Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

アフターコロナのSDGs「行動の10年」

 

 争いや対立はできることなら避けたいと常々思う。それよりは互いに協力して、共存共栄する道を模索したい。しかし、なかなかうまくいかない。それが現実の世界ということなのかもしれない。

 コロナが一息ついたかと思うと、米中間のカップリングの進行、香港問題などが気になるようになった。なぜここまで深い対立になってしまうのだろうか。 

www.tokyo-np.co.jp

 

 

サッチャーゴルバチョフの友情が東西冷戦を終結に導く

 かつて、東西冷戦があった。イデオロギー対立とでもいうことであろうか、西側諸国の資本主義・自由主義陣営と、東側諸国の共産・社会主義陣営とで対立する構造であった。対立構造が単純だった。常に敵があり、敵が明確であったことで、そこから社会秩序が生まれたりしていた。

 それを思えば、現在は少し複雑なのかもしれない。イデオロギー的な対立軸がなくなったことで、ひとつになった世界で覇権争いが生まれてしまうのだろうか。 

 

 

 かつての東西冷戦では、ソ連ゴルバチョフ書記長が登場し、サッチャー英首相との関係から、87年のレーガン大統領との中距離核戦力全廃条約 (INF) の調印に導かれ、一気に緊張緩和が進み、その後、89年12月、地中海のマルタ島で冷戦終結が宣言された。その宣言までに40年の時間を要したという。 

ゴルバチョフ氏訪英後、米国のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)大統領に宛てた書簡でサッチャー氏は「彼(ゴルバチョフ氏)は比較的オープンで知性的だ。親しみやすくて魅力やユーモアもある。

ビジネスができる相手だと確信した。正直、彼のことは嫌いではない」と記している。
 しかしゴルバチョフ氏に対し、好感を示した一方で「鉄の女」の厳しい一面も見せ、「ソ連の人権状況についてなど、わたしが彼にしたような厳しい類いの質問に対しては、明らかに不慣れな様子を見せた」と指摘している。 (出所:AFP BB News) 

www.afpbb.com

 

サッチャーの「信念に基づく」政治が英国病を治癒

 サッチャー氏が活躍していたころ、イギリスは「英国病」に侵されていたという。

この「英国病」を社会主義による退廃と捕らえ、サッチャー首相は自らの取り組みを自由を取り戻す道徳的な営みとして位置づけたという。

 朝日新聞Globe+によれば、現実的な政治を好む英国では、信念だけで動く姿勢はあまり評価されない。いかに巧みに振る舞うかが問われる英国で、あえて「信念」を前面に掲げたところに、サッチャーの特徴があったという。

 彼女以降、「信念に基づく」と語ることは、英国でも恥ずかしくなくなったらしい。それは、首脳個人が問題解決の先頭に立つという政治スタイルを定着させることにもなったという。

「彼女にとって信仰は単に自らの内面の問題ではなく、彼女が打ち出した国家改革策の倫理的な枠組みをなすものであった」

宗教とのかかわりから、サッチャー政治の中では「道徳」「信念」が大きな要素を占めるに至った

「重要と思えるのは、サッチャーが当時のイギリスが直面していた危機を政策論で片付けられない道徳的危機と位置づけていたことである

(出所: 朝日新聞Globe+)

globe.asahi.com

 

 

グローバル化 VUCA時代へ

 東西冷戦は西側の勝利と言われた。それはイデオロギーの上での話であろう。結果的に、完全か否かは別にして、東側の国々の人々は人権という戦利品を手に入れることができた。そう思えば、東側も勝利しているようなものだ。

 冷戦後、グローバル化が一気に進み、今日を迎えた。便利と豊かさを手に入れたかもしれないが、Volatility(変動性・不安定)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)からなるVUCA時代ともいわれるようになった。そして、多くの社会課題や矛盾を抱え込むようになった。こうしたことを考えれば、西側諸国はほんとうに勝利したのだろうかと考え込んでしまう。何か残してきたものがあるのではないかと思ってしまう。

 

Decade of Action SDGs達成のための「行動の10年」

 2015年、こうした課題をSGDsを通して解決していこうとした。そして、 今年2020年1月からは、そのSDGs達成のための「行動の10年(Decade of Action))がスタートした。

コロナの感染拡大は、「行動の10年」が前途多難と感じさせた。それに加えての対立である。 

  コロナ対策では、独メルケル首相、ニュージーランド アーダーン首相、台湾 蔡英文総統の手腕が光った。この先、アフターコロナはまた違ったリーダーシップが必要なのかもしれない。それは二国間対立についてもいえることだろう。

  

「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」の冒頭部にSDGsが目指す世界が要約されている。もう一度再確認してみるのがいいのかもしれない。

 

2015 年 9 月 25 日第 70 回国連総会で採択 

「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」

 

今日我々が発表する 17 の持続可能な開発のための目標(SDGs)と、169 のターゲットは、この新しく普遍的なアジェンダの規模と野心を示している。これらの目標とターゲットは、ミレニアム開発目標MDGs)を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである。これらは、すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化を達成することを目指す。これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。

 

人間
我々は、あらゆる形態及び側面において貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人間が尊厳と平等の下に、そして健康な環境の下に、その持てる潜在能力を発揮することができることを確保することを決意する。

地球
我々は、地球が現在及び将来の世代の需要を支えることができるように、持続可能な消費及び生産、天然資源の持続可能な管理並びに気候変動に関する緊急の行動をとることを含めて、地球を破壊から守ることを決意する。


繁栄
我々は、すべての人間が豊かで満たされた生活を享受することができること、また、経済的、社会的及び技術的な進歩が自然との調和のうちに生じることを確保することを決意する。

 

平和
我々は、恐怖及び暴力から自由であり、平和的、公正かつ包摂的な社会を育んでいくことを決意する。平和なくしては持続可能な開発はあり得ず、持続可能な開発なくして平和もあり得ない。

 

パートナーシップ
我々は、強化された地球規模の連帯の精神に基づき、最も貧しく最も脆弱な人々の必要に特別の焦点をあて、全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得て、再活性化された「持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップ」を通じてこのアジェンダを実施するに必要とされる手段を動員することを決意する。

 

 

 

 

「関連文書」

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