「ミドリムシで空を飛ぶ」と聞いたときは驚いた。何を言っているのだろうかと。だが、それがきっかけで、バイオテクノロジーに興味をもつようになった。
ダーウィンの進化論には興味があるが、生物学や化学はあまり得意ではない。「パラミロン」、何をいっているのか最初はまったく理解できなかった。今も完全に理解できているわけではない。だから興味も沸くし、感動できたりするのかもしれない。
宮崎大学のミドリムシがマスクに ?
宮崎大学農学部の林雅弘教授が、ミドリムシからつくる繊維状物質「パラミロンナノファイバー(PNF)」の生産技術を確立したという。
373 News.comによると、このPNFを使うとおむつやマスクに使うことができ、またフィルター素材に利用できるという。不織布替わりということだろうか。樹脂やゴムに混ぜれば強度を上げることもできるという。
愛媛県の企業が本年度から実証プラントを稼働。2021年度から本格生産を始める。林教授は「環境負荷が少なく時流に合った素材ができた。より広く活用されれば」と話している。 (出所:373 News.com)
林教授はミドリムシ研究を35年近く続けられているという。ミドリムシのユーグレナ社の出雲社長が40歳ということからすると、すごいことだ。
ケンブリッジ発 植物性タンパク質由来のバイオプラスチックス
イギリスケンブリッジにある「Xampla」は、ミドリムシのように多糖類を利用するのではなく、植物性タンパク質からプラスチックスを作るという。Forbesによれば、廃棄された時は自然に、完全に、素早く分解されるという生分解の特性を有するようだ。
まずは、シャンプーや柔軟剤、化粧品などに含まれるマイクロプラスチックス、マイクロビーズ代替として、「マイクロカプセル」を実用化することを目指しているという。この技術を利用すれば、ポリ袋、包装用フィルムなど、身近にある日常使いの使い捨てプラスチックスを置き換えることもできる。「Xampla」によれば、プラスチック用途の詳細については年内に発表する予定だそうだ。
The plastic inside products - and us
Xamplaは、蜘蛛の糸、スパイダーシルクからインスピレーションを得たという。自然界には素晴らしい素材がある。Forbesによれば、蜘蛛は、アミノ酸の自己組織化能力を利用して、タンパク質を成分とした糸を作り出すという。そして、その天然の糸は、強靭で柔軟性に富んでいるという。
蜘蛛が糸を作るのと同様の効率的なプロセスで、無害な植物性タンパク質から、プラスチックのような素材を作り出す方法を発見しました。
この素材は、エンドウ豆や大豆のような豆類に多く含まれるだけでなく、菜種やジャガイモにも含まれており、豊富に生産され再生可能です。
国内発人工タンパク質素材「QMONOS(クモノス)」
日本では、スパイバーが世界で初めて人工合成クモ糸の製品化に成功している。
スパイバーは、そのクモの糸を「QMONOS(クモノス)」と名付けた。それは、極めて強靭であるうえ、原料を石油に依存しない。微生物による発酵プロセスを利用して製造される構造タンパク質「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を利用する。
ザ・ノース・フェイスが昨年末に、この糸を使った「ムーンパーカ」を販売、話題になった。関山代表は、「非常に数は少ないが、この先の未来のスタートラインに立てた」と語っていた。
このとき、WWD Japanはある大手繊維メーカーの幹部と関山代表の声を紹介した。
「人工タンパク質素材は、1953年に工業生産を開始したポリエステル以来の革命的な素材。本格的に普及することになれば、衣服の歴史に新しい1ページが加わることになる」(大手繊維メーカ幹部)
「タンパク質のすごいところは組み合わせが無限大である点。人類がタンパク質を使いこなせるようになると、オプションが飛躍的に広がる。石油という枯渇資源に頼る必要がなくなるし、動物を殺す必要もなくなる」(関山代表)
関山代表の最終的な目標は「人類平和だ」、とWWD Japanが紹介する。
「これまでの化石燃料をベースにした大量消費社会は、いずれ破綻する。温暖化や食糧難はさらに大きな問題になり、戦争の原因にもなる。そのパラダイムシフトのために、タンパク質を使いこなすことが人類にとって非常に重要になる」
と関山代表は話す。
温暖化で進む北極海の異常 海氷面積が過去2番目の小ささに
Arctic sea ice reached its second-lowest minimum extent on record on Sept. 15, 2020. This year’s extent was larger only than 2012’s extent. @NASA and @NSIDC track sea ice through the year.https://t.co/hKsHRyP5LE pic.twitter.com/5108BOCy88
— NASA Earth (@NASAEarth) 2020年9月21日
今年夏、北極の最小海氷面積を15日に記録したという。約40年間で2番目に小さかったと、米雪氷データセンターとNASAが21日、発表したと共同通信が伝える。2010年までの30年間の平均と比較して4割小さかったそうだ。
動き出すバイオエコノミー。
しかし、そのスピードよりも早く地球の温暖化は進んでいるようだ。
ポリエステル / ポリエチレンが革命だったように、次の革命を起こさなければならない。そのためには、バイオ素材を積極的に採用、イノベーションにつなげていかなければならないのだろう。