昨年12月に東京都が「気候危機行動宣言」を発し、「東京ゼロエミッション戦略」を発表した。
この発表記者会見で、小池都知事は、その背景に、歴史的転換点「パラダイムシフト」を迎えつつあると指摘した。その例として「イーロン・マスクあたりは土管で物を運ぼうとしています」と、マスク氏が進める「The Boring Company」の事業をあげ説明していた。
- The Boring Company 土管で物を運ぼうとするイーロン・マスク
- ポストコロナ トヨタの業績予想は実現するのか
- 終末期を迎える石油産業 石油メジャーで始まる構造改革
- 国内 再エネ加速 ゼネコンの風力発電大型プロジェクトが動き出す
- 経団連の脱炭素化構想「チャレンジ・ゼロ」に続々参加する大手企業
- まとめ パラダイムシフト エネルギー産業が恩返しをするとき
The Boring Company 土管で物を運ぼうとするイーロン・マスク
そのイーロン・マスク、国際宇宙ステーションに到達したかと思うと、小池都知事が指摘した土管事業のほうで、進展を見せているようである。
米国で、ラスベガスやシカゴなどいくつかの自治体が、既にこの土管事業を採用し、具体的に計画が進み始めているという。
カリフォルニア州サンバーナーディーノ郡が承認したトンネル建設計画に向けて、Teslaの12人乗り電動バンが開発中だとThe Mercury Newsが報じた。
この情報は、Elon Musk氏のトンネル掘削会社The Boring Companyが新たな高速トンネルを建設する提案を推進するために、同郡の交通局が採決にかけた計画の一部として明らかになった。 (出所:c/net Japan)
トヨタも開発を進める空飛ぶ車に注目が集まっているが、イーロン・マスクは、空飛ぶ車は墜落の危険もあるから、地下トンネルで車を高速で走らせた方がいいと言っていた。宇宙事業スペースXで何度も実験段階で墜落事故を起こしていたから、そう思えるのかもしれない。
リーズナブルな話とも思えるが、マスク氏が最初に言葉を発したときには突飛なことに思えた。いざ実現の段になれば、今ある延長線上のことに思えるし、突飛なことではなく、こうして着実にパラダイムシフトが進んでいくのかもしれないと感じる。
イーロン・マスクの実行力にはただ驚愕するばかりである。
ポストコロナ トヨタの業績予想は実現するのか
トヨタが今期の業績予想を「営業収益(売上高) 24兆円 (前期比増減率 △ 19.8%)、営業利益 5,000億円 (前期比増減率 △ 79.5%)」と発表し、コロナ危機と言われる年に、24兆円もの売上を達成できるのだろうかと多少疑った。
ロイターが、「トヨタ自動車は5月の米販売台数が約26%減少。ただ、販売店での需要は前年の86%の水準まで予想以上に回復した。5月の販売も4月に比べ倍増したという」と報じる。トヨタの業績予想が実現可能な数字に見えてくる。
多くの企業が業績予想が難しいというが、トヨタとの差はいったい何であろうか。
終末期を迎える石油産業 石油メジャーで始まる構造改革
石油メジャーのBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)が、従業員1万人を削減すると発表したそうだ。全従業員の約15%に相当する人数だという。事業の軸足を石油・ガスから再生可能エネルギーにシフトさせる戦略の一環だとロイターが伝える。
他の石油メジャーの米シェブロンや英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルも、事業再編の一環で、従業員の削減計画を発表しているという。
100年近くに続いてきた石油によって支配されていた時代もいよいよ終末期が近づいてきたということなのだろうか。
国内 再エネ加速 ゼネコンの風力発電大型プロジェクトが動き出す
ここ最近、風力発電の大型プロジェクトを伝えるニュースが増えている。「サスティナビリティ」を訴求した東京オリンピックのインフラ整備が終わり、ゼネコン各社が積極的に動き出しているようだ。
「洋上風力の経済効果は15兆円、9万人の雇用創出も」と日本経済新聞が伝える。
時事通信は、再生可能エネルギー事業を手掛ける「東京電力リニューアブルパワー」の文挟誠一社長が、最近の原油安で火力発電の価格競争力が高まっているとの見方に対し、「世界的な脱炭素の流れは変わらない」と述べたと伝える。
経団連の脱炭素化構想「チャレンジ・ゼロ」に続々参加する大手企業
昨年とは随分様変わりしたと感じたりする。
経団連の中西会長が、定例会見で、「脱炭素社会の実現に向け、二酸化炭素(CO2)の排出量実質ゼロを目指すとした「チャレンジ・ゼロ」構想に、トヨタ、日本製鉄、JXTGホールディングス(HD)や電力会社、大手銀行など会員企業129社と8団体が参加する」と発表したという。
「チャレンジ・ゼロ」は、経団連が打ち出した脱炭素社会を目指す構想で、企業は温室効果ガスの排出を実質的にゼロにしたり、大幅に削減したりする技術の開発や普及に取り組むとNHKは報じる。
CO2を排出しない水素への燃料転換やCO2回収など、技術革新の取り組みを各社が表明したほか、環境対応などを重視する「ESG投資」など金融面での取り組み強化を示したとSankeiBizが伝える。
具体的には日本製鉄が、製鉄工程で石炭でなく、水素を還元材とする技術への転換や、出光興産がCO2をメタノールに変換して有効活用することなどを盛り込んでいる。 (出所:SankeiBiz)
まとめ パラダイムシフト エネルギー産業が恩返しをするとき
国際的に批判を浴びていた日本の石炭政策はどこへ行ってしまったのだろうか。少しばかり不思議な感覚にもなる。コロナショックで、状況が一変したのだろうか。
何かが変わるというのは、こうしたことのなのかもしれない。もう少し違うやり方もあるのではないかと思ったりもするが。これがパラダイムシフトということなのだろうか。
人生は三段階からなっているといったのは、元クライスラー社の会長であったリー・アイアコッカ氏。生前はカリスマ経営者とも言われた人だっだ。
「第一が学ぶ段階、第二が稼ぐ段階、第三が返す段階」
第三段階とは、引退するときのことを言う。「返す段階」、すなわち社会に還元する、恩返しの段階だという。
石油や石炭などの化石燃料で栄えたエネルギー産業が、「返す段階」を迎えているということなのかもしれない。
化石燃料で得た富を、脱炭素技術に投資していく。
それが次の世代の学びに引き継がれ、稼ぐ段階へとつながっていけば、持続可能な社会が実現されていくことにもなるのだろう。
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