新型コロナの感染がなかなか収束しない。緊急事態宣言が解除され、収束方向に向かったと思ったのもつかの間、また、新規感染者数が100名を超えるようになってきた。
目を世界に転じてみれば、感染者数が1000万人を超え、拡大を続けているという。世界でいち早く封じ込めに成功し、24日間新規感染者が「0」の日が続いていたニュージーランドでも外国から帰国した感染者によって中断、入国時の検疫強化が必要となったという。まだ油断ができないということであろうし、国境管理が必要ということなのであろう。
BBCによれば、WHOのテドロス氏は、「終息に近づいてさえいない」と述べ、「厳格な検査や追跡を含む政策を通じてアウトブレイクを食い止めたドイツや韓国、日本の例に、より多くの政府が習うよう求めた」という。
コロナ渦 始まるレジ袋有料化
さすがにちょっと長いな感じ始めたコロナ渦、長引けば長引くほど、生活をはじめ、経済など多方面に影響する。
新型コロナ関連での倒産件数が全国で300社になったという。帝国データバンクによれば、これまでは宿泊関係が多かったというが、6月に入り飲食店が上回ったという。
その飲食店では、テイクアウトを始める店が増え、プラスチックごみが増えるという新たな問題が出ている。
今日7月1日から、レジ袋の有料化が義務づけられる。
使い捨てプラスチック削減につなげていかなければならない。
日本で出る廃プラスチックは年間891万トン(2018年)。再びプラスチック製品にする再生利用は23%にすぎない。燃やされるものも多く、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出につながる。 (出所:朝日新聞)
ケミカルリサイクル 「アールプラスジャパン」始動
使用済みプラスチックの再資源化を行う新会社「アールプラスジャパン」が事業を始めたという。
この新会社「アールプラスジャパン」は、サントリーや東洋紡、アサヒなどプラスチックスのバリューチェーンを構成する12社によって設立されたという。
ペットボトル以外の多くのプラスチックスがサーマルリカバリーで燃焼されるのが現状だが、新会社では、ペットボトルを含むその他一般のプラスチックスを原料となるベンゼン、エチレン、プロピレンなどのモノマーに戻す新たなケミカルリサイクルの技術を開発、プラごみの再資源化を目指すという。
従来のケミカルリサイクルは油化工程など複数の工程を経由するが、より少ない工程で処理できるそうだ。
2027年の実用化を目指しているという。CO2排出量やエネルギー必要量の抑制への期待もあるそうだ。
サントリー 2050年 温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す
6月29日、この新会社に参加するサントリーは、「環境ビジョン2050」を改定したと発表した。
2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すということを追加したようだ。
今年の世界経済フォーラムに参加した新浪社長は「気候変動に対するプレゼンスをつくるのが、日本の課題だ」と語っていた。ダボスで感じたことをビジョンに反映したのだろうか。
今まで、ペットボトルのボトルtoボトルリサイクルに熱心だったサントリーに変化が現れてきたのだろうか。
今回の新会社の社長もサントリーから選出されている。
キリン 安売りのシェア争いから離脱?
キリンは、サントリーに先がけ今年2月、環境ビジョンの改定を発表した。
「気候変動や環境問題が深刻化する中で、これまでのビジョンでは不十分と分かった」と語る溝内良輔常務執行役員の話を読売新聞が伝えた。
新ビジョンでは、2050年までにリサイクル材などを使った持続可能な容器包装を100%化し、再生可能エネルギーの使用割合100%にするといった目標を掲げたという。
従来のビジョンは、国内の環境への悪影響をいかに抑えるかという発想だったが、新しいビジョンは、より多くの関係者を巻き込み、グローバルな事業展開の中で新たな価値の創出を目指す。
溝内氏は「安売りしてシェア(市場占有率)争いをしても何のためにもならない。これからは、環境に配慮した製品であることが消費者から選ばれる基準の一つになる」と説明する。 (出所:読売新聞)
キリンは、原材料などの仕入れ先約250社に対して「今後は価格と品質だけでなく、その企業が気候変動や環境対策をしっかり行っているかどうかを含めて、取引先を選んでいく」とする新たな調達方針を示したという。
取引先も、SDGsや持続可能性への対応が求められ、ビジネスパートナーとしての条件になる。
まとめ
コロナで逆戻りしてしまったように見えるプラごみ問題、これまでの取り組みに問題があったということなのであろうか。
今までは、大量生産・大量消費、使い捨てを是とする社会で、その上に、3R(Reduce, Reuse, Recycle)活動を定着させてきた。
廃棄物の削減に一定の改善はあったのかもしれないが、今振り返ってみても、プラごみ問題が解決されたとは到底いえない。
「不可逆性」、コロナのような事態が生じても、後退することのないように社会のしくみを変えていかなければならないということなのだろう。
5月、経済産業省が「循環経済2020」を公表した。
従来の経済活動からサーキュラーエコノミーへの移行を推奨する。
花王の澤田社長も、「サーキュラー・エコノミー」の概念に賛同するという。
「ただ本気で取り組むには技術との連携なくして成しえません」。
「モノマーまで戻せるケミカルリサイクルができれば、その可能性はより高まるはずです」。
とも語っていた。
「アールプラスジャパン」のケミカルリサイクルが、国内サーキュラーエコノミー推進のひとつのきっかけになって欲しいものだ。
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