日々流れる経済関連のニュースを眺めていると気持ちが凹む。不確実性が続くといい、なかなか明るい未来が見通せない。
FRB 米連邦準備理事会のパウエル議長が公聴会で議会証言を行ったという。「米経済について、新型コロナウイルス流行が制御されていると米国民が考えなければ、完全に回復しないだろう」という見解を示したとロイターが伝える。
パウエル議長は上院銀行委員会で、経済回復の時期や勢いを巡り著しい不確実性が続いているとし、「この疫病が収まったと確信されるまでは、完全に回復する公算は低い」と指摘。また「景気後退が長引けば長引くほど、恒久的な雇用喪失や事業閉鎖による長期的なダメージを受ける可能性が高くなる」と述べた。 (出所:ロイター)
政府の経済対策の一つである「Go Toキャンペーン」も委託費問題で遅延するようである。その影響もあってか、夏休みの旅行需要がさえないという。NHKのニュースでも、ことしの夏休み期間中の国内旅行の予約は、現時点で例年に比べて8割程度少ないとJTBの情報を伝えていた。
ロイターは、「旅行やレジャーの需要が弱いままでは、回復が期待されていた7─9月期の国内総生産(GDP)が、大幅減とみられる4─6月期から横ばいとなる可能性も出てきた」という。
明日6月19日は、都道府県をまたぐ移動の自粛が緩和される。どこまで国内旅行の需要が戻るのだろうか。それで経済回復していくのだろうか。そろそろアフターコロナ、ポストコロナが気になり出す。
グリーンリカバリー 緑の回復
6月10日、小泉進次郎環境大臣と、「気候変動イニシアティブ(JCI)」との意見交換会があったという。
コロナ収束後の経済回復についての意見交換し、テーマは、「グリーン・リカバリー(緑の回復)」だったという。
気候変動イニシアティブ(JCI)の末吉代表は次のようなコメントを残したという。
「グリーンリカバリー」はこれから始まる話ではなく、世界ではすでに始まっていた議論。企業の取り組みは先鋭に、激しいものになってきている。
金融も目線を変え始めていて、ブラックロックは金融の基本が根底から変わったといっているし、BNP パリバは OECD 加盟国の取引先に対して 2030 年までに石炭から手を切れと言っている。
彼らは他社より一歩先に行きたいとより高い目標・難しい大胆な目標を掲げて CEO が相当覚悟して取り組んでいる。
これが可能となった理由は、各国の中央政府がちゃんとした戦略をもって政策を出していること、社会の懐が深くて深いところでの議論ができていること、金融が大きく変わってきたことがあげられる。
最も重要なのは、中央政府の長期戦略とそれに基づく政策、見通しのつく政策を示すこと。
日本政府の支援のない日本企業を気の毒に思っている。日本企業は政府の支援のない孤立無援な状況での競争を強いられており、この状況を変えていただきたい。 (出所:環境省)
未来の選択
CDPジャパンは、The Investor Agenda: 「新型コロナウィルス・パンデミックからの持続可能な回復」を気候変動イニシアティブに寄稿する。
The Investor Agendaは、この中で、「政府は、この経済の落ち込みからの回復を追求するあまり、気候危機の視点を見失うべきではない」と指摘し、以下を提言する。
政府は、復興計画において持続可能性と公平性を優先事項とし、気候リスクを緩和するための排出ネットゼロ経済への移行を加速させ、新規雇用を創出し、持続可能性への民間資本の誘導に努めるべきです。
気候変動を悪化させる復興計画は、投資家と国民経済を向こう数年の内にさらなる財政、健康、社会リスクに直面させることになります。
向こう数か月の我々の選択が、世界経済と次世代に大きな影響を与えることになります。政府が、投資家、企業、労働者と協力して、公平で持続可能な復興計画を作成することが重要です。
(出所:気候変動イニシアティブ公式ウェブサイト)
The Investor Agendaは、世界の数兆ドルの資産を管理する投資家を母体に設立されたという。
来年のダボス会議では「グレートリセット」がテーマになるという。
今後、「グリーンリカバリー(緑の回復)」に向け、グローバルな議論が加速していく見込みであるという。
ウィズコロナを生き抜く智慧
世界経済フォーラムの公式サイトに、「幸福学の教授が教える、新型コロナウイルスの時代を生き抜く方法」との投稿がある。
「誰もが不安や不確実性を感じ、一種の恐怖に苦しめられています。人々は自分の気持ちを和らげるためにできることを探しているのです」
イェール大学で「心理学と幸福な人生」という講座を開いているサントス教授は、企業や政策立案者へアドバイスする。
「個人の幸せは、他の人を助けることで高まり、企業や政策立案者はそのことを学ぶべきだ」
アフターコロナ もう二度と同じ世界には戻れない
アフターコロナでは、もう二度と同じ世界に戻れないという。
「コロナからの経済社会の再開を、脱炭素社会への移行、循環経済への移行、そして自律分散型社会への移行、この3つの移行を同時に進めることで経済社会の再設計(Redesign)の機運を高めていきたいという思いを持っていた(出所:環境省)」
と発言したという。
ひとつの考えであるように思う。
「参考文書」