといいます。

ツイッター破産あり得るとマスク氏警告、現金燃焼続けば-関係者 - Bloomberg

ツイッターは130億ドルの負債を抱え、今後12カ月で計12億ドル近くの利払いに直面する。この金額は同社が最近開示した6月末時点のキャッシュフロー(11億ドル)を上回っている。(出所:ロイター)

 マスク氏は買収後、従業員の約半数を解雇し、残った従業員に対しては、リモート勤務を認めないと伝えたといいます。矢継ぎ早に行動を起こすことで、奮起を期待したのでしょうか。マスク氏が辣腕を振るったとしても、結果はスタッフ次第なのでしょう。

 

 

 危機に陥るのはやるべきことをやらないからか、本分を超えて、必要以上に余分なことに手を出して効率が悪化するからではないでしょうか。

 必要最低限の人員で必要最小限の仕事をしていて、事業が回るのが正常なはずです。また、そうできるようにするのが仕事です。

 歯車が正常に回転しているときなら、経済状況にほだされて、事業拡大しても異常にはならないのかもしれません。しかし、一旦歯車が狂いだすと、実力がともなった事業でない限り危機になるのは自然な成り行きなのでしょう。余分なことに手を出して、マネージメント不全に陥れば、仕事も余分に増え、ますます混乱して、どんどん効率が悪化していくだけです。忙しくなるばかりで何も得るものはないのでしょう。基本を忘れてはならないのです。

 ツイッターは今後どうなっていくのでしょうか。注意深く見ていきたいところです。

 

「参考文書」

ソフトバンク、FTX出資で約1億ドルの評価損の可能性-関係者 - Bloomberg

楽天の決算、1~9月最終赤字2580億円 携帯契約の減少続く: 日本経済新聞

ソフトバンクG最終黒字3兆円 7~9月、アリババ株放出で: 日本経済新聞

暗号資産関連銘柄が大幅安、FTX経営破綻で業界に激震 | ロイター

ツイッター「倒産の可能性」、マスク氏が従業員に警告=BBG | ロイター

 

円安は止まるのか、大きく値を戻した米国株価、日銀総裁の発言に変化も

 

 米国の中間選挙の結果がまだ確定していませんが、そんな中、バイデン大統領が「COP27」に参加、スピーチするそうです。ことし8月に成立したインフレ抑制法などをアピールするといいます。

 トランプ前大統領による「赤い波」が起こらなかったことで米国の気候変動対策に大きな変化はないということなのでしょうか。

米バイデン大統領 COP27でスピーチへ 資金支援の意義強調か | NHK | COP

 インフレ抑制法で、気候変動対策が進むことが期待されています。また、これと同時にインフレの減速が期待されているそうです。今後10年間で財政赤字を削減し、それを原資にして「エネルギー安全保障と気候変動」の分野に資金を投じるといわれています。

 NHKによれば、「COP27」では、この他、発展途上国の脱炭素を進めるため、大手企業などと連携し新たな資金支援の枠組みを発足させることの意義などを強調する見通しといいます。

 

 

円高

 選挙もあり、また、米国の消費者物価指数を受けて、金融市場が大きく動いたようです。

 ダウ平均株価は1200ドルを超える大幅な値上がりとなり、為替市場では一時、1ドル=140円台前半まで円高が進んだといいます。こうした背景には、FRBによる利上げのペースが減速するとの見方が強まったことがあるといいます。

黒田発言に変化の兆しか

 一方で、日本では黒田総裁の発言に微妙の変化があるといいます。

 参院財政金融委員会で、「賃金上昇を伴った物価上昇が安定的、持続的に達成される環境は整いつつある」との認識を示し、その上で「来年度以降の賃金上昇率がどうなるかによって、2%の物価目標が達成される時期が近づく可能性がある」と述べたといいます。

