Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

SDGsウォッシュと言われたくない! そのためには

 

 「SDGsウォッシュ」という言葉があるらしい。色々な人がその定義を述べる。

 

 社会通念に反していない限り、通常ビジネスは何らかの社会課題を解決しているはずである。そうであれば、何らかの形SDGsに貢献していてもおかしくない。ホームページにSDGsのアイコンを貼ったり、SDGsに貢献しますといっても何ら問題はないように思ったりもする。問題はどれだけSDGsを理解していることだろうか。

 

 明治大学の関正雄特任教授は「SDGsウォッシュ」を、「SDGsに取り組んでいることをアピールするだけで、実際には何ら意味のあることはしていない」といい、 オルタナは、シンプルに、「言っていることとやっていることが同じかどうか」という。

 

 unicefは、SGDsの考え方を次のように示している。

"誰ひとり取り残さない" No one will be left behind

人間 (people)  – すべての人の人権が尊重され、尊厳をもち、平等に、潜在能力を発揮できるようにする。貧困と飢餓を終わらせ、ジェンダー平等を達成し、すべての人に教育、水と衛生、健康的な生活を保障する


地球 (planet) – 責任ある消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急な対応などを通して、地球を破壊から守る


豊かさ (prosperity) - すべての人が豊かで充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保する


平和 (peace) – 平和、公正で、恐怖と暴力のない、インクルーシブな(すべての人が受け入れられ参加できる)世界をめざす


パートナーシップ (partnership) – 政府、民間セクター、市民社会、国連機関を含む多様な関係者が参加する、グローバルなパートナーシップにより実現をめざす

 

経済、社会、環境の調和

近年明らかになってきた格差の拡大や環境問題等にも取り組む、包括的な目標です。それぞれの目標は密接に関連しており、経済、社会、環境の3つの側面のバランスのとれた、持続可能な開発をめざしています

 

 平和、戦争とかだけではなく、誰もが日々の平穏な生活の中にある豊かさを感じることが出来る社会、その実現がSDGsの本質ではと感じる。

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 ニッセイ基礎研究所は、「SDGsウォッシュ」を次のように定義して、SDGsコンパスのビジネスへの導入を促す。具体的に「SDGsバリューチェーンマッピング」と「アウトサイド・イン・アプローチ」を解説する。

 

SDGsの本質と狙いを理解せず、本気でないにもかかわらず、表面的に自社の活動とSDGs目標を紐付けることをさす。紐付け自体は非難すべきことではないが、懸念されるのは、「カラフルな絵文字を貼り付けただけで、SDGsに取り組んだような気分になる」ことで、思考が先に進まないことである。ここで留まると、「SDGsウオッシュ」と言われかねない。(出所:ニッセイ基礎研究所

  

SDG Compass とは何か

 

 

 

  一方で、明治大学の関特任教授は、「いま企業に求められているのは、社会における自らの存在意義を、以上の文脈において見つめなおすことです。つまり、我が社は社会においてどういう存在であり、持続可能で包摂的な社会の実現にどういう役割を果たしうるかを、企業の目的や存在意義など原点に立ち返って問い直すことです」という。

 具体的事例としてユニリーバを上げ、「SDGsへの取り組みは単に企業のイメージづくりのためにやることでもなければ、本業とは別にコストをかけてやらねばならない義務的負担のようなものでもないのです。SDGsは世界の「いま」と「未来」のニーズそのものなのですから、それに応えることは、ビジネスチャンスをつかむことであり、まさに事業戦略そのものなのです」という。

 

 自社の存在意義を考えることは、それを収益より優先させることではない。むしろ存在意義に立ち返ることで収益をドライブできる

 

www.unilever.co.jp

 

 もうひとつ、ISO規格を利用する手もあるかもしれない。ISO規格は、国際標準化機構(ISO)が制定する国際規格で、ISO14001(環境マネジメントシステム規格)や、ISO26000(社会的責任に関する規格)、ISO20400(持続可能な調達に関する手引)等の規格を導入・活用することにより、企業のESG戦略をブラッシュアップすることが可能とデロイトトーマツは指摘する。

 

 実際、ISOもSDGsとの関連性を公表している。ISOを活用する利点は、社内ルールを整備し、運用することが求められ、全員参加型に導きやすく、運用しやすい。しかし、その反面で、社内ルールを見直す、作り直す必要があるので手間と時間がかかる。

 


ISO and the Sustainable Development Goals

www.iso.org

 

 例えば、ISO26000では、社会的責任を規定している。SDGsを体系的に理解するのに役立ち、これで仕事を進めるマニュアルが完備できれば、判断基準が明確になる。

なぜ社会的責任が重要なのか?
世界中の組織及びそのステークホルダーは,社会的に責任ある行動の必要性,及び社会的に責任ある行動による利益をますます強く認識するようになっている。社会的責任の目的は,持続可能な発展に貢献することである。

ISO 26000 を理解する

 

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www.iso.org

www.iso.org

 

 

 

   SDGsを概念的に捉えるのでなく、より具体的に理解し、ビジネスに応用する手法は色々存在する。ただ、どれも手間がかかるのが事実だろう。SDGsを事業戦略に置き換えるのであれば当然のことではある。

 

 本気でSDGsに取り組む人たちに叱られるかもしれないが、もって気軽に、手軽にSDGsをアプローチしてもよいのではないかと思ったりする。もっと多様な方法でアプローチできないであろうか。残されている時間はあまりないけれど、そんな方法を模索していきたい。

 そう思うと、 オルタナがいった、「言っていることとやっていることが同じかどうか」という「SDGsウォッシュ」がしっくりくるような気がしている。

 

 

 「参考文書」

www.meiji.net

www.alterna.co.jp

www2.deloitte.com