米スターバックスなど大手企業がフェイスブックへの広告出稿を一時休止しているという。
朝日新聞によれば、企業側が問題視しているのは、フェイスブック上でのヘイトスピーチなどへの取り締まりが甘く、不適切なコンテンツの横に広告が掲載されることを嫌ってのことのようだ。
これに加え、トランプ大統領の暴力を賛美するかのような投稿に対する対応の甘さを問題視していることもあるという。
フェイスブックは対策を強化しているが、市民団体側は「小さな変化にすぎない」として抗議を続け、この活動に賛同する企業が増え、広告停止の動きが広がっているという。
今回の動きの発端は6月半ば、人種差別に抗議する米市民団体が共同で、「FBは、米国内の人種差別に抗議する人たちへの暴力を誘発する動きを許している」と同社への広告停止を呼びかけたことだ。
賛同する動きは、消費財の世界大手「ユニリーバ」、米携帯大手「ベライゾン」、飲料品の世界大手「コカ・コーラ」、米アウトドア用品大手「パタゴニア」、同「ザ・ノース・フェイス」など超有名企業に一気に広がった。ロイター通信によると、賛同企業はすでに160社以上に上る。
(出所:朝日新聞)
世界経済フォーラムの公式サイトに「怒りに応える」という投稿がある。米国で始まり世界各地に広がった人種差別への抗議にどう対応していくかの提言だ。
記事では、ロサンゼルスでの黒人市民の死亡率が富裕層の3倍近いことを指摘したうえで、「パンデミックが黒人コミュニティにこれほど不均衡に影響を与えたという事実は、歴史的な人種差別を反映しているだけではなく、既存の制度的不平等の中に人種差別が生き続けていることを示しています」という。
この状況に対して、世界が取りうる最悪の反応は、さらなる二極化、狭い視野、安易な解決策の模索であり、これらは、噂、偽情報、憎しみの温床となると指摘する。
ある若い学生がニューヨーク・タイムズ紙で、
「崩れた道を前にした若者たちは、根本的な改革を心から求めている」
と語ったという。 そして、今日、人種差別に対する戦いの最前線に参加しているのも彼ら若い世代の人たちだという。
彼らの心に深く刻まれているのは、「あなたが不正において中立的な態度を取れば、それは抑圧者側に立つことを選んだことになる」という、デズモンド・ツツ大主教の言葉です。 (出所:世界経済フォーラム公式サイト)
なるほど、企業のリーダーたちの心根がわかるような気がする。
Forbesは、米国の辞書のひとつであるメリアムウェブスター辞典が、「人種差別」を意味する単語「racism」の語義の変更を決めたと伝える。
「racism」とはただ人種を理由にある人物を嫌うことだ、という考えには、米国の建国以来続く暗い人種差別の歴史が反映されていない。
「分離すれど平等」を認めた1896年の最高裁判決、人種隔離を合法化したジム・クロウ法、レッドライニング(黒人居住地域を融資リスクの高い場所とする差別的慣行)、名前による差別などの差別的な法や政策、慣例は全て、制度や構造上の人種差別に寄与している。
「racism」の定義が、米国の黒人が経験している制度的抑圧をきちんと考慮できていなければ、世間一般の理解が不足したままとなってしまう。 (出所:Forbes)
記事筆者は、「言語は非常に重要だ」といい、人々の間の溝を埋めることもあれば、逆に分裂を深める壁を築くこともあるという。
世界中の黒人に対する扱いについて議論する際に、制度的抑圧の歴史を参考にできれば、この問題に対する知識のない人々を啓蒙できるだろう。
歴史書は辞書よりも良い形で現実を説明できる。
人種差別的な考えや制度を撤廃するには、「racism」とは実際に何を意味するのかをよく考える必要がある。
歴史や制度的抑圧を反映して「racism」の語義を改訂することは、変化を促すだろう。これは将来的に大きな影響を生む小さな第一歩となる。 (出所:Forbes)
世界経済フォーラムは、この人種差別問題でも、「グレートリセット」との言葉を使う。
「私たちの社会には、ひどく間違っているものがある」
コロナパンデミックを境にして、国内を含め世界各地で様々なことが起きている。
「グレートリセット」のときのなのかもしれない。
「関連文書」
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