Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

脱炭素と成長戦略とサスティナビリティ

 

 「ミドリムシで空を飛ぶ」と初めて聞いたときは目が点になったものだった。よくよく調べてみれば、その理屈は理解はできたが、実用化できるのだろうかと多少疑ったりした。当時、よく飛行機に乗っていたので、興味をもったのことかもしれない。それ以来、ミドリムシユーグレナ社のことが気になっていた。

愚直なスタートアップ

 ミドリムシを使ったバイオ燃料の研究の始まりは2008年だったという。もうそんな前だったのかと振り返る。

 

 

 

ユーグレナ社の出雲社長にBusiness Insiderがインタビューし、その言葉を紹介する。 

 ベンチャーの役割はゼロからイチを作る、できるということを示すことです。

私の仕事は、人と地球を健康にできることを証明することでした。 (出所:Business Insider)

www.businessinsider.jp

 世の中にない全く新しいものをスケールさせるのに、20年の時間がかかると聞いたことがある。

 研究をはじめてから10年後の2018年、横浜にバイオ燃料の実証プラントが完成し、それから愚直なほどにユーグレナ社はバイオ燃料の拡販に向けた活動を続けている。  

dsupplying.hatenablog.com

 

 「これはもうQ.E.D.(証明完了)なんです」と、出雲社長はインタビューに答える。

 

ミドリムシ 加速

 ユーグレナ社のバイオ燃料研究も12年の時間が経過し、今年10月に国の公募事業に採択され、5年後に向け、スケールアップの段階へと移行する。

 本当にミドリムシで飛行機が飛べば、あとは工場を2000倍に大きくするだけで良いんです (出所:Business Insider)

と出雲社長はインタビューに答え、さらに「私たちがバイオ燃料の製造を実現したことで、大企業の皆様がそれをどう社会に導入していくか、という段階にきています。(協力企業の皆様には)すごいプレッシャーがかかっているのではないでしょうか」という。

「サスティナビリティ」があたりまえに語られるようになり、国もカーボンニュートラルを目指すようになった今、必要なものとして、その動きが加速するときなのかもしれない。 

 

  

 ユーグレナ社は、「名古屋港初、商船三井グループ運航船において、ユーグレナバイオディーゼル燃料にてトライアル航行を実施。GHG(温室効果ガス)ゼロ・エミッションの実現に向けて、一歩前進」と発表した。

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(写真:ユーグレナ

 商船三井グループ傘下の会社が保有、運航するタグボート「13たましお」を使って「ユーグレナバイオディーゼル燃料」を使用して、名古屋港でトライアル航行をしたようだ。

 

サスティナビリティ

 国のカーボンニュートラル政策を受けてのことか、水素やアンモニアなど様々な燃料のことがメディアに取り上げられ、過熱気味のように報道される。まるで企業による椅子取りゲームを始まったようにさえ映る。

 国の成長戦略に乗り、予算が付けば、それはそれで安心感が得られるのかもしれない。ただそれでカーボンニュートラル、現実の脱炭素社会に近づいていくのだろうか。

 

 

 「これまでの資本主義の延長線上に、この先の未来が無さそうであるということは、多くの人がなんとなく気付き始めています」と、出雲社長はBusiness Insiderで語る。

でも、次の答えを間違えていたらと思うと、なかなか進まないんです。そこで、我々がリスクをとって『(その答えは)サステナビリティです』と、証明したいと思っています。 (出所:Business Insider)

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 水素やアンモニアなど新たなエネルギーも必要なのかもしれない。しかし、それが本格的に使用できるまでには長い時間が必要となるのだろう。一方、バイオ燃料なら、飛行機、船やトラックなど既存のままで使用でき、それがユーグレナによって実証されつつある。

 まずはバイオ燃料への移行を進めて欲しい。それが社会をサスティナビリティに誘い、「脱炭素」に近づけていくのかもしれない。

 愚直過ぎてニュース性には乏しいかもしれないが、それが現実的な答えのひとつのような気がする。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

 

「参考文書」

www.euglena.jp