博報堂買い物研究所の市場調査結果が目に留まった。
『情報が氾濫する時代、生活者がどのようなチャネルを好んで利用し、どのような買物体験を求めているのかについて、25種のチャネルを対象に調査、結果を分析した』という。(出所:PR Times)
「情報氾濫時代に利用したいチャネル」
この調査結果を博報堂買い物研究所は以下のように分析する。
ECを中心とした「楽しめる」チャネルでは、その場にアクセスしたり、行くだけで得られる楽しさ、驚き、発見とともに商品・サービスと出会い「買いたい!」という気持ちを高ぶらせることができる。リアル店舗を中心とした「選べる」チャネルでは、編集された分かりやすいチャネルづくりによって、欲しいモノを直感的に「選べる」という確信を得ることができる。
生活者はそれぞれの買物体験を通じて、適切な情報を得つつも情報過剰のストレスを乗り越え、自分にとっての「ここちよい買物」を実現しているのではないだろうか。
情報過剰時代、買物における情報ストレスを軽減し、生活者のここちよい意思決定を後押しする仕掛けはますます求められるようになるだろう。(出所:PR Times)
『2017年に経営破綻した玩具大手トイザらスが米小売り大手ターゲットとの提携により、インターネット通販を再開した』とForbesが伝える。
が、実際にインターネット通販を行なうのは、ターゲットで、トイザらスはサプライチェーンを管理しないという。
自ら玩具のオンライン販売を行っているわけではない。サプライチェーンも自ら管理していない。新設した同社のサイトは主に、親と子供たちのための情報源ということになる。
興味深いのは、同社が新たにオープンする店舗だ。そのうち2か所は11月中に、ニュージャージー州とテキサス州で開業する予定となっている。店舗は以前より小規模になり、大量の在庫は置かない。代わりにプレイエリアを設け、インタラクティブ・ディスプレイを設置する。言い換えれば、消費者の「体験」に力を入れるということだ。(出所:Forbes)
新しい流通のかたちとして、D2Cが世界のトレンドになるのかと思われていた。日本経済新聞もその流れを報じていた。国内でも、アパレル業界を始め多くの業界がこの流れに乗ろうとしているように思えた。博報堂買い物研究所の調査結果にも符合しそうだ。
オンライン販売のための流通チェーンを整備していないこと、店舗に置く在庫を制限する方針であることは、トイザらスのビジネスモデルが全体として「体験」に焦点を当てたものになっていることを示す。(出所:Forbes)
今回の米トイザらスの動きは驚きだ。Forbesは『実際には消費者がどれだけ体験型モデルに引かれているのかを判断するための、素晴らしいケーススタディーの機会を提供してくれるものになるだろう』と指摘する。
国内では、百貨店の地盤沈下が進んでいるが、この試みが何かのヒントになることはないのだろうか。
国内のトイザらスは、米トイザらスの破綻の影響を受けずに営業を続けている。2019年も東京都、千葉県、熊本県、静岡県に続き、奈良県へ出店、新規店舗の拡大路線が続けている。
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