延期となったCOP26 第26回気候変動枠組条約締約国会議の日程が決まった5月、「関係省庁、政府全体あげてしっかりとした戦略を描くべきで、その時間が与えられた」と、小泉進次郎環境相が述べたと朝日新聞が伝えた。
国連のグテーレス事務総長から、温室効果ガス排出の削減目標を引き上げる要請があったにも関わらず、日本は削減目標を据え置いたまま、3月に回答していた。
その代わりに、COP26までに温暖化対策を追加で提出し、新たな削減目標は来年以降に改定される国のエネルギー基本計画や電源構成などと調整した上で見直すとしていた。 (出所:朝日新聞)
こうした背景もあってのことか、経済産業省が脱炭素政策を加速させているようだ。
COP26は、来年11月1~12日の日程でイギリス グラスゴーで開催となる。
マイクロソフトのカーボンネガティブを学ぶ
マイクロソフトが今年1月、2030年までにカーボンネガティブと発表したことを思い出す。その内容に驚いた。2050年までには、1975年に設立されてから排出したすべてのカーボンを環境から除去すると公表した。
いくつかの施策も合わせ発表し、新しい炭素削減および除去技術に投資し、開発するという。植林や土壌炭素隔離、炭素捕獲と貯蔵による生物エネルギー(BECC)、直接空気捕獲(DAC)などがカーボンネガティブ達成のための候補技術にあがった。
ついつい技術が開発が伴う新しいテクノジーに目が向く。しかし、短期間のうちに効果を上げていくためには、マイクロソフトも指摘しているが、植林や土壌隔離など自然の力に頼る方がはるかによいことなのかもしれない。
新しいテクノロジーを否定するわけではない。それが実際に具現化されれば効果的なことになるかもしれないが、それまでには長い時間を要してしまうのだろう。
それまでの間は、やはりできることをやるしかない。
CO2を削減 山梨県が進める「4パーミルイニシアチブ」
山梨県が、地方自治体で初めて「4パーミルイニシアチブ」に参加を認められ、その取り組みを開始したという。
特産のブドウや桃など果樹で剪定枝を炭にして土壌に戻す技術に取り組むと日本農業新聞が伝える。12月から10戸ほどの果樹農家で実証を始め、CO2削減量を評価するそうだ。
日本農業新聞によると、山梨県農政部の坂内部長が「CO2の排出側と見られてきた農業だが、炭素貯留をうまく進めれば温暖化防止に貢献できる」と話しているという。
4パーミルイニシアティブとは
2015年、パリで開催されたCOP21 第21回気候変動枠組条約締約国会議で、フランス政府が提案、始まった国際イニシアティブだという。日本を始め、283の国や国際機関等が登録しているという。
「パーミル」とは、0.1%のこと。4パーミルは0.4%のこと。
“世界中の土壌に存在する炭素の量を毎年0.4%ずつ増やすことができれば、大気のCO2増加量をゼロにすることができるかもしれない”、という考えに基づいて活動が行われています。 (出所:電気プラン乗換.com)
日本農業新聞によると、土壌の炭素量を増やす技術は炭素を含む有機物を土に残す考え方で、堆肥投入の他、草生栽培や緑肥のすき込み、不耕起栽培が効果的とされるという。こうした技術は温暖防止に役立つうえ、土が肥沃になるという。
朝日新聞 GLOBE+によると、4パーミルイニシアティブのポール・ルー事務局長は、こう話しているそうだ。
土に有機物が増えれば、長期的には土地の生産性が上がることが分かっていますし、水源にもいい影響があります。それに加えて、温室効果ガスの増加を食い止める力があるということです。
4パーミルは必達目標ではありません。ただ、そちらの方に向かえば前向きな効果があるのだから、それを進めるべきだということなのです (出所:朝日新聞 GLOBE+)
農水省や経産省も4パーミルイニシアティブに注目はしているようだ。こうした動きを広まっていけばいいのかもしれない。
狭い庭の手入れの参考にしてみたいと思う。
「関連文書」
「参考文書」