「2019年は2016年に続いて記録上2番目に熱い年」
「地球の平均気温は、産業革命以前から約1.1°C上昇した」とWMO(世界気象機関)が公表した。パリ協定では1.5℃を目指すことになったが、残る余地は0.4℃。「二酸化炭素がこのままのペースで排出され続けると、世紀の終わりまでに気温は3〜5度上昇するはず」とWMO事務局長のターラス氏は述べた。
(資料出所:WMO プレスリリース)
「オーストラリアは、2019年に記録上最も暑く乾燥した年を記録し、人々や財産、野生生物、生態系、環境を破壊する大規模な山火事が発生した」
「残念ながら、大気中の記録的なレベルの温室効果ガスによって、2020年とこれからの数十年間に極端な天候になると予想されます」とターラス事務局長は語った。
温室効果ガスの排出で生成される余剰熱の90%以上を海洋が吸収するという。2019年の海洋温度が観測史上、最も高かったことが明らかになったとAFPは伝える。
「これは次に大陸の乾燥を引き起こす。大陸の乾燥は、南米アマゾン(Amazon)から米カリフォルニア州や豪州、北極圏までに及ぶ地域で最近発生している森林火災の背景にある主要な要因の一つだ」とも伝える。
BBCは、人々は地球温暖化の兆候を「自分たちの目で」直接見ていると報じ、「温室ガスのネットゼロが必要」という科学者の意見を伝える。
イーストアングリア大学のコリーヌ・ル・ケレ教授は、「必要なのは、CO2や長く残る温室効果ガスの排出量をネットゼロにすることだ。そうしなければ、我々はもっとひどい影響を受けることになる。つまり、我々がオーストラリアで直面していることは、新しい普通ではなく、さらに悪い影響への移り変わりだ」と述べた。(出所:BBC)
日本のエネルギー政策はこのままでよいのだろうか。国は2050年までに二酸化炭素の排出量を80%削減するとの目標を立てるが、実質ゼロと言えない。再生可能エネルギーの主力電源化にも言及するが、明示はなく、2050年が目安ということのなのだろうか。
再生可能エネルギーを、2030年に、電源構成比率22~24%とするのが現在の国の目標だ。
太陽光発電は、2017年3月時点で、2030年の見通しに対して約61%の導入が進んだという。これに対して、風力発電は約34%ほどしか進まず、国の対応の遅さが目立つ。
昨年になって、ようやく「再エネ海域利用法」が施行され、変化が現れそうだ。
日本各地で大型洋上風力発電の建設が始まるとメディア各社が伝える。電力会社ばかりでなく、大手ゼネコンも参入するのではとの報道もある。
清水建設は、約500億円を投じ、超大型洋上風車の建設に対応できる世界最大級の自航式SEP船(Self-Elevating Platform:自己昇降式作業船)の建造に着手、2022年10月の完成を目指す。これから増加するであろう洋上風力発電建設をあてにしたものだ。そればかりでなく、「発電事業者にもなり得る」と清水建設の井上和幸社長が語ったとダイアモンドオンラインは伝える。
EU圏では風力発電が再生可能エネルギーの主力になりつつあるという。発電設備も大型したこともあり、風力発電のコストも大幅に低減、固定価格買取制度(FIT)に頼らずに事業採算を確保できるようになってきているという。
国は、2030年には、風力発電1,000万kWの導入(電源構成比率1.7%)を目標にしている。この先、どこまで風力発電が進んでいくのだろうか。
来年、国は「エネルギー基本計画」を見直す。前回改定時、当時の世耕経産相は、技術的変化がなかったことを理由に、エネルギー政策の骨格を変えなかったという。
気候変動と思われる地球環境の劣化、災害の続発、国際世論や国連関連での動きを鑑みた計画見直しになるのだろうか。
風力発電や太陽光発電など自然エネルギーを利用した再生可能エネルギーが主力電源と明記されるのだろうか。
国際的に批判され、輸入に頼る石炭など化石燃料から脱却する道筋を作れるのだろうか。自然エネルギーなら、輸入せずに無尽蔵に使えるはずである。
現政権は世論の動向には敏感だという。
「脱炭素化、実質ゼロ」の世論を高めていかなければならない。
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