物価目標「近づく可能性」 日銀総裁:時事ドットコム

 JIJI.comによれば、「目標達成が見通せる段階になれば、当然(金融緩和からの)出口の議論をし、適切な金融の正常化も始まる」と指摘したそうです。

 ただ、「現時点ではそうした形にはなっていない」とも述べ、当面は現在の大規模な金融緩和を継続する考えを示したといいます。

賃金上昇なるか

 また、黒田総裁は、供給超過状態にある需給ギャップについても言及、かなりのスピードで解消しつつあると述べ、近くプラスに転じるとみていると説明したといいます。

利上げは経済にマイナス、デフレマインドに変化の兆し-日銀総裁 - Bloomberg

 今後は需給ギャップのプラス転化に伴って労働需給が引き締まり、賃金上昇率も高まっていくとみているそうです。

 

 

 世界の金融市場で変化があれば、日銀の金融政策にも注目が集まるようです。

「日銀リスク高い」、日本国債格付け判断で最大要素に-S&P - Bloomberg

 記事によれば、進み過ぎた円安は、インバウンド需要の回復に貢献し、それが景気回復にも貢献すると指摘、まもなくその効果が現れ始めるといわれます。逆に円高に振れれば、新たなリスクが生じることもあり得るといいます。

 この先のドル円の動きが気になります。専門家の見立ての通り、FRBの利上げがペースダウンに向かうことで円が「急速な円高」に戻っていくことはあるのでしょうか。

急減速

 スマートフォンやキッチン家電などの手がけるバルミューダの2022年通期の経常利益予想が7.9億円から400万円に引き下げられ、99.5%下方修正すると発表があったといいます。

 原因は円安により営業利益が減少していることによるとしているそうです。

バルミューダ、22年通期の経常利益を99%下方修正 7.9億円→400万円に - ITmedia NEWS

 記録的な円安で仕入れ原価が上昇、売上原価率が62.6%から68.9%にまで上がる見通しとなり、利益が圧迫したようです。

 広告宣伝費を18%削減し、研究費は5割以上、人件費にいたっては前年比2割増の計画を1割に抑制したそうですが、1ドル110円台前半だった想定為替レートが1ドル150円前後まで上昇したことが悪影響となったといいます。

 このような状況下で、賃上げが進むのでしょうか。円が多少値を戻して、好転があればよいのですが、それを待つよりは何らかの改革が求められることになりそうです。国内販売が主となるメーカの辛さが顕在化したということでしょうか。

 

 

喜べない好成績

 一方、自動車業界は歴史的な円安による追い風もあっても、今期の業績見通しを上方修正したそうです。ただ決算会見では各社の幹部から為替相場の安定を求める声が相次いだといいます。

歴史的円安で車各社の上方修正相次ぐ、経営陣は相場安定求める声 - Bloomberg

 記事によれば、スズキの鈴木社長は、「もうちょっと円高に振れて安定していただくのが一番」と語り、お客様のお財布の状況が厳しく、いつキャンセルになるのかわからない状況と警戒感を示したそうです。

(写真:日産自動車

 為替の変動に一喜一憂する状況が続きことになるのでしょうか。やらなければならなかったことを先送りにしたツケが回ってきているだけのことなのかもしれません。

 いつになったら、この危機から脱することができるのでしょうか。

  まっとうに「サスティナビリティ」を追求し、SDGsなどに取り組めば、すぐさまに効果が出るということはないにしても、状況を改善できるのではないでしょうか。そうならないことが苛立たしくも感じます。いつになったら潮目に変化はあるのでしょうか。

 

「参考文章」

米国の「インフレ抑制法」は、気候変動対策を加速させる“秘密兵器”になるか | WIRED.jp

米労働生産性、第3四半期0.3%上昇 単位労働コストも上昇続く | ロイター

NYダウ 終値1200ドル超の値上がり 円相場は一時140円台前半に | NHK | 株価・為替

 

【COP27】今年また不名誉な「化石賞」、理解を求める努力と知恵が足りないのか

 

 気候変動対策会議の場で毎年選出される、環境NGOの国際ネットワーク「気候行動ネットワーク」(CAN)による「化石賞」に、今年もまた日本が選ばれたといいます。

 化石燃料への公的資金の投資額が世界最多となったことなどが選出理由といいます。

日本に化石賞 化石燃料投資「1.6兆円で世界最多」 COP27:朝日新聞デジタル

 記事のよれば、国際協力銀行日本政策投資銀行などによる石炭や石油、天然ガス事業への投資額が、2019年~21年の年平均で約106億ドル(約1・6兆円)になり世界最多になっているといいます。

