デンマークのビールメーカーカールスバーグが紙製のボトルを発表したと伝えるニュースがあった。ガラス瓶のリサイクルシステムで流通しているビールボトルを紙に変える必要があるのかと感じていた。紙資源の無駄使いにならないのかと。
グリーンファイバーボトルの開発を進めてきた包装会社とボトル製造会社は、パボコ®という合弁会社を立ち上げた。今回の発表では、パボコ®が紙製ボトル・コミュニティをローンチしたこと、さらに、カールスバーグとともに飲料大手コカ・コーラ、酒類大手アブソルート、化粧品大手ロレアルがコミュニティのメンバーとなることが発表された。 (出所:IDEAS FOR GOOD)
それより、記事にあったパブコが立ち上げた「紙製ボトル・コミュニティ」と、それに参加したコカ・コーラとロレアルの方に興味を感じていた。どちらもペットボトルやプラスチック容器を大量に消費するメーカだからだ。
ロレアル 化粧品容器を紙製に
そのパブコが立ち上げた「紙製ボトル・コミュニティ」に参加するロレアルが、このプロジェクトで作られる紙製ボトルを2021年に市場導入できるよう進めているという。
写真出所:ロレアルホームページ NEWS
Driving The Circular Economy
Our objective with this partnership is ambitious. We aim to create bio-sourced and recyclable packaging. The new bottle is held up to the same demanding standards as the bottle its replacing in terms of quality and customer experience. A first bottle is projected to be on the consumer market in 2021 for the brands La Roche-Posay and Kiehl’s. (出所:ロレアルホームページ News)
紙製ボトルのローンチより前に、ロレアルは紙製チューブをリリースする。このプロジェクトは、アルベアとのコラボによって実現される。2020年4月までにテストを終了させ、早期の発売を目指している。
写真出所:ロレアルホームページ NEWS
L’Oréal is proud to announce the development of the very first paper-based cosmetic tube. The fruit of our collaboration with Albéa, a world leader of cosmetic packaging, its debut on the market is scheduled for 2020. (出所:ロレアルホームページNEWS)
歯磨き粉などのチューブがゼロウェイストへの障壁に
サンフランシスコ市は「2030年までにゼロ・ウェイスト型都市となることを目指している」と アウトドアのパタゴニアはブログで紹介する。
都市におけるゼロウェイストの障壁になるのが歯磨き粉などの日用品と指摘する。
なじみのある日常品、たとえば歯磨き粉をみてみましょう。〈スタティスタ〉によると、2018年、ある企業はアメリカ国内だけで8,070万本のチューブ入り歯磨き粉を販売しました。
しかし、1本のチューブにはプラスチック、板紙、アルミニウム、その他の金属など、少なくとも3種類の異なる原料が使われて分別が非常に困難なため、自治体の基本的なリサイクルシステムではリサイクルできません。 (出所:パタゴニアブログ)
ロレアルの紙チューブがそのまま、こうした問題の解決に結びつくかはまだ未知数であるが、リサイクルできずに埋立地に行くチューブの削減につながればいいのかもしれなない。
自然に還る紙とはいえ、資源としては有限でもある。プラスチック代替のひとつではあるが、こうした取り組み以外の活動が必要であることは言うまでもない。
ロレアルは、2025年には、すべてのプラスチック包装が詰め替え可能、リサイクル可能、または堆肥化可能になるとしている。
テラサイクルと使用済化粧品容器を回収
国内ではテラサイクルと共同で使用済化粧品容器を回収している。
「キールズを通じて使用済み化粧品容器の回収を行っており、今後、新たなブランドで導入し、規模を拡大していきます」とホームページで発表している。
キールズの他、「メイベリン ニューヨーク」で導入しているという。
ロレアルのこうした取り組みは、サスティナビリティ、持続可能な社会を目指すいま、参考になる事例のように思える。
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