Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

「サステナブルはすべてに優先する」 服から服へのリサイクル「RE.UNIQLO」が始動

 

 ユニクロリサイクルダウンを活用した商品「リサイクル ダウンジャケット」の販売を始める。昨年9月に始めたウルトラライトダウン・プロジェクトで回収した62万着のダウン商品のダウンとフェザーを100%使用したダウンジャケットだという。

 ユニクロは、昨年ウルトラライトダウン・プロジェクトを始める際、2020年秋冬シーズンから販売を始めると公表していた。約束通り、今年11月2日からの販売となるようだ。 

  

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 (写真出所:ユニクロ プレスリリース

 

 

 

 

 

ダウンリサイクルをグローバル展開へ

 国内で始まったウルトラライトダウンなどダウン商品の回収を、この秋、グローバルに展開するともいう。

 「ダウンリサイクルプロジェクト」、国内では、ユニクロのダウン商品を店頭に持っていくと、国内の店舗やオンラインストアで利用可能なデジタルクーポン500円分と交換できる。デジタルクーポンの発行は12月3日までだが、ダウン商品の回収はその後も継続する。

 

ユニクロの服を、再び(RE)ユニクロの服へ

「RE.UNIQLO」始動。

 回収した服を新しい商品に生まれ変わらせ、再びお客様にお届けする循環型リサイクル(RECYCLE)を始めるという。

 「賛同いただくお客様とともに、より環境と社会に良いブランドとなっていくことを目指しています」。

 「リサイクル ダウンジャケット」に合わせ、この「RE.UNIQLO」を発表した。

 

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 (写真出所:ユニクロ プレスリリース)

 

ReUse:難民への衣料支援などを通した服を服のまま再利用

ReCycleユニクロの服を、再び(RE)ユニクロの服へ

Reduce:これらの取り組みによって、商品のライフサイクルを通じて余分な廃棄物、CO2排出量、資源使用量をさらに削減する

(参考:ユニクロ プレスリリース)

 

www.uniqlo.com

 

ユニクロは社会インフラブランドになる

 WWD Japanによれば、ファーストリテイリングの遠藤真廣統括部長は、「全世界に2000以上の店があるわれわれがお客さまの不要になった商品を店頭で回収し、新たな商品に作り変えていくことで、(環境破壊などの)社会課題を解決することができる」と語り、「単なる生活インフラではなく、社会インフラブランドになる」と述べたという。

 さらに、齋藤源太郎ユニクロ グローバル商品本部MD部長はこうWWD Japanに話す。 

リサイクルのために多くのコストはかかっている。

しかし、その分を価格に転嫁せず、新技術を開発することで解決していくのがわれわれの使命。回収量が増えればその分コストメリットも出てくるはずであり、まずは再利用のためのサイクルをお客さまとともに作っていくことが重要。 (出所:WWD Japan)

 

www.wwdjapan.com

 

 

 

環境に配慮した商品は高いという概念を壊す リサイクルでも同じ価格で

 昨年、柳井会長兼社長は「リサイクルの効率性を高めてコストを下げ、従来製品と同じくらいの価格帯で販売する」と日経ビジネスの記事の中で語っていた。

 

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(画像出所:ユニクロプレスリリース

 

 今回発売される「リサイクル ダウンジャケット」の価格は7990円、他のダウン商品と同じ水準に抑えることができたようだ。

 

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 このリサイクルを支えたのが東レの技術なのだろうか。

 

ウルトラライトダウンから回収したリサイクル・ダウンの活用

お客様が着られなくなったウルトラライトダウンをユニクロの店頭で回収し、東レが新たに開発したダウン分離システムによってダウンだけを取り出します。その後洗浄工程を経て、新しいダウン商品の素材として活用します。
 従来、布団などのダウンが含まれる製品のリサイクルは、解体を手作業で行うことが一般的です。ウルトラライトダウンの場合、表地が薄く縫製も複雑なため、解体の難易度が高く、従来の手作業ではダウンを効率良く取り出すことが困難でした。今回、ウルトラライトダウン専用の分離機械の開発によって、ダウンの切断、攪拌分離、回収までを完全自動化させ、従来の手作業に比べて約50倍の処理能力を実現しました。また、ダウンが舞い飛ぶ環境下での手作業を廃止することにより、作業者の負担軽減にも配慮しています。

(出所:東レプレスリリース「ユニクロと東レがサステナビリティに貢献する新たな協業」) 

 

  東レの社長もまた、「リサイクルなどに対応できるように、以前からリサイクル技術を磨いていた。ただ量が少なくては採算が合わないユニクロの店舗網と回収システムがあるから、事業としても成り立つ」と日経ビジネスの記事の中で語っていた。

 

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まとめ  「サステナブルはすべてに優先する」

 ユニクロというSPA(=Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)と素材メーカが出会うことで、ひとつのループが結ばれ、「サーキュラー・エコノミー」が完成する。

 SPAとは、企画から製造、販売までを垂直統合させることでサプライチェーンのムダを省き、消費者ニーズに迅速に対応できるビジネスモデルのことをいう。(参考:NRI

 今回のこの取り組みで、貴重なダウンやフェザーを繰り返し使えることができるようになれば、新たな資源を必要最低限にとどめることもでき、動物福祉にもつながっていく。

 柳井会長兼社長が、2019年8月期の決算説明会で、「サステナブルであることはすべてに優先する」と語ったことを思い出す。有言実行、ひとつの形が出来上がったということであろうか。

 

 

 「関連文書」

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