Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

脱炭素を知る 企業のサステナビリティ・レポートを読む 

 

 脱炭素への動きが定着しつつあるのだろうか。そう感じるニュースが増えたように思う。ひとたび流れが生まれると、そこに引き込まれる力は大きくなる。参加者が増え、より一層強い流れになっていく。そうして、いつしか社会の一部になっていくのだろうか。

 今まで脱炭素に後ろ向きな企業たちが挙って、脱炭素化方針を明示し始めているようだ。いつまでも流れに抗ったところで、抵抗勢力とみなされ、社会から爪弾きされるだけだ。それならいち早く手のひらを返して、リーダーになれれば、受け取れるメリットがそれだけ大きくなるのだろう。

 そうわかっていても、できていない人たちもいる。身についた習慣から抜け出るのは難しいことなのかもしれない。

 気になる会社2社の「統合報告書」「サステナビリティ・レポート」に目を通してみた。

 

 

 

石炭から始まった宇部興産 2050年のGHG削減80%へ

 宇部興産が今年5月「UBEグループ環境ビジョン2050」を公表し、2050年までにGHG温室効果ガス排出量の80%削減を目指し、サプライチェーン全体の温室効果ガスを削減、脱炭素社会の実現に貢献すると発表した。

 宇部興産は、日本の大手総合化学メーカーのひとつ。Wikipediaによれば、宇部地区の主要炭鉱であった沖ノ山炭鉱を起源とする複合企業体で、化学製品(プラスチックスを含む)だけでなく、セメント、石炭等も供給しているという。社名にある「興産」には、「地域社会に有用な産業を次々に興す」という意味が込められているそうだ。

 

www.chemicaldaily.co.jp

 

 以前、宇部とは商社経由でPC-ABS材の取引があった。嫌いではなかった。結構柔軟に対応してくれていたとの記憶がある。

 

UBEグループにとってのESGとは  

 UBEの創業の精神は「共存同栄」「有限の鉱業から無限の工業へ」という言葉に表されるという。

 石炭の採掘から始まったUBEが、限りある石炭資源に頼らず、技術によってさまざまな事業を興し、時代の要請に応え、事業構造を変えながら持続的成長を図ろうという考え方が「有限の鉱業から無限の工業へ」だとUBEは説明する。

 この精神は、現在では化石資源の使用を抑え、CO2排出やエネルギー消費の少ない事業へのシフトを図ることであり、ESGの本質だという。UBEは、2030年度までにGHG排出量を2013年度比17%削減することを掲げた。

 「技術・コストの裏づけのある積み上げ数値目標としてはこのような数値ですが、さらなる上積みを図るため事業構造改革まで踏み込んだ施策を検討してまいります。化学部門で取り組んでいる「事業のスペシャリティ化」は、地球環境問題への対応という面からも背中を押されていると言えます」と社長の泉原氏は統合報告書でそう話した。

 今までの取り組みの甘さを自ら認めているのであろうか。その潔さは創業の精神に通じているのかもしれない。

 

www.ube-ind.co.jp

 

 

 

 鉄はリサイクルの王者 日本製鉄

 日本製鉄、日本最大の製鉄メーカであり、世界的にみても屈指の規模を誇る。2019年に新日鐵住金が商号変更し日本製鉄になった。

 Wikipediaによれば、前身の新日本製鐵新日鐵)は、日本製鐵株式會社(日鐵)を前身に持つ鉄鋼メーカーで、日鐵は1934年に官営八幡製鐵所を中心として複数の製鉄業者が合同して発足、「日本製鐵株式會社法」で経営が規定される高い公共性を持つ半官半民の国策会社であったという。

 そうしたこともあってのことであろうか、新日鐵と取引があったときはよく「鉄は国家なり」との言葉を聞かされていた。

 

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 その日本製鉄で気になることがひとつある。それはいつになったらGHG温室効果ガスの排出目標を設定するのであろうかと。

 日本製鉄が10月6日、「サステナビリティ・レポート」を公表し、その中で橋本社長は、「脱炭素化という極めて高いビジョン実現に向けて、2030年、2050年に向けた中長期CO2削減シナリオを検討を開始しました。2020年度中に公表する予定です」という。

 製鉄という事業は多量に石炭を使う。その分もあって膨大な量のGHG温室効果ガスの排出を続けている。そうした事情があるからこそなのかもしれないが、日本製鉄は熱心に環境活動を続けている。

 ただ少々その表現方法がいただけない。今回のサステナビリティ・レポートもそのひとつなのだろう。

 

www.nipponsteel.com

 

 ただ単にこんなに環境に良いことをたくさんやって貢献していますとアピールするのではなく、たとえば、サーキュラー・エコノミーにおいては、もっとアグレッシブな表現はできないのだろうか。現在も21万トンにおよぶ廃プラをケミカルリサイクルで処理している。製鉄会社でありながら、サーキュラー・エコノミーのソリューションを提供するリーディングカンパニーですと言い切って、この新しい概念をリードしてもらってもいいのではないかと思う。

 鉄鋼スラグを利用した海中へのCO2固定化などについてももっと積極的な展開があってもいいのではなかろうか。そこで固定化できたCO2の量と本業で出るCO2をオフセットしてもいいのではないであろうか。

 そんな日本製鉄を期待したい。大量にCO2を排出しているからこそ、リーダーになれるのではないであろうか。カーボンニュートラルな鉄に、世界のどこより早くチャンレンジして欲しいとそう思う。

 

 

dsupplying.hatenadiary.com