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【CSRとサスティナビリティ】恵方巻ロス問題は業界常識を変えていくのだろうか

 

 時節に合わせたように食品の大量廃棄問題が報道される。今年の恵方巻は業界の対応もあってか、昨年に比べ幾分売れ残りに改善があったと食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんが伝える。

 官民あげての対応で、「適量販売」が徹底できたということであろうか。今後も、こうしたことが業界に定着していくのだろうか。

 

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 CSR活動に取り組む企業が多数あり、経営の中核のひとつになっているはずである。

 思い起こせば、乳業トップメーカであった雪印乳業の集団食中毒事件、その後、子会社の雪印食品で牛肉偽装事件が起こり、雪印乳業は廃業、解散に至る事件があった。これを境に、CSRが定着していった。しかし、その後も企業の不祥事は続き、企業の倫理感やコンプライアンスが問われ続けてきた。

 

 こうした背景があってのことか、企業はCSR活動に取り組み充実させてきた。ホームページのCSRページを見れば、素晴らしい内容が羅列している。そうであるにもかかわらず、未だ、食品廃棄という問題は解決されずに残っている。従来のCSR活動に限界もあるのかと感じてしまう。

 

 企業は、利益を継続的にあげ、株主還元し、地域の雇用を確保する使命がある。常に社会課題を解決して、それを事業の源泉にしていかなければならない。社会課題は時代時代で変化する。そう思えば、企業の対応が常に後手後手になりがちなのかもしれない。

 

 そうしたこともあってか、常に経営手法もアップデートが繰り返され、近頃はステークホルダー資本主義」と言われてきている。昨年、米ビジネスラウンドテーブルが株主第一主義を放棄したことが追い風になったのかもしれない。

 それに加えて、気候変動、海洋プラスチックが国際問題となり、その対応が様々な場で話し合われるようになり、サスティナビリティ、持続可能な社会が国際的な目標として強く意識されるようになった。

 その一方で、国内に目を転じれば、人手不足問題が顕在化して、事業存続に影響を受けかねない深刻な状況にもなっている。

 

 昨今のコンビニ問題は、今あるこうした問題の縮図なのかもしれない。セブンイレブン、ファミマはリストラを実施するという。生々しいファミマのリストラ内部資料が流出していたりする。暗雲立ち込めるかのようにも映る。

 

diamond.jp

 

 そうした厳しい事情は理解できるものの、常に結果は求められる。恵方巻では、「予約販売」、「適量生産」で、それなりに結果を示せた。業界常識という大きな壁があるのかもしれないが、それを壊して、「適量生産」を定着させることが求められる。

 既に出来上がっているCSRの活動結果と組み合わせて、よりサスティナブルな企業に変わって欲しい。 それには、従業員はもとより、顧客とのエンゲージメントが求められる。消費者、市民との対話を続けていくことが何よりも重要ということでもある。

 

 

 

 大手電機メーカで長くサプライチェーンの仕事に携わってきたので、どうしても、こうした「ムダ」のことが気になってしまう。

 サプライチェーンの仕事を始めたとき、最初にチャレンジしたのが、素材の中間在庫の処分問題だった。取引先に使われなくなった膨大な素材があった。サプライチェーンを途絶えさせないために、取引先が抱えていた在庫だった。その現場は海外、商習慣の違いもあるのだろうけれど、取引先は素材メーカに在庫分の支払いを行っていなかった。素材メーカからのクレームでその問題が発覚した。

 素材メーカに協力してもらい、不要になった素材を転売して、目先、問題は解決した。どうしたら、「不要」になる素材をなくなせるか、それが次のテーマになる。その当時、取引のあった欧米メーカのサプライチェーンマネージメントを模して、関係者で知恵を寄せ合って、その問題は解決していった。

 

 

 

 かつて、欧米メーカは、日本メーカの品質と低価格に敗れ、一時ものづくりが衰退した。しかし、彼らは徹底的に日本の強みを分析していた。品質管理手法やトヨタJIT(ジャストインタイム)方式が研究され、6σやリーン方式に昇華し、ナイキやスターバックスなどの多くのグローバル企業がそうした手法を取り入れ、日本メーカに対抗、再び世界を席巻、今の状況になった。

 

 そんなことを知ると、悔しいが欧米に学び、それを進化させるしかないと思ったが、いざそれを広めようとしても、抵抗勢力が現れたりして、遅々として進まないまま事業が終わりを迎え、自分は電機メーカを早期退職した。

 そんな苦い経験があるかもしれない。業界は違えども同じ轍は踏んでは欲しくない。

  

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