Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

国が推進し始めた「循環経済」 サーキュラーエコノミーを追う

 

 1か月ほど前のこと、経済産業省がサーキュラーエコノミーにかかわる「循環経済ビジョン2020」を公表した。2018年7月からの長きにわたっての調査を経て、ようやくビジョンにまとまったということなのだろうか。

 

循環経済ビジョン2020(経済産業省)

 

 経産省は、循環経済、サーキュラーエコノミー社会へ転換させていく意義を、

「世界的な人口増加と経済成長を背景に、大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済から循環経済への移行が世界的に求められています」

 

市場・社会からの環境配慮要請の高まりを新たなドライバーとして、あらゆる産業が、これまでの廃棄物・環境対策としての3Rではなく、「環境と成長の好循環」につなげる新たなビジネスチャンスと捉え、経営戦略・事業戦略として、循環性の高いビジネスモデルへの転換を図ることが重要となっています。 (出所:経済産業省公式サイト

と説明する。

  

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 既に、ビジネス界、ESG投資においては、サーキュラーエコノミーが既定路線になっている。こうしたことも今回のビジョン公表の背景になったのだろう。

 

 

 

 サーキュラーエコノミーは「サスティナビリティ」のためにあるといっても過言ではないだろう。生まれた背景に地球環境を保護があり、それとビジネスを両立させることを目的に考案され今日に至っている。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 サーキュラーエコノミーは、資源を節約し、地球環境への負荷を低減、気候変動対策に貢献しながら、ビジネス、そして、経済も成長させていこうというものであり、SDGsとの親和性も高い。

 

 もう世界で、国内で多くの企業がサーキュラーエコノミーに取り入れ始めている。そして、それは、ありとあらゆる産業に関わっている。

 

 経産省は今回示したビジョンの中で、サーキュラーエコノミー、循環システムの検討が急がれる分野として、プラスチックス、繊維、CFRP、バッテリー、太陽光パネルの5つを上げる。

 

 繊維については、「繊維は我々の生活に不可欠である一方、世界では廃棄された衣類の 73%が焼却または埋立て処分されている」と指摘したうえで、シェアリングサービスや繊維リサイクルの必要性を説明する。

繊維・アパレル業界にあっては、恒常的にオーバーサプライ傾向にあるビジネスモデルについて検討していく必要がある。すなわち、消費者嗜好が多様化する中、デジタルテクノロジーを最大限活用して産業の高付加価値化を図ることを前提に、マス・カスタマイゼーションへの転換や e-コマースの更なる促進、シェアリングモデルの積極展開等を通じ、流通販売形態の循環性の向上を図っていく必要がある。

加えて、繊維リサイクルの取組が進められており、一部企業では、自社製品を店頭回収し、途上国に提供・支援する取組が行われているが、今後はリサイクルを実現していくことも重要である。既に廃PETボトル由来の再生繊維の導入等が進められているが、リサイクルしやすい単一素材の機能性繊維の開発や繊維 to 繊維のリサイクル技術の開発等を進めていく必要がある。 (出所:経済産業省「循環経済ビジョン2020」

 

 

 

 

  VOUGEが、サーキュラーエコノミーの事例となる商品やサービスのいくつかを紹介する。今回は、この季節の欠かせない傘の事例だ。 

「傘大国」とも言われる日本では、年間約1億3000万本の傘が購入され、そのうち6000~8000万本がビニール傘だと言われている。

しかし、どこでも安価に手に入るため、傘を忘れても「雨が降れば、またビニール傘を買えばいいか」と考えてしまってはいないだろうか?

この「使い捨て」感覚で購入しているビニール傘が環境に与える影響は、想像以上に深刻だ。強力な接着剤が使われているビニール傘は分解に手間がかかる上、材質もさまざまであり、リサイクルが極めて困難。

残念なことに、捨てられた傘の多くが処理しきれない廃棄物の山となり、毎年およそ4800万本が埋め立てられているという。 (出所:VOUGE)

 

www.vogue.co.jp

 

 そのVOUGEを発行するコンデナスト社は、メディア企業として初めて「ファッション業界気候行動憲章」に参加しているパブリッシャーだ。

 コンデナスト・インターナショナルのグローバル・COOウルフギャング・ブラウ氏は、その意義を述べる。

「ファッションはいつの時代も社会の大きな変化を反映し、文化の一翼を担ってきました。今日、デザイナー、アイテムの製造に関わる人々、ファッション・ブランド、およびファッション・ジャーナリストには、私達がファッションをどのように創造し、消費するべきかということを根底から想像しなおし、デザインを変え、再構築する責任があります。

世界でナンバー1のファッション・パブリッシャーとして、このような前向きな取り組みを牽引し、最善を尽くすことを私達は約束します。私達には、パリ協定の目標を達成するという確固たる意志があります。」(出所:PR Times

 

www.vogue.co.jp

 

 6月8日、WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)内に、IKEA原宿がオープン、原宿での「サステナビリティ」の発信地となることを目指しているという。

 IKEAもまた、サーキュラーエコノミーを積極的に推進している企業のひとつだ。

 

www.ikea.com

  

 

 

 経済産業省で、「サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会」が立ち上がった。6月24日に2回目が開催されるという。

 経済産業省はこの研究会の目的を次のように説明する。

我が国が循環経済へ転換する上では、このような仕組みの拡大と充実、企業の自主的な取組を後押しすることが重要であり、企業にとって取組を進める大きなインセンティブとなるのが ESG 投融資である。

 このため、サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環に資する取組を進める我が国企業が、国内外の投資家や金融機関から適正に評価を受け、投融資を呼び込むことができるよう検討を行う。 (出所:経済産業省公式サイト

 

 

「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は夢物語である」

との二宮尊徳の言葉を援用し、

「循環なき経済は罪悪であり、経済なき循環は夢物語である」

と、経産省は、循環経済の意義を表現した。今回示したビジョンが、産業界の「規範」になることを願うとしている。

 

 

 

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