先人たちは実に便利な素材プラスチックスを発明したものだ。軽くて、丈夫で、長持ちし、燃やすこともできる。
そんなメリットを産業界が見逃すことはなかった。ありとあらゆるものに利用され始めたことで、価格も驚くほどに安価になった。規模の経済、大量消費の始まりだったのかもしれない。
(資料出所:環境省)
昨日、ドラッグストアに行った。これだけ脱プラが騒がれていても、店内には変化はない。相変わらず華美なプラスチックスが所狭しと並んでいる。プラスチックスに替わる新たな素材が開発されていないのだから仕方がないことなんであろう。
当面はリサイクルに頼り、バイオ系プラスチックスへの転換を待つしかないのだろうか。そうはいっても、輸出に頼っていたリサイクルにも限界はある。この先のプラごみ処理はどうなるか心配にもなるが、すぐには解決できそうにない。
(画像出所:エレンマッカーサー財団)
昨年、英エレンマッカーサー財団が「Reuse」というレポートを発行した。
「Reuse」Rethinking Packaging (Ellen Macarthur Fundation)
プラスチックスのパッケージの20%が「リユース」されるだけで、100億米ドルのビジネスチャンスが生まれると指摘する。世界の350以上の組織が、「リユース」を活用して、使い捨てプラスチックパッケージを減らす必要があること認識しているといい、100を超える企業が、2025年までに、使い捨てから「リユース」なパッケージに移行することを約束しているという。
エレンマッカーサー財団が発行したレポートを確認すると、「リユース」することのメリットと具体的な69例が示されている。
(画像出所:エレンマッカーサー財団)
「リユース」の69の実例の中に、東京都が支援、イオンが始める「Loop」を利用したリユースモデルの紹介もある。
(画像出所:エレンマッカーサー財団)
「Loop」や「ReCup」のように始まっているサービスもあるが、69の実例は、まだ実証実験のものも多い。こうしたアクションを起こしているのはグローバル企業やスタートアップたちが中心のようだ。残念ながら、このレポートに日本企業はない。
スーパーマーケットやECなど次々と新たな買い物方法が編み出され、消費が便利になった。
プラスチックスが安価になったことで、容器などパッケージの使い捨てが可能になり、牛乳配達のような、かつてあった回収して再利用する仕組みが崩壊し消滅していった。計り売りのお店も衰退し、今ではもう数少なくなった。
プラスチックスの利用を減らすには効果的な「リユース」ではあるが、企業がそれを始めようとすると障壁も多く、レポートからは試行錯誤する企業の姿を見る。
そうした中にあって、スタートアップたちが、古き良き時代のしくみを活かしながら今の時代に適した方法で復活させているという感じなのだろうか。
国内でもそうした芽が出始めているのかもしれないが、もっと多くのプレイヤーが必要なのかもしれない。
「Loop」の事例からすれば、アマゾンのようなECサイトやウーバーイーツ、宅配業者などが、昔の牛乳配達の役割を担ってくれればいいのかもしれない。それにしても、「リユース」に賛同する作り手が必要であることは言うまでもないが。
エレンマッカーサー財団が発行した「Reuse」のレポートには6つのメリットが示されいる。参考事例はあるが、明確な解はない。新たに何かを作り出す必要があるということであろう。
- Cut costs
- Adapt to individual needs
- Optimise operations
- Build brand loyalty
- Improve user experience
- Gather intelligence
日本にも、エレンマッカーサー財団のような複数の企業が業界を超えて学び合う場があってもいいのかもしれない。
この「Reuse」というレポートは、エレンマッカーサー財団の「New Plastics Economy」というイニシアティブによって作成されている。このイニシアティブに、多くのグローバル企業が参加するが、日本企業の参加はないのも残念である。