 それに加え、アンモニア火力を輸出しようとしていることも受賞理由になったようです。環境NGO側は「偽りの対策」で、「石炭発電を延命させるものだ」と批判、途上国に向けての「損失と被害」の支援ではないと批判しているようです。

 

 

 受賞は不名誉かもしれませんが、正論による批判は正直に受け止めるべきなのでしょう。

 様々なことに首を突っ込み、妙なリーダーシップを発揮する首相も、こと気候変動になると積極的にはなれないようです。担当大臣に任せるべきは任せ、気候変動と向き合う時間を作って、環境NGOの主張にも聞く力を発揮してもらいたいものです。

 渦中のアンモニウム発電については、環境NGOと協業、カーボンフットプリントを厳密に評価して、コンセンサスを形成して、排出削減に寄与する仕組みを構築し、普及啓蒙できればいいのではないかと思います。そうできないのでしょうか。

 気候変動対策からは逃れることはできません。しかし、それと同時にエネルギー危機に対処し速やかに効果を出していくことが求められています。

 使える叡智はみな活用すべき時ではないでしょうか。

 いずれにせよ、環境NGOの批判は計画の不備を指摘してくれているのだから、ありがたいものと受け止めた方がよいのでしょう。そうすることでそれを活かす知恵がうまれるものです。

 日本国内では、第24回日経フォーラム「世界経営者会議」が開催され、米コカ・コーラのジョン・マーフィー社長兼最高財務責任者が講演したそうです。

コカ・コーラ社長「ペットボトル再生、日本が最先端」: 日本経済新聞

 記事によれば、「日本では2022年にペットボトルのリサイクル素材の使用率が50%を超えた」と明らかにし、グローバル目標より8年早く使用率が50%を超え「リサイクルでは日本が最先端にある」と語ったといいます。

 コカ・コーラは、日本のノウハウを展開してグローバルでの100%リサイクル素材の使用などを進めるといいます。

 完全ではないかもしれませんが、世界をリードしている技術やノウハウがあるのであれば、積極的に世界展開すべきなのでしょう。グローバルに貢献していくことはもちろんのことですが、慢性的な円安で苦しい状況でもあるのです。外貨を稼げるしくみにしていくことも求められているはずです。

 

 

『ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来』の著者が、「気候変動対策をしない場合に将来予想される世界の経済損失」と「今から対策する場合の世界のコスト総額」を比べると「今から対策する場合」の方が断然安く済むと、主張しています。

 これこそが、ESGに取り組むべき理由といいます。

企業がESGに取り組むと、当面の収益率は下がるかもしれない。その一方で、企業価値はプラスになり、投資家から高く評価される可能性がある。(出所:Flier

 それ故、対応しない企業は長く稼ぎ続けられなくなるといいます。いつまでも、それはそれでなく、気候変動対策をビジネスに変えて、真の「サスティナビリティ」を追い求めるときなのでしょう。

 

 

「COP27」では議長国エジプトが「シャルムエルシェイク適応アジェンダ」と名付けられた、気候変動の影響を最も受けやすい地域に住む40億人の支援に向けた行動計画が提唱したそうです。

 温暖化による環境変化を受け入れ、被害を最小限に抑える「適応」を強化することが狙いといいます。

気候変動被害を最小限に 40億人「適応」へ行動計画―COP27:時事ドットコム

「食の安全と農業」「沿岸と海洋」「インフラ」など5項目について、高温に強い農作物の栽培や、洪水・土砂崩れ災害の発生を知らせる早期警戒システムの導入を含め、2030年までに実現すべき具体策を盛り込んだ。(出所:JIJI.com)

 ありがたいことに、こうした国際会議の場で毎年取り組む課題が示されています。これこそが切実なペインであり、多くの人たちのニーズということではないでしょうか。

 これをビジネスに変える智慧が求められ、これを具現化できる人たちに持続的な成長がもたらされるということなのでしょう。

 

「参考文章」

2030年 会社員の未来 / ESG投資で激変! | 本の要約サイト flier(フライヤー)

ESGは“新しい会社のルール”。気候変動対策は、なぜ私たちの経済に直結するのか|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。

