ローマ教皇も訪問した広島に多くのインバウンド客が集まるという。オバマ元大統領の訪問の影響もあるのだろうか、欧米系からの観光客が多く、近年人気が高まっている。
その広島で新たなMaaSが立ち上がる。広島電鉄が電車一日乗車券などをデジタル化する。モバイル乗車券は、Webブラウザ上で購入、表示が可能で、スマホアプリのインストールは不要となっている。観光客にもありがたいサービスになりそうだ。
このモバイル乗車券によるサービスは、2020年3月より開始予定だという。
乗車券は事前の購入が可能で、複数人分の一括購入にも対応する。利用時は、スマホ画面の提示で乗車可能。フェリー・ロープウェー等回数制限がある一部の施設では、施設に掲示するQRコードを読み取ることで利用できる。また、ウェブブラウザベースとすることで、不正利用防止機能の搭載や、紙の乗車券では実現できなかった「24時間券」などの時間制乗車券に対応できるという。英語にも対応しており、増えるインバウンド客に対応する。(参考:c/net Japan)
広島電鉄などが発行する紙の「電車一日乗車券」・「一日乗車乗船券」等は、年間計20万枚ほど発行されているという。スマートフォン上で購入・表示できるサービスの利用が増えれば、紙の削減に寄与しそうだ。
(資料出所:NEC プレスリリース)
広島の人気観光スポットといえば、宮島・厳島神社、広島平和記念資料館、おりづるタワー、広島城等々。展開予定のMaaSサービスのイメージを見ると、人気観光スポットが多く含まれていそうだ。
このサービスはNECと広島電鉄で開発され、3月から始まるサービスは広島エリアでのMaaS(Mobility as a Servise)の取り組み第一段階だという。今後は、機能拡充に向け、他事業者との相互連携を進め、事業者間清算システムの実装や経路検索、AIオンデマンド交通、シェアサイクルなどさまざまな機能とのAPI連携を進めるという。
ヨーロッパの大都市ではすでにMaaSのサービスが始まっている。その先進事例としてヘルシンキで展開されるMaaSアプリ『Whim(ウィム)』が紹介される。フィンランドでは、様々な社会課題解決のためにこのサービスが始まったという。
これまで私たちは各交通機関ごとに検索・予約・支払いをしていたが、その手間をなくすことで交通の利便性をより高め、都市に住む人々の生活を快適にする。MaaSはインフラの“最上位”に位置し、街づくりの視点が欠かせない。(出所:IDEAS FOR GOOD)
フィンランド政府が目指すのは、安全で持続可能、運営者と利用者にとって安価なサービスを提供することとIDEAS FOR GOODは紹介する。
日本各地でもMaaSの開発が進み、また、コンサルティング会社より色いろな提言がなされる。その多くはMaaSで解決できるであろう課題を明らかにし、その期待効果を強調する。
「MaaS」が解決すべき日本のモビリティ課題
「異なる複数の移動サービスの統合」がMaaSのキーワードではあるが、日本版MaaSにおいては、さらに都心部や地方都市部といった地域特性や利用シーンごとに分解したモビリティ課題やサービスを検討する必要がある。
都心部では、便利さゆえに日常的な渋滞・混雑問題や、複数の経路が存在する複雑さが課題としてあげられた。一方で、地方都市部では、都市部ほど公共交通インフラが充分に整備されているとは言えず、高齢化社会において自家用車に依存した交通環境が課題である反面、交通手段の確保や利用者数低下に伴う公共交通の採算性・利便性低下も課題のひとつであった。(出所:デロイトトーマツ)
MaaSがもたらすモビリティ革命 日本版MaaSの可能性
今回、広島電鉄とNECが開発したMaaSは、観光客を切り口に開発され、Webブラウザ上で利用できるという特色を持つ。兎角、この手のサービスはアプリ利用が前提となることが多い。今回はアプリダウンロードの手間を省いているので、利用しやすくなっていると言えないだろうか。
このサービスが今後より広島市民にとっても利用しやすいよう改善にされ、また、地域を跨ぐサービスに発展すれば、日本版MaaSにも一歩近づく。
「参考文書」