Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

サスティナビリティとは、そんなに急ぐことなのだろうか

 

 トヨタの豊田社長が、メディア報道に疑問を投げかけたようだ。

 自動車工業会のオンライン記者会見で、「日本は電動化に遅れてるとか異様な書かれ方をしてしまいますけども、これも実際はですね違います。結構進んでおります」と述べ、具体的な数字があげ、日本の自動車産業への理解を求めたという。

電動車、EV化という誤謬

 豊田社長がメディアに異例の注文を付けたとブルームバーグは伝える。

自動車業界では一貫して「電動化」という用語を用いてきたが、メディア報道では「EV化」になると指摘。用語の区別へ理解を求めた。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp 

 足元ではコロナ渦を収束させる、未来に向けては気候変動を止める、遅らせる、そこに目的があるはずなのに、力点が掛かっているところがどこか違うような気がしてならない。急いで駆け上がろうとすれば、足元の砂が崩れ、さらに深みにはまっていく。まるでアリ地獄にはまるようなものだ。 

 急ぎ過ぎてはいないだろうか。その次が早く知りたいという心理が勝っていないだろうか。

 

 

   

 小池東京都知事が8日の都議会で、「自動車の脱炭素化」について言及、「都内で新車販売される乗用車などを2030年までに100%非ガソリン化することを目指して、世界の潮流を牽引する」と発言した。

 経済産業省が10日「2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会」を開いた。NHKによれば、電気自動車やハイブリッド車などいわゆる「電動車」の普及・拡大に向けた課題を議論したという。その上で、「脱・ガソリン車」に向けた新たな目標を年内にとりまとめる方針と報じた。 

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 EVを製造販売するテスラに注目が集まり、爆速で株価があがり、時価総額トヨタを抜き去った。バイデン次期米大統領が2兆ドル規模のクリーンエネルギーへの投資を選挙で公約し、その中には50万か所のEV充電設備を整備も含まれていた。

 英国は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表し、HVハイブリッド車についても2035年に新車の販売を禁止するとし、代わりに充電スタンドの整備や購入の補助などを通じて、電気自動車などの普及を推進するとしたという。

参考:経済産業省「気候変動問題を巡る情勢について」

 

 

 

 豊田社長は、単純にEV化を進めれば、夏のピーク時の電力需要が急増すると指摘、また、東北で生産する小型車ヤリスを例に、化石燃料中心にした国内の電力事情では、再エネ、原発による89%を占めるフランスで生産した方がよりカーボンニュートラルに良いということになると語ったようだ。

 自動車工業会として、2050年のカーボンニュートラルにチャレンジすることを全会一致で決めたが、「ただ、画期的な技術ブレークスルーなしには達成が見通せず、サプライチェーン全体で取り組まなければ、一切競争力を失うおそれがございます」と述べたという。

  走行時のCO2排出をゼロにできたところで、発電される電力が化石燃料由来のままであれば、カーボンニュートラルどころではない。自動車生産時に使用される電力エネルギーもまた同様なことが言える。

 

サスティナビリティはすべてに優先する

 Business Insiderが、このコロナ渦にあって、ファーストリテイリングが異次元とも呼べる強さを見せ、存在感を増している感すらあるという。

 新型コロナ収束を見据えてのことであろうか、柳井正会長兼社長の言葉から、「戦略」や「ビジョン」、そして、「勝ち筋」を読み解くという。コロナ渦に苛まれる人々へのエールなのだろうか。

環境配慮型の選択的購買に対する意識は、コロナ禍でますます高まっている。

その大きな潮流も、ファストリの成長の追い風となっている。 (出所:Business Insider)

 「勝ち筋」という言葉がどうにもしっくりこない。記事に書かれるファーストリテイリングの施策一つひとつすべてが顧客や社会のために選択され実行されているだけではなかろうか。

www.businessinsider.jp

 経営者であれば、競合を分析し、追いつき追い越そうとするのかもしれない。スピード感は欲するのだろうが、着実に実行することを求め、それを推進する。急いだり焦ったりはしないのだろう。どんなことも物理的な時間は必要となる。

  世界一が手の届くところまでくれば、それを目標とするのかもしれない。しかし、その先には一体何があるのだろうか。もしかしたら、それが「サスティナビリティ」なのかもしれない。結局、顧客や社会のためにならなければ、誰もその商品を手にすることはないのだろう。

 そこに勝ちや負けはないような気がする。決算書ならべ論評することで、勝ちがあったり負けがあったりするのではなかろうか。

 

 

 新興EVメーカであったテスラは、最初に高級EVを作り、その資金を元手により廉価なEVを作りスケールアップする。それと同時に、自ら太陽光発電を行ない、顧客にも廉価に太陽光発電システムを販売し、ゼロエミッションの世界に誘う、そんな理想をマスタープランにしたためた。スタートアップだったからできるのことなのかもしれない。

 オールドエコノミー、世界一の自動車メーカートヨタは、社会の要請も鑑み、より良きカーボンニュートラルの世界を模索し、実行していくのだろう。

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(写真:トヨタ


 テスラとトヨタはコンフリクトしているのかもしれないが、その切磋琢磨が世界をサスティナビリティに近づけていくのかもしれない。

  

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 「参考文書」

car.watch.impress.co.jp