ブリティッシュ・エアウェイズが、シェルと協業し、ごみからジェット燃料を作るとForbesが伝える。
従来の化石燃料1トンをバイオ燃料で置き換えるたびに温室効果ガスを70%削減できるだけでなく、英国における廃棄物を焼却や埋め立てよりも炭素排出量が低い方法で処理できるようになる。(出所: Forbes)
気になることが2つある。
・石油メジャーのシェルが絡んでいること。シェルが石油依存から脱却しようと躍起になっているのか。
・日本にもミドリムシからジェット燃料を作るとの話があったが、その後どうなったのか
「航空機が出すCO2排出量を、2020年を基準にして、21年以降は超えてはならない」
国際民間航空機関(ICAO)が定めた規制がある。
着々と進むユーグレナ社のバイオ燃料
来年2020年にはANAがユーグレナのバイオ燃料を使った商業飛行を始めるのではと日本経済新聞が報じていた。日本経済新聞によれば、ユーグレナは25年までに実証プラントの2千倍にあたる生産能力を持つ商業プラントを建設。石油由来の燃料と同程度のコストまで下げる計画も明らかにしているという。
藻類由来燃料を研究する企業は他にもあるが、食品なども手掛けるユーグレナは藻の培養技術に強みがある。精製部分では米石油大手のシェブロンから技術供与を受けた。
ANAホールディングス(HD)は20年までにユーグレナのバイオ燃料を使った商業飛行を検討する。(出所:日本経済新聞)
Forbesは建設された実証プラントの詳細を伝える。
『原料サプライヤー、燃料ユーザーに加え、燃料製造事業者へとその輪を広げながら、バイオ燃料の「産業化」を目指す「GREEN OIL JAPAN」宣言も行った』
と報じていた。
Forbesによれば、製造能力日産5バレル、年産125キロリットルの実証プラントで製造する国産バイオジェット燃料での日本初の有償フライトを20年までに実現するという。
そして、25年までに実証プラントの2000倍(年産25万キロリットル)にあたる生産能力をもつ商業プラントを建設し、石油由来の燃料と同程度のコストにまで下げる計画を発表した。 (出所:Forbes)
航空業界に圧し掛かる排出規制が航空燃料のバイオ化を進める
日本経済新聞は、ICAOの規制で、「20年実績を超える場合には、新たに排出枠を購入しなければならない」と指摘、世界の航空業界の動向を伝える。
国内ではまだ試験飛行の実績しかないが、海外ではバイオ燃料を使った商業飛行が始まっている。米ユナイテッド航空は16年、米国の航空会社で初めてバイオ燃料を定期便に利用した。ノルウェーのオスロ空港では、廃食油などを原料としたバイオ燃料を給油している。
世界ではバイオ燃料を用いた商業飛行はすでに15万便運航した。
需要拡大に石油依存からの脱却をもくろむ米石油最大手も触手を伸ばす。エクソンモービルは藻類由来のバイオ燃料の生産に乗り出した。 (出所:日本経済新聞)
ミドリムシの食品や化粧品利用の方に目を奪われていたが、ユーグレナはジェット燃料の立上げ準備を着々と進めているようだ。
この分野でもすでに海外に後れを取っているという厳しいが現実があるようだ。
サステナブルブランドジャパンのインタビューに答えた出雲社長の言葉が印象的だ。
そもそも当社は、大儲けをするためにつくった会社ではありません。
貧困層35億人と富裕層10人の資産が等しいような世の中は持続不可能です。
SDGs(持続可能な開発目標)がメガトレンドとなったのも、受け入れる素地のある世代が社会の中核になりつつあるからでしょう。このトレンドと足並みをそろえて、仲間と一歩一歩、進んでいきたいのです。(出所:サステナブルブランドジャパン)
ユーグレナのバイオジェット燃料で飛行機が飛び立つ日が待ち遠しい。
「関連文書」
【追記】欧州系石油メジャーの動向
その後、BPは「脱石油」方向に舵をきることになった。また、シェルもBP同様、脱石油路線になる事業計画を発表するようになる。
「参考文書」