暖冬で、野菜の値段が安く、暖房費も節約できる、家計にやさしい冬なんて思ったりはするけれど、農家さんとか影響を受けている人たちにとってはたいへんな冬。
気象庁が発表している気温の平年差を見て驚く。北海道を除くと、ほとんどのところで2~3℃も平年より高い。例年にない暖冬ということなのだろうか。
(資料出所:気象庁)
ニュースを見れば、農家さんやスーパーばかりでなく、暖房器具メーカ、衣料品、スキー場など様々ところに影響が出ていると報道する。気温変化は様々なことに影響する。
正偏差が大きかった年(1〜5位)
1位:2019年(+0.92℃)、2位:2016年(+0.88℃)、3位:1990年(+0.78℃)、4位:2004年(+0.77℃)、5位:1998年(+0.75℃)
(資料出所:気象庁)
「温暖化」、「気候変動」の影響なのだろうか。気象庁が発表している年平均の長期変化のデータを見ると、頷いてしまう。
2019年の日本の平均気温の基準値(1981~2010年の30年平均値)からの偏差は+0.92℃で、1898年の統計開始以降、2016年を上回り最も高い値となりました。日本の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.24℃の割合で上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。(出所:気象庁)
「熱すぎる夏」や「暖かい冬」が、この先、常態化するということなのだろうか。
「気候変動」を緩和するため、温室効果ガスの排出抑制など対策は必要なことではあるけど、気温の長期データを見ると、「熱すぎる夏」や「暖かい冬」に適応することも考えていかなければならないことと感じたりする。
ニュースでは、大きくなり過ぎた野菜を農家さんが、規格外ということで廃棄処分すると報道する。毎年、暖冬になるようであれば、野菜の規格を変更して、大きく成長してしまう野菜を販売できるようにしないといけないのかもしれない。
マレーシアに住んでいた頃、スーパーに買い物に行くと、大きな野菜が並んでいたことに驚いた。
このまま気温が上昇して熱帯化していくと、南国のスーパーのように大きな野菜が店頭に並ぶことに慣れないといけないのかもしれない。
ファッション業界もそうかもしれない。四季があってのセールも変わっていくのかもしれない。暑くて長い夏が常態化するようになれば、夏物一掃セールは、後ろ倒しになるだろうし、暖かくて短い冬になってしまうのであれば、セール自体がなくなったりしてしまうかもしれない。
気温が変動するだけ、様々なことに影響がでる。変化する気温で消費が変わってしまうのだろうか。色々常識を変えないといけないということ? なんて考えてしまう。
気候変動対策が最重要課題とは思うけど、気温が高くなることを想定した準備が必要なのかもしれない。大きくなり過ぎた野菜をみてそんなことを思う。
企業も常識を変えないといけない。そうしないと廃棄処分するものばかり増え続けてしまいそうだ。
この冬の雪不足は、観光業にも深刻な影響を与える。それに加え、新型コロナウィルスの影響も避け得ない。天候任せの産業はこの先さらに厳しさが増していくのかもしれない。
「地球には冬が必要だ」と POW(Protect Our Winters Japan)は訴える。
POWの活動を支援する白馬観光開発(株)も、暖かい冬に危機感を抱く。スキー場経営は「雪」があって初めて成り立つ。POW Japanとともに、「地球には冬が必要だ」と訴える。
白馬観光開発が運営に携わる「白馬八方尾根スキー場」のアルペンクワッドリフトでは、2月より通年で「CO2フリーメニュー」の電気を使って、CO2ゼロで運行するそうだ。
企業には、「気候変動」に対する「緩和」と「適応」が求められる。
SDGsは、企業イメージやCSRのためにあるのではない。ビジネスとして、気候変動に「適応」していかなければならない。
「参考文書」