Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

拡がり始めるSDGs SDGs上場とは何か

 

 SDGs、国連が採択した「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)のことをいう。

 そのアジェンダ全文を読み、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)に目を通して、「誰一人取り残さない」という原則が世界共通の「モラル」になれば、争いが止まり、より多くの人々が平穏な暮らしを営むことができるようになる。この原則が企業活動や政治によって推進されれば、今ある社会矛盾も解決されていく。より多くの企業がSDGsに賛同し企業活動に取り入れ、「モラル」として定着していけば、みなが共存できる持続可能な社会になっていくと、思っていた。 

 

 

 SDGsという言葉が一般化してきたのだろうか。

 十人十色、より多くの人が知れば、その受け止め方が様々あるのかもしれない。

山陰でも山陰合同銀行鳥取銀行などは、環境保護や教育振興などSDGsに沿った社会貢献活動を展開する企業、団体を資金支援する。

目標の幅が広いだけに「何でもSDGs」とやったふりをされかねないが、役所が旗を振るだけでなく民間でも「持続可能な地域」を目指す動きが芽生えればいい。 (出所:山陰中央新報社)

www.sanin-chuo.co.jp

 知られないより、知られたほうがいいのかもしれない。何もしないよりは、何か関連することをした方がいいのかもしれない。理念や原則が理解されていようといまいと。 

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SDGS上場

 SDGs-IPOという新語が誕生したようだ。この言葉にオルタナが疑問を投げかける。

www.alterna.co.jp

 ポピンズHDが上場、国内初のSDGs-IPOとの記事を見かけ、少しばかり疑問を抱いたが、素通りしていた。

 オルタナがポピンズの轟社長に取材し、その言葉を紹介する。

「ポピンズは創立以来33年にわたり、『働く女性を最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します』というミッションのもと行ってきた事業が、国連によって決められた、国際社会共通の目標、まさにそのものではないかとの考えに至り、自ら主張するのみでなく、第三者から評価を得た上で上場する事に致しました。この度、日本総合研究所からセカンドパーティ・オピニオンを取得し、日本初のSDGs-IPOとして東証1部に上場を果たすことができました」 (出所:オルタナ

www.poppins.co.jp

 複雑な思いが交差する。オルタナが指摘する疑問も理解できる。まだ自分としての結論が出せずにいる。これに続く、企業が出てくるのだろうか。

 「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」という言葉がある。君子、小人は別として、意義を問う人がいる一方で、それを利用しようとする人たちもいるということなのだろう。

 

株価

 このコロナ渦にあっても株価が上昇、日経平均株価が1990年以来30年ぶりの高値をつけたという。期待先行ということなのだろうか。期待ばかりでなく、実際に経済成長につながれば、それはそれでいいことなのであろう。

 

 日本経済新聞は、マネーが「デジタル化」や「脱炭素」など新たな構造変化の勝ち組を選別しようとしているという。

 こうしたことが、もしかしたらSDGsの達成に貢献していくのかもしれない。

 脱炭素化が進めば、気候変動の緩和につながり、SDGsの目標13:「 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に貢献することになるのかもしれない。そればかりでなく、経済成長は、目標8: 「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」に貢献することもできるのかもしれない。 

www.nikkei.com

 株価はSDGsへの貢献を評価を反映することはあるのだろうか。利益は薄いが、ゆったりとしたペースで持続的に成長できる企業を評価することはあるのだろうか。

 今後、ポインズHDの株価がどうなるのか、気になったりもする。セカンドオピニオンした日本総研は、

ポピンズホールディングスでは、保育士向けの研修やシステムの導入による働き方改善に加え、業界トップレベルの処遇改善やお茶の水女子大との新たな講座設置にも取り組んでおり、今後も、保育士の仕事の社会的地位向上への貢献意欲が強い。
よって、ターゲット8.1「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる」、8.5「2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する」への貢献が期待できる。 (出所:Second Party Opinion: ポピンズホールディングス 日本総研

と、コメントしていた。ポピンズの事業活動がSDGsに貢献することはあるのかもしれない。しかし、その効果は今後ポインズが発行するであろう「統合報告書」や「サスティナビリティ・レポート」で知ることになるのだろうか。

 

 

クロスファンクション

「脱炭素」に取り組み、気候変動の緩和に貢献できても、働きがいを生み出せない企業はどう評価されるのであろうか。そんな疑問がふとわく。

「誰一人取り残さない」という原則があり、そのうえでのSDGsの目標とターゲットなのだろう。17のグローバル目標と169のターゲットは独立して存在するものではなく、相互に絡み合い、クロスファンクションに捉えて推進されていくべきものなのだろう。

「目標の幅が広いだけに「何でもSDGs」とやったふりをされかねない」、山陰中央新報社の指摘が重く圧し掛かる。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com