Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

もう後戻りしない世界へ 脱炭素化社会の実現に動く人たち

 

 マクロン仏大統領が気候変動問題で窮地に立たされているという。

 オルタナによれば、フランスの国務院(最高行政裁判所)が11月19日、仏政府に対して、「気候変動枠組み条約『パリ協定』(2015年)の目標を達成できること」を3カ月以内に証明するよう求めたそうだ。提訴していたのはドーバー海峡に面したグランド・サント市と、当時の市長。海辺の自治体であるがため、地球温暖化による海面上昇で水没する危険性が高いため、パリ協定の2030年目標に達するよう追加措置を取るよう政府に訴えたが、拒否されたため国務院に提訴したという。

 

 

 

フランスはEU欧州連合)28カ国共通の目標として「2030年にマイナス40%(1990年比)」の目標を掲げていたが、ここ数年の温室効果ガス排出量は、その年の目標排出限度を上回っていたにもかかわらす、「2020年4月21日の法律で、目標に達するための努力を2020年以降、特に2023年以降に先送りした」と国務院は報告している。 (出所:オルタナ

 

www.alterna.co.jp

 

 国務院は、政府の証明が不十分だと、グランド・サントの訴えを正当とし、政府の拒否を無効にそうだ。政府の御都合主義的な法律は許さないということなのだろうか。さすが、フランスといってのいいのだろうか。

 

地球温暖化対策推進法」改正へ カーボンニュートラル宣言の実行性を後押し

 国内では、政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言し、地球温暖化対策のもととなる「地球温暖化対策推進法」を改正、地域や企業の取り組みを強化、宣言の実行性につなげていくことになるという。

 これを受け環境省有識者会議を開催、関わる制度設計を始めているという。早ければ年明けの通常国会で議論、法制化となるようだ。

 

 

  

 コロナ渦の最中、政権が代わり、新たな内閣がカーボンニュートラルを宣言し、脱炭素関連を成長戦略に位置付ける。 あたかも日本版「グリーンリカバリー」がコロナ渦からの経済回復の旗頭になったように映る。

 環境問題に今まで先駆的に取り組んできた企業の努力が報われ、追い風になり、後ろ向きだった企業は俄然遅れを挽回するしかなくなった。巷のニュースはこうした出遅れた企業の動きをさかんに伝える。

 

 スパイバーのセーター ゴールドウィンと再びコラボ

 人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン™️」を開発するSpiberが11月10日、「The Sweater(ザ・セーター)」を発表した。この新しいセーターは、ゴールドウインのオリジナルブランド「Goldwin」として発売され、日本を始め欧米数カ国にて、数量限定で発売されるという。

 

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  (写真:Spiber

 

 このセーターには、毛素材とスパイバーが開発した構造タンパク質「Brewed Protein™」を混紡してつくられているという。毛が70%なのに対し、Brewed Protein™が30%使用されているという

ブリュード・プロテインとは、

スパイバーが開発した、植物由来の糖類(グルコーススクロース)を主原料とし、微生物を活用した発酵プロセスによりつくられる「構造タンパク質」のことをいう。

 その製造過程が酒類などの醸造(ブリューイング)過程に似ていることから「Brewed Protein™」と名付けられているとゴールドウィンは説明する。さらに、「Brewed Protein™」は石油由来の原料に依存せず、アパレル分野におけるマイクロプラスチック問題に大きな役割を果たせる可能性を秘め、持続可能な社会の発展に資する次世代の基幹素材と目されているともいう。

シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸、上質でなめらかな肌触りのカシミヤや、保温・保湿性に優れたウールのような紡績糸、まるで本物と見間違うようなアニマルフリーファーやアニマルフリーレザー、べっ甲や水牛の角のような樹脂材料、さらには医療用材料から、次世代軽量複合材料への添加剤まで、実に多様なかたちに姿を変え、私たちの生活を支えることができます。 (出所:「VISION QUEST Goldwin x Spiber)

 

www.goldwin.co.jp

 

 

 

「バイオ」が変えるアパレルの未来

決して遠くない将来、表素材、裏地、ダウン、ファスナーなど、様々な素材をこの原料を石油に依存しない構造タンパク質素材「Brewed Protein™」に置き換えることが可能と、 ゴールドウィンは想定しているという。

 そして、それが実現すると、ウエアを再び原料に戻して、新たな衣服に再生できる仕組み作りでき、循環型のスポーツアパレルに変化することができると、「今後の展望」を説明する。

2020年現在、「Brewed Protein™」の生産量は限られており、ウエアを量産できるには至っていません。

しかし、Spiberがタイに建設中の量産プラントが2021年に商業生産を開始すると、現在の数百倍の規模の生産が可能になり、品質安定性の向上、素材価格の低減、そしてさらなる新しい素材開発の可能性が開けることになります。 (出所:ゴールドウィン

 

corp.goldwin.co.jp

 

 石油由来のポリエステルがアパレルに革命を起こしたといわれる。石油を原料とせず、微生物の力で生まれる素材「Brewed Protein™」が、今、アパレルに変革を促す。

 ポリエステル以来の革命にするためには、スパイバー以外のメーカーでも同様な素材が開発されなければならない。

 

学用品のリサイクルに挑戦する高校生

 岩手県盛岡市では、 盛岡市内の高校生が発案した中古学用品の交換会「学用品リサイクルin飯岡」が11月28日と29日に、飯岡農業構造改善センター(盛岡市下飯岡)で開催されるという。

 この学用品のリサイクル「#スクールエコもりおか」の活動を盛岡経済新聞が伝える。

回収する学用品は、飯岡小学校・中学校のジャージーや制服、ザックなど指定学用品のほか、参考書、ドリル、部活用品など学校で使用するもの全般。ボックスを設置してから2週間ほどたつが、思うように集まらないのが課題だという。

(発案者の高校生は)「使わないものを譲りたい、中古品をもらいたいというニーズはあるが、自然と新品を購入してしまう環境が関係しているのではないか」と分析している。 (出所:盛岡経済新聞)

 

 

 

 盛岡経済新聞によれば、発案者の高校生は、回収と交換会の継続を考え、「同世代で一緒に取り組んでくれる仲間も欲しい」と話しているという。

目には見えない誰かのために意識できる人を増やしたい。目先の利益や自分だけが良くなる環境にとらわれず、未来の世代のためのエコな地域づくりに協力してほしい」と呼び掛けているそうだ。

 

学用品リサイクル活動「スクールエコもりおか」 高校生発案、交換会も開催へ - 盛岡経済新聞

 

この高校生は「実を言うと、最初の目標は学用品を譲る人と欲しい人をスムーズにマッチングするアプリを作ることだったが、いきなりアプリを開発するのは難しい。まずはイベント形式の交換会をやってみよう考えた」とも話しているそうだ。

 

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 様々な場所で、色々な人びとが、それぞれの立場で、脱炭素社会の実現に向け、行動を始めているように見える。政治が動いても脱炭素社会がひとりでに実現することはない。

 政府がしなければならないのは、こうした活動を支援、後押しすることなのだろう。

 決して、後戻りするようなことがあってはならない。