内閣が変わり、何か雰囲気が変化し始めていないだろうか。菅首相は生活者目線に立った政策の打ち出しが得意だと日本経済新聞はいう。そうした政策の変化が影響しているのだろうか。不妊治療の保険適用はその一例なのかもしれない。
少子化は社会のを映し鏡
記事によれば、前の内閣は、少子化対策の幅を広げ、若者や子育て世代にとって、ややずれを感じる政策もあったのではないかと指摘する。
菅首相には、「安心して新しい家族をつくることができる社会へ政策を着実に実行してほしい」と記事筆者はいい、少子化対策を提言する。
「それは結果的に少子化対策となるはずだ」
少子化は社会を映す鏡といわれる。余裕をもって子どもと向き合える働き方を目指し、親の経済状況にかかわらず子どもがチャンスをつかみ取れるように支援する――。 (出所:日本経済新聞)
『「幸せ」視点の少子化対策』、この内容を伝える日本経済新聞の記事のタイトルだ。
人を真ん中に据えた政策であれば、より包摂的な社会ができ上がったりはしないだろうか。その延長に多様性が根差した社会があるのかもしれない。
こうした社会を実現していくために、働き方、そしてそれを提供する企業の努力が不可欠であることはいうまでもない。もしかしたら、企業の存在意義、使命にも変化が起こるかもしれない。
仏食品大手ダノンは「使命を果たす会社」
フランスでは昨年、「使命を果たす会社」という新たな会社の形態を法で規定したという。利益だけでなく社会や環境の改善を目的とすることができるという。
日本経済新聞によれば、フランス以外でも、同様の制度があり、米国では、「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)」という制度があるという。公益を正式な目的に掲げる会社形態だという。デラウェア州をはじめ36州が法制化しているそうだ。
フランスでは、食品大手のダノンがその「使命を果たす会社」に認定されているという。6月、会社の憲法といえる定款を変更し、「製品を介した健康の改善」「将来を社員と形成する」「地球資源の保護」、そして、「包摂的な成長」からなる目標を加えたという。
ダノンによれば、日本からダノンのミッション委員会に参加する水野弘道氏は、以下のようにコメントしたという。
「ダノンが上場企業としては世界で初めて、株主価値の持続的向上と社会、環境問題解決の両立をはかることを定款にて明確にした『Entreprise à Mission(使命を果たす会社)』となることが、この株主総会で99%以上の株主の賛成で決議されたことを嬉しく思います。
株主の長期的な価値創造と社会、環境問題の解決は二律背反ではないという、SDGs・ESG経営の考えを、ダノンが実践していくことを期待しています。」
ダノンが進めるBコープ認証
ダノンジャパンは6月、Bコープ認証を取得したと発表した。このBコープもまた、株主だけではなく、従業員や顧客、社会や環境に対して等しく便益を生み出すことを生みだすことを求めているという。
Bコープ認証とは
ダノンジャパンによれば、B Corp の「B」は、英語の「Benefit(ベネフィット:便益)」を意味し、株主だけではなく、従業員や顧客、社会や環境に対して等しく便益を生み出すことが企業の成功とするという。
Bコープは、製品やサービスを越え、その背後にある事業全体を対象にした数少ない認証制度。評価プロセスにおいては、「ガバナンス」「従業員」「コミュニティ」「環境」「顧客」の 5 つのカテゴリーで企業のパフォーマンスが測定され、これにより、社会貢献活動など、これまで数値化することが困難であった分野が可視化され、自社の目標や他社と比較確認することが可能になるという。
Bコープ認証が目指す世界とは
多くの社会問題を抱え、政府やNPOだけで問題に対峙しきれなくなっている今、企業に対する期待は変わりつつある。そうした社会にあって、Bコープの目的は「ビジネスにおける成功を再定義すること(Redefine success in business.)」、とSustainable Japanは説明する。
企業が「世界の中で競争する(Compete in the world)」のではなく、将来、すべての企業が、「世界のために競争する」(Compete for the world)ようになる、というのが、 Bコープの認証団体であるB LabのビジョンだとSustainable Japanが伝える。
日本では、Bコープ認証を取得している企業はまだ少ないと聞く。
新しい政策の下、まずは仏ダノンのように、企業の理念やビジョンがアップデートされていけばいいのかもしれない。
それは経済ばかり追求する社会から脱皮する機会になるということなのかもしれない。
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