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新疆ウイグルの人権問題を憂慮するパタゴニア コットン素材の調達をやめる

 

 アウトドアブランド パタゴニア新疆ウイグル自治区からの素材調達をやめるという。

 WWD Japanによると、パタゴニアは当該地域のサプライヤーに撤退の旨をすでに通告しており、世界中のほかのサプライヤーに対しても新疆ウイグル自治区での原材料調達および製造を禁止したことを伝えているという。

 

 この問題に深い悲しみを覚えるとともに憂慮に堪えない

 その背景に、新疆ウイグル自治区での少数民族に対する人権侵害問題がある。 

パタゴニアは公正労働協会(Fair Labor Association)のガイダンスに従って新疆ウイグル自治区から撤退し、人権侵害のない、環境負荷を限りなく削減した形で製品を作っていくとの声明を発表した。 (出所:WWD Japan)

www.wwdjapan.com

 

 

米政府の新疆ウイグル自治区少数民族に対する人権侵害に対する制裁措置

 7月下旬、米政府は、中国の新疆ウイグル自治区での少数民族に対する人権侵害に関与しているとして、中国企業11社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティリスト(EL)に追加すると発表した。

 JETROによれば、その理由は、対象11社がウイグル族などに対する強制労働、もしくは抑圧目的での遺伝情報の収集・分析に関与していることが挙げられるという。

 この11社の中には、米国衣服ブランドにも繊維製品を提供している、香港本拠のエスケル・グループが新疆ウイグル自治区に有する拠点や、米国アップルなどにカメラやタッチパネル製品などを提供している、欧菲光集団(オーフィルムテック・グループ)の南昌拠点など9社が含まれるという。

 

 制裁対象には多国籍企業と取引のある会社も含まれ、日本等も対応を迫られる可能性があると時事通信は伝える。

 

www.jiji.com

 

新疆ウイグルの人権問題とは

 BBCは、ウイグル問題を以下のように説明する。

 第2次世界大戦下のナチスによるユダヤ人迫害を彷彿とさせる。

 

中国はウイグル自治区で何を?

人権団体は、新疆ウイグル自治区で高度の警備体制が敷かれた収容施設に拘束されているイスラム教徒は、最大100万人に上るとしている。

中国当局は、ウイグル族は「職業訓練所」で教育を受けており、その目的は暴力的な宗教過激主義と闘うことだとしている。

しかし、多くの人が礼拝やベール着用などで信仰を表明したという理由だけで拘束されていることを示す証拠が浮上している。

ウイグル族は大多数がイスラム教徒。民族的にはツルキ語族で、新疆ウイグル自治区の人口の約45%を構成している。

中国研究者のエイドリアン・ゼンズ博士は先月、中国政府が新疆ウイグル自治区の女性に不妊手術や避妊器具の装着を強制しているとの報告を公表した。 (出所:BBC Japan

www.bbc.com

 

 

パタゴニアが推奨する「リジェネラティブ・オーガニック農業」とは

  7月末、パタゴニアの日本支社は、「リジェネラティブ・オーガニック農業」を紹介するキャンペーンを始めた。

 この春から販売のはじまった新しいTシャツは、この農法で栽培されたコットンから作られているという。

 秋冬シーズンには、このリジェネラティブ・オーガニック認証・パイロット・コットンを採用した新製品を発売予定だという。

 

 キャンペーン内ではウイグル問題に言及することはないが、その影響あってのことなのだろうか。

 

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なぜ、リジェネラティブ・オーガニックなのか?

化石燃料集中型の農業から、不耕起および省耕起栽培慣行を採用し、健全な土壌の構築と炭素を地中に隔離することができるリジネラティブ・オーガニック(RO)に切り替えることにより、農業システムを問題から解決策に逆転させることができます。 (出所:パタゴニア公式サイト)

www.patagonia.jp

 

新疆綿の今後は?

 WWD Japanによると、中国産コットンの80%以上が新疆ウイグル自治区で生産されているという。

現在中国による繊維原料、糸、生地、衣服などの生産量は世界一で、専門家は新疆ウイグル自治区で生産された糸がバングラデシュカンボジアといった国々に輸出され、中国国外のサプライチェーンに紛れ込む可能性があることを指摘している。

しかし実際には、世界に流通しているコットン製品の5分の1に新疆ウイグル自治区原産の繊維や糸が含まれているという。 (出所:WWD Japan)

 

 パタゴニアは、この先「リジェネラティブ・オーガニック農業」で作られるコットンに切り替えていくことになるのであろうか。

 

 国内のアパレル関連でも「新疆綿」などウイグルと関わりのあるコットンを使っている。その対応に注目していきたい。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

「参考文書」

www.jetro.go.jp

  

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