食料廃棄量を半減、マングローブ林の保全…COP27で議長国エジプトが30項目の気候変動適応策発表:東京新聞 TOKYO Web

 

【COP27】軍事侵攻には欧米と共同歩調、なぜ気候変動ではそうできないのか

 

 気候変動への適応を念頭にし東京都が東京湾沿岸の新たな防災計画案をまとめたといいます。IPCC 国連の気候変動に関する政府間パネルのシナリオを採用し、2100年までに産業革命前から平均気温が2度上昇、海面が最大約0.6m上昇するとして、防潮堤の高さを現行計画から最大で1.4mかさ上げするそうです。

温暖化対応、防潮堤かさ上げ 海面上昇で最大1.4メートル―東京都:時事ドットコム

 記事によれば、強大化する台風や高潮などで海水が防潮堤を超えないよう高さを見直しているといいます。全長約60kmのうち約30km分をかさ上げし、江東区東雲付近では1.4m、豊洲では0.6mになるそうです。

 そうなって欲しくはないですが、そうなることを想定しなければならないほどに事態が深刻化しているということなのでしょうか。

 

 

 エジプトではCOP27の首脳級会合が始まりました。各国リーダーが登壇、現状に懸念を示し、気候変動対策の必要性を訴えています。

COP27、各国首脳が対策強化訴え 英首相はウクライナの戦争に言及 - BBCニュース

パキスタンの壊滅的な洪水の浸水面積は英国全体と同じ大きさだ」と語ったのは英国のスナク首相、「気候変動対策とエネルギー安全保障は手を取り合って進む」と指摘し、「プーチン大統領の忌まわしい戦争と世界的なエネルギー価格の上昇が、気候変動対策を遅らせる理由になってはならない。むしろ、対策を迅速に進める理由そのものだ」と話したといいます。

 一方で、ロシアのプーチン大統領は参加せず、大量に温室効果ガスを排出する中国の習主席の姿もなかったといいます。日本の岸田首相も参加を見合わせ、同列に加わったかのようです。

化石燃料で世界規模のルネサンスがあってはならない。ドイツについてはそれはないだろう」強調したのは、ドイツのショルツ首相、ロシアによってもたらされたエネルギー危機に対処するため、廃止予定だった石炭火力発電所を再開させましたが、それが未来にわたって続けることはないと明らかにしたのでしょうか。

 BBCによれば、フランスのマクロン大統領は各国首脳に対し、気候に対する正義を行うべきだと熱弁し、イタリアのメローニ新首相さえも、引き続き目標に「力強く貢献していく」と語ったそうです。

 中間選挙真っ只中のバイデン米大統領は首脳級会合には参加していませんが、11日から参加する予定で、現在はケリー特別大使が参加しているといいます。

 

 

「2大経済国である米国と中国が特別の責任を負っている」と指摘したのは国連のグテレス事務総長、この2カ国が「特別な責任を負っている」と強調し、先進国と新興国が手を携えて「気候連帯協定」をつくるように求めたといいます。

【更新中】「なぜキシダは来ないのか」 COP27、欧州からの追及 [気候変動を考える]:朝日新聞デジタル

 世界の二酸化炭素排出の4割以上を占める両国の協力がなければ、気候変動対策の意義が薄れるということなのでしょう。自動車も車輪が車軸で結ばれないければ、正しく前進することはありません。政治的に対立する両国に融和を働きかけることが求められているのでしょう。

 

 

 その対立の先鋭化を避け、自国の安全保障のためにも、地理的にその中間にある日本が「気候」をテーマにして取り計らうべきではないでしょうか。

 容易なことではないことであることは理解しますが、しかし誰がやらなければ空転を続け、状況が前に進むことはありません。車軸となって両国を結び付ける役回りが求められているはずです。繰り返しになりますが、岸田首相がこの重要な国際会議に参加しないのが残念でなりません。

 日頃、欧米との共同歩調を強調する首相ですが、ここでもまたちぐはぐさを露呈したようです。

 

「参考文章」

途上国の温暖化対策「米中が負担を」 COP27で仏大統領: 日本経済新聞

パキスタンで牙むく温暖化 氷河「第3の極」に融解危機: 日本経済新聞