Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ポストコロナ 「気候変動対策」を見直すとき

 

 「青空を守る闘い3年行動計画」

 2018年に中国が制定した環境改善活動だ。JETROによれば、北京市天津市、河北省とその周辺地域、長江デルタ、汾河(ふんが)と渭河(いが)の流域にある汾渭平原などを3大重点エリアとして、大気汚染防止活動を行い、2020年までに微小粒子状物質PM2.5の年間平均濃度を2015年比で18.0%以上低下させ、空気の質が「優良」となる日数を年間80.0%にするという。

 今期、この3大重点地域において、対象となる10月~3月の間で、いずれも目標を大幅に上回って達成したという。

 新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の制限の影響で、超過達成となった可能性も考えられるとJETROは指摘する。経済活動再開により大気汚染が悪化すれば、環境規制の執行が強化される可能性もあるという。

 

行動計画によると、「散乱汚企業」に対し全面的な一斉取り締まりを実施する。鉄鋼業界の超低排出を実現するための改造を加速させる。北方地区においては着実にクリーン暖房の整備を進め、石炭の小型ボイラーの廃棄を加速し、石炭火力発電所の低排出を実現するための改造を進める。グリーン交通実現のため、道路輸送を減らし、鉄道による貨物輸送の比率を高め、ガソリン・ディーゼルの品質の向上を加速させる。さらに、露天掘り鉱山の総合管理を推進し、黄砂に対する総合対策を強化する。 (出所:JETRO「中国、青い空を守るための3年行動計画を制定」

 

 中国で実施されている対策からすると、やはり化石燃料の影響が大きいということであろうか。

 

www.jetro.go.jp

 

 

 

アマゾンで「生物多様性」を守る先住民たち

 南米エクアドルとペルーの国境にまたがるアマゾン源流域。そこに暮らす先住民たちが、もう10年も前から、アマゾンの生物多様性を守るために大胆な行動を取ってきたという。

 

www.afpbb.com

 

 そのエクアドルのアマゾン源流域では、先住民たちが石油開発を阻止しようと活動を続けてきたという。

 昨年には、先祖代々伝わる熱帯雨林を守るため、石油会社による開発からの保護を訴えた裁判に勝訴したという。エクアドル政府の思惑を見事に打ち砕いた形になったという。

 

finders.me

 

 しかし、そのエクアドルにもコロナが影響を及ぼしている。

 世界経済が減速、石油価格が下落した。その影響で、エクアドルにデフォルトの懸念があるという。対外債務を多く抱えていることもあるのだろうか、政治家たちが、このアマゾン源流域を支配する国有企業を通じて石油産業の大規模な拡大を追求するかもしれないと、先住民コミュニティが恐れているとロイターがレポートする。

 

 日々の暮らし、自分たちが暮らす環境を守りたいという感情は国を問わず、どこも同じということであろう。

 

www.reuters.com

 

 そのエクアドル、中国との関わりが大きいようである。エクアドル政府は対内債務と中国からの短期借り入れの見直しを行うだろうとJETROは指摘する。貿易でも、中国の需要後退の影響が大きいらしい。

 

 

 

みずほ 石炭火力発電への融資方針変更

 先月4月15日、みずほフィナンシャルグループは、「サステナビリティへの取り組み強化について ~脱炭素社会実現に向けたアクション強化~」を公表し、石炭火力発電への融資方針を変更した。

 

気候変動リスクへの対応強化の観点から、石炭火力発電所の新規建設を資金使途とするファイナンスを行わないという方針への厳格化や石炭採掘セクターの追加、石油・ガスセクターにおける移行リスク対応の確認追加等の改定を行い、本方針に基づいて石炭火力発電所向け与信残高を削減する定量目標を設定しました。


「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」に基づく石炭火力発電所向け与信残高削減目標

2030年度までに2019年度比50%に削減し、2050年度までに残高ゼロとする。 

(出所:みずほフィナンシャルグループ ニュースリリース

 

 今回のみずほフィナンシャルグループの方針転換に、政府や資源エネルギー庁の幹部は驚きを隠せず、戸惑いをみせたという。

 日本経済新聞は、みずほが方針変更を行った背景を、「環境団体の”気候ネットワーク”が株主として情報開示の充実を求める提案を出すなど圧力を強めている。気候変動への対策で企業に行動を迫る株主提案は国内で初めてという。いまや外国人株主が3割前後を占める邦銀は脱炭素の流れを軽視できなくなっている」と指摘する。

  

一方、日本には石炭火力への関与がなお必要とみる空気も残っている。

国際協力銀行の前田匡史総裁は2月、「ダイベストメント(投資撤退)が解決策になるのか」と話し「より環境負荷が低く、高度な(日本の)技術に誘導するのが使命だ」と言い切った。

温暖化ガス排出を抑える技術開発の後押しや、太陽光や風力への切り替え投資など、邦銀に環境対策でむしろ多くのかかわりが求められている。

環境団体がさらに高いハードルを課すなか、日本国内のニーズにどう応えるか。企業や市場との対話がこれまで以上に問われる。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

化石燃料から再エネへの展開 無料のエネルギー源が紛争をなくすか

 資源に関わる話は、政治化しやすい。暮らしにかかわることだし、国の重要なエネルギー政策にもかかわる。しかし、残念なことに、化石燃料の確保のために争いを起こすこともある。

 

 このコロナで石油の需要が一気に冷え込み、二酸化炭素の排出量が急減した。「新しい日常」ニューノーマルな暮らしは、化石燃料に頼らずとも経済活動が成り立つこを暗示し、脱炭素が叶わない目標でないことを証明した。

 経済活動が再開されても、今まで同じ世界に戻ってはならないということでもあろう。ポストコロナでは、脱炭素に向け、再生可能エネルギーを拡大させる必要があるということだろう。太陽光や風力であれば、どの国も無料で使うことのできるエネルギーだ。政治化することもなければ、争いに発展することもなくなるだろう。

 

 気候変動は政治的な問題にしないで、解決したほうがいいということなのかもしれない。

 

 「サスティナビリティ」や「SDGs」の本質もそこにあるように思う。

 

 

「関連文書」

wired.jp

 

「参考文書」

www.jetro.go.jp

www.asahi.com

 

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