オンライン書店から始まったアマゾンが、今では世界最大の企業になっている。IT時代の寵児、大量消費社会の申し子というところだろうか。
アマゾンが新事業を始めると突飛なことのようにみえるが、あとになってよくよく見てみれば、実にリーズナブルで、みんなが欲しいと思うモノやサービスを提供している。
ECプラットフォームをマーケットプレイスとして開放し、誰もがそれを低料金で利用ができ、モノを売ることもできるようになった。
電子書籍キンドルも、IT化の流れにあっては自然なことであったし、クラウドサービスも自然な流れだったと今ならいえる。そのクラウドサービスAWSを日本政府までが使うようになっているのだから。
アマゾンのファッションD2C事業”「ザ・ドロップ」
アマゾンは、”インフルエンサーを使ったファッションD2C事業”「ザ・ドロップ」を昨年始めた。
大量消費を促しているようなアマゾンが、アパレルの受注生産にも進出するということに少々驚いた。
アマゾンの「The Climate Pledge」 2040年カーボンニュートラルへ
アマゾンは、昨年9月「The Climate Pledge」を発表した。
炭素ゼロ(二酸化炭素排出量の実質ゼロ化)を2040年までに達成することを誓約し、具体的施策を公表した。
狂気の沙汰、本気なのか?
大量消費を促し、地球環境を劣化させているとみえたアマゾンが、温暖化の原因であるCO2の削減に取り組み、10万台ものEVトラックを走らせることに驚いた。
少々穿ったみかたをしたが、調べてみれば、不思議なことでもなかった。今、必要とされることを、いつものように、シンプルに、できることからやっているだけのようだ。
ベゾス氏個人が1兆円の「気候変動対策基金」設立
そのアマゾンのCEOジェフベゾス氏が、今度は1兆円にもおよぶ「気候変動対策基金」を始めるという。この基金はベゾス氏の個人資産から拠出されるという。
アマゾンとして今すぐに出来ないことを、個人としてやろうということなのであろうか。
I want to work alongside others both to amplify known ways and to explore new ways of fighting the devastating impact of climate change on this planet we all share. (出所:ジェフベゾス氏インスタグラム)
凡人には思いもつかない突飛な行動にも思えるが、また、いつものようにうまくアマゾンのビジネスの中にも応用されていくのかもしれない。
アマゾン社員は、企業としてのアマゾンの気候変動対策への取り組みがまだ甘いといっているのだから。
ビジネスの世界では、「気候変動」が最大のリスクであることが、先のダボス会議 世界経済フォーラムで確認され、自社ビジネスにおける「リスクと機会」、「適応と緩和」が求められるようになった。
アマゾンの大胆な気候変動への緩和策には驚く。一方で、気候変動によって生じるであろうリスクへの「適応策」も求められているはずである。ベゾスの宇宙計画がその解決策ではあるまい。
それとも、気候変動を何が何でも阻止していこうとうことなのであろうか。
Every Day is Still "Day One"
Amazonでは、毎日が常に「Day One」であると考えるという。
最初の一歩を踏み出す日であり、新たな挑戦を心待ちにする日でもあります。毎日が常に「Day One」であることがAmazonを支える力となり、刺激となっています。 (出所:Amazon.co.jp)
この30年間、ITが世の中を変え、豊かさと便利さを享受することができるようになった。ベゾスの1兆円は世界をどんな世界に作ることになるのであろうか。
「to explore new ways of fighting the devastating impact of climate change on this planet」
と語ったベゾスはどんな未来を描いているのであろうか。
「関連文書」