Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

医療崩壊を防げ なぜトヨタは本業でもない医療支援を続けるのか

 

 人は不思議とつながりを大切にする。理解や共感があるから、つながりが生まれるのかもしれない。

 人は不思議に人を助けたいという気持ちも持っているようだ。好む好まざるは別にして、人は誰しもどこかのコミュニティに属し、無意識のうちに助け合い、協力しているのかもしれない。

 不思議なことに、人は人を助けたり、協力することで幸せを感じるようだ。誰かにプレゼントを贈って、不幸だと嘆く人はいないだろう。プレゼント選びに費やされる時間も、相手の笑顔を見たときに幸せに昇華する。しかし、幸せとは一瞬の時間なのかもしれない。

 

 トヨタのコロナ支援が本格化しているようだ。今回の支援活動の呼称に、東日本大震災の時の支援活動と同じ「ココロハコブプロジェクト」を選んだそうだ。

 4月初旬にコロナ支援を表明し、中旬以降から次々と支援を始めている。コロナ感染者移送用の車両提供から始まり、医療用フェイスシールドやマスクの生産も本格化しているようだ。

 フェイスシールドは、500~600個/週であった生産能力が約20倍の月産4万個(約2,000個/日)まで拡大しているという。さらに、今後月産約7万個(約3,600個/日)まで生産を拡大させるという。既に病院や自治体への供給も始まったようだ。

 トヨタグループのデンソーは、社員向けに4月27日からマスク生産を開始した。設備設計から製作まですべて内製で行い、クリーンブースを設け、衛生面が確保された環境で生産、5月以降は1日10万枚の量産を目指すという。

 

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(写真出所:デンソーニュースリリース「マスクの需給緩和に向けてデンソー内の生産活動に使用するマスクを自社で生産開始」

 

 トヨタグループのアイシンは、医療現場向けの簡易ベッド台と簡易間仕切り壁の生産を始めたという。

 

 

 

  香川照之さんが編集長を務めるトヨタウェブマガジン「トヨタタイムズ」に、今の状況を語る豊田社長の言葉たちを紹介する。

 

不安なんですよね、自動車業界も、世の中の人も。それで、誰かのせいにできるかというと、それもできないんですよ

だから、今、何が起こっているかというのを真剣には考えなきゃいけないですが、それぞれが勝手な想像ゲームをして、深刻な状況になることを避けたい

香川さんのお好きなボクシングね、ボクシングでいうと…。

今、クリンチ状態です。バンバン、バンバン叩かれていて、叩かれているときにどうするかというと、たぶん、致命傷を打たれると終わりなんですよ。

・・・だから、とにかく耐える。いつまで続くか分からないけど、耐える。それで、耐えながらも相手を冷静に見る。体力を温存しつつ、次の攻撃のための一手を考えるときだと思うんですよ。(出所:トヨタイムズ)

 

toyotatimes.jp

 

 トヨタの行為は売名行為なのであろうか。

 トヨタの自動車の販売は急減しているようだ。トヨタが発表した3月の業績によれば前年割れしている。そんな苦しい状況であれば、何もせずひたすら耐えるという方法もあろう。

 それでも、トヨタは医療現場を支えたり、自分たちができることをやろうとしている。

 

 何故なのだろうか?

 

global.toyota

 

 日本中がアマゾンの箱でいっぱいになると危機感を煽り、出店者の反対を押し切ってまで送料無料を断行しようとしたECサイトがあった。

 この会社は政府にPCR検査キットを販売、国民全員が自分で検査を実施し、日本経済再生の足掛かりにしようと、「日本復活計画」と題された提言を政府に行っていた。

 個人がPCR検査する危険性を指摘する日本医師会の猛反発にあい、PCR検査キットの販売を休止、すでに法人向けに販売したものを回収する騒ぎを起こした。挙句の果て、自身が務めていたPCR検査キットを製造する会社の社外取締役まで辞任した。

 見せかけの大義だったのだろうか。

大義が公正、公平ものであれば、反対者など存在しないはずである。たとえ反対者があろうとも、真摯な態度で臨めば、理解と協力を得ることもでき、大義を完遂させることもできよう。

 欺瞞や傲慢は大義大望と相容れない。コロナは企業の本心を暴露させてしまうのもしれない。

 

 失敗などネガティブなことはニュースになり、そこから非難が生まれる。

 善意の行為、ポジティブなことはニュースにならず、街の風景の一部として溶け込んでいってしまうのかもしれない。

 

 善意の行為という種子は、厳しい状況のあと、萌芽するのかもしれない。仮に一粒の種であっても、そこからは沢山の実りが約束されているのだから。一粒の米がたわわな稲穂となる。

「実るほど頭を垂れる稲穂」

強欲、貪欲にならずとも、おのずとより多く実るということが自然の法則なのだから。

 

 

 

 いつかはコロナを乗り越える日は来るだろう。そのときに備えて、今やるべきこと、善意の種を蒔けば、それはやがてアフターコロナの世界で豊かな実りとなるのかもしれない。

 

 日本経済新聞が、世界経済フォーラム(WEF)のクラウス・シュワブ会長とのインタビュー記事を投稿した。

 

――具体的に企業はどう社会への責任を果たせばよいですか。

「マスクなど衛生製品の生産は大きな貢献になっている。大企業が中小企業支援のための基金を作るなどしているのも重要だ。大企業もサプライチェーンのなかで、中小も含めた取引先や顧客企業と依存し合っているからだ。その半面、この困難な時期に自社株買いを続けたり、経営層に高額すぎる報酬を支払ったりするのは無責任だ」 (出所:日本経済新聞

 

r.nikkei.com

 

「多くの人が誤解しているが、企業は短期ではなく、長期的な利益を追い求めるべき存在だ。

長期の成長は幅広い利害関係者すべてに恩恵をもたらすのだから、株主重視と矛盾はしない」

「欧米では主に個人の自由や利害に重きが置かれる。

一方、ステークホルダー資本主義は集団にとって最善の形を追求すれば各自が満たされるという考え方だ

 個人を基盤にした民主主義の原理と、個人がつながった地域社会の幸福、という双方の観点を併せ持たないといけない」(出所:日本経済新聞

 

コロナを撲滅させる魔法のクスリはないのだろう。もしあるとすれば、こうした考え方なのかもしれない。

そこにあるのは「善意の行為」ということなのだろうか。

 

 

「参考文書」

global.toyota

 

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