米ウォルマートが、「リジェネラティブ・カンパニー (地球を再生する会社)」になるとの目標を掲げた。2040年までにグローバルオペレーションを「ゼロエミッション」にし、2030年までに少なくとも5,000万エーカーの土地と100万平方マイルの海を保護、管理、または回復することを目指すという。世界最大の小売りであるだけに、その波及効果は大きいのではないであろうか。
すべての旅は理由から始まります。
ウォルマートが「リジェネラティブ・カンパニー」に変わるべき理由をCEOのダグ・マクミロン氏が語る。
記録的な猛暑、前例のない範囲の致命的な山火事、「生き残れない」速度で海岸を脅かすハリケーン。
そして、私たちは驚くべき速度で重要な景観と生物多様性を失っています。調査によると、動物の個体数は過去40年間で約68%減少し、アマゾンの熱帯雨林の5分の1はわずか50年で姿を消しました。私たちの社会は「変曲点」にあります。今行動しなければ、後で何かをする機会がないかもしれません。
科学は明確で一貫しています。化石燃料の燃焼は温暖化の主な原因であり、世界は再生可能エネルギーへの移行にもっと積極的に取り組む必要があります。しかしそれ以上に、気候変動の最悪の影響を回避するために、世界は温室効果ガスの排出を削減、回避、除去しなければなりません。
もはや気候変動を「減速」させ、私たちが残したものを保護するだけでは十分ではありません。排出量の曲線を曲げ、自然を回復しなければなりません。 (出所:Walmart公式サイト)
米ウォルマートはリジェネラティブ、地球を再生する会社へ
「リジェネラティブ(Regenerative)」には、「再生的」「繰り返し生み出す」といった意味があるという。Ideas for Goodは、地球環境の持続可能性を追求するだけではなく、環境を再生しながら、生態系全体を繁栄させていく考え方であると説明、ウォルマートの取り組みを紹介する。
2040年までにグローバルオペレーションをゼロ・エミッションにするための対策
2035年までに施設を風力・太陽光といった再生可能エネルギー運用率を100%にする
2040年までにトラックを含む全車両を電気自動車にし、ゼロエミッションにする
2040年までにインパクトの小さい冷却剤への移行、そして店舗・クラブ・データセンター・配送センターの暖房機器を電気化する (出所:Ideas for Good)
(資料出所:Walmart公式サイトWalmart Sets Goal to Become a Regenerative Company)
また、これに加え、2030年までに少なくとも5,000万エーカーの土地と100万平方マイルの海を保護、管理、回復するための対策を行うという。
- ウォルマートが1エーカーの土地を開発するごとに、少なくとも1エーカーの自然環境を保護する
- リジェネラティブな農業プラクティス、持続可能な漁業管理、森林保全・再生を採用する
- 資金投入やサプライヤーとの協力により、自然エコシステム保全や暮らし改善の努力をする
- 2025年までにパーム油、ビーフ、大豆、パルプ、紙、木材の供給で100%、森林破壊をなくす (出所:Ideas for Good)
2028年 ウォルマート・カナダは全車両をEV化
ウォルマート・カナダは、2028年までに全車両を電気自動車EVに変えるという。Business Insiderによると、この発表は、気候変動によって深刻化している森林火災に襲われているアメリカ西海岸のオレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州で500万エーカー以上の森林が燃えていることを受けてのことのようだ。まずはテスラ(Tesla)の18輪電動トラックを当初の予約注文数の3倍以上に増やし130台にしたという。
(写真出所:Walmart Canada 「Walmart Canada more than triples order of Tesla Semi Trucks」)
国内では? ウォルマート傘下の西友のサステナビリティ
ウォルマート傘下の西友は、この先何かアクションを起こすのだろうか。現在は、「持続可能な水産業」への支援や「サステナブルな商品の販売」などの活動をしているようだ。詳細は、ウォルマート・ジャパンのページで確認できる。
これらに加えて、 リジェネラティブな農業に対する支援や販売、森林保全・再生するプロジェクトがあったりするといいのかもしれない。小売りの店舗が接点となって、こうした活動に気軽に参加できるようになってもいいのかもしれない。
従来の持続可能性という枠を超えて、「地球を再生していく」という考えに共感する。こうしたことがもっと拡がって、これらが日常のこと、ご普通のことになっていって欲しいと感じる。