緊急事態宣言が解除された。長かったような気がする。
昨日の記者会見の内容を見て、改めて、そう感じた。
「本日、緊急事態宣言を全国において解除いたします....世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国的にクリアしたと判断いたしました」
と総理は言った。
世界的にも極めて厳しいレベルは必要だったのだろうか。
その後も、「空前絶後の規模」「世界最大の対策」と続く。何事も過大なこと、大風呂敷を広げるのが常のようだ。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
空前絶後の過大が世界最大の無駄を生み出しそうな気がした。
「ファクトフルネス」を思い出した。
世界を歪める10の思い込み、「10の本能」そのままと感じた。
ネガティブを煽って、事実を歪め、世界一の無駄遣いを正当化しているように感じてしまった。
そうすれば、自分はよくやっているような気になるのかもしれない。それを自画自賛ということもあるようだけれども。
ロイターが伝えた「焦点:閑散とする街の診療所、コロナが招く経営悪化 医療の質に懸念」という記事が気になった。
今まで、コロナが優先されてきたことは理解できる。その反動が病院で起こることに憂慮をおぼえる。まだまだ、コロナが終息したわけではない。
緊急事態宣言というコロナ対策を実施したことで、社会課題を再確認していかなければならないのかもしれない。まだまだ多くの課題がありそうだ。
ジャーナリストの江川紹子さんが記者会見で質問した。
「伺いたいのは、日本はなぜやることなすこと遅いのかという問題です。
いろいろな対策、ここでたくさんいいことをやりますという話を聞きましたけれども、それがものすごく時間がかかっている....10万円の現金給付は、私のところにはいまだに申込書さえ届いておりません.... いろいろなことが、幾らいいことをやりますといっても、かなり時間がかかっております。
これはどうしてなのか。
一つ一つの問題はいろいろ理由があると思います....何かもっと根本的なところが何か問題があるのではないかと....IT先進国だと思っていたのが、実は後進国ではないかとか、あるいは危機に対して何の準備もできていなかったのではないかという、いろいろな見方があります。総理御自身は、今の問題についてどういうふうに認識していらっしゃるか.....」
と切り出し、さらに、
「....先ほどまだ検証すべき段階ではないとおっしゃいましたけれども、第二波だか第三波だかが来るかもしれないと。そういうときに備えて、やはり今の段階で検証をきちんとやって、そして、どこが足りないのかということを考えるということが必要ではないかというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。尾身先生にもこの点を答えていただければ幸いです」(出所:首相官邸公式ページ)と質問した。
本格的な検証については、これはもちろん、ある程度収束したらということを申し上げたのですが、ただ、もちろん第二波、第三波に備えて、これは医療提供体制と検査体制ということをしっかりと今、やっているところでありますが、医療提供体制については、我々は今、相当ある意味においては余裕を持つ状況になっている。ただ、ここで今後、ECMOに必要な、台数だけではなくて、人員を確保していくということ等々についてもしっかりときっちりと把握をしていきたいと思います。十分に全国において、都道府県との関係において把握できていたのかという課題もありますから、そういうこともしっかりと対応していきたい。(出所:首相官邸公式ページ)
目に見える問題と、問題を生み出す背景
顕在化し目に見えている問題なら、対処療法で対応でき、改善していくことは可能だ。
その真因を分析し、対応しなければ、やはり根本解決はできない。
記者会見とは、多くの人々が様々な意見、問題指摘や提案をしてくれているようにも見える。一般的に考えるのであれば、これらの意見を受け止めれば、問題は解決に向かうはずである。
PDCA ビジネスの世界ではもう使い古されている言葉だが、Plan Do Check Actionという古典的な方法がスピーディーに物事を解決に導いていく。
Check 検証・分析の工程を辿らなければ、その効果性を知ることはできない。しかし、それは思わぬ現実を突きつけられることでもあり、避けたいという心理が働いてもおかしくはない。「無謬性の原則」という言葉があるとの指摘もある。
総理は記者との質疑でこう発言もされていた。
感染リスクをコントロールしながら、段階的に社会経済のレベルを引き上げていくことで、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていかなければならないと、こう思っています。
この新たな日常がいつまで続くのかということでありますが、それは正に、これは私たちのこれからの闘いにもかかっているのでありますが、同時に、やはり治療薬・ワクチンの実現が極めて重要なのだろうと思います。
先ほど申し上げましたように、日本だけで、これ、感染が大体終息したなと思えば完全な終息になるのではなくて、グローバルな時代の中において世界的にこの感染が終息しなければならないという中において、これは判断をしていかなければいけないという意味においては、治療薬やワクチンの存在が極めて重要だろうと、こう考えています。
総括と、また今後の検証ということでありますが、総括と検証は極めて大切なのだろうと思います。ただ、今のところ、この1か月半でこの感染状況について、最初に申し上げましたように、おおむね収束ということになってきたのではありますが、ただ、もちろんまだ油断もできませんし、まだ検証するという段階ではないのだろうと思います。しっかりともちろん、事態が終息した段階において、検証をしなければならないと、こう思っています。(出所:首相官邸公式ページ)
世界的な終息とワクチン開発 終わらない新たな日常
世界的な終息はいつ訪れるのだろうか。
こればかりは自分たちでコントロールすることはできない。現在の感染ペースや他国の状況を思えば、なおさらのことだ。
事態が終息(それとも収束?)したら検証すると総理はいう。いつになるということなのだろうか。
「関連文書」
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本