パソコン関連機器の昨年の年間出荷台数が、2014年以来3億台(調査会社IDC推計値)を超えたという。
パンデミックがPC市場の需要を喚起しただけでなく、ゲーミングPCなども増加、教育用途だけでなくコンシューマー市場にも広がりを見せているという。財経新聞によれば、新たな機会を創出、今後も伸びしろがあるとIDCは予想しているそうだ。
シェアトップは中国のLenovo、HP、Dellと続き、4位にアップル、5位にAcerが入っているという。トップ3はシェアを落とし、アップル、Acerがシェアを伸ばしたという。
別の調査会社ガートナーのデータでは、昨年第4四半期にアップルなどが急激に販売台数が伸長させたようだ。
製造現場や資材調達に携わる人々の並々ならぬ尽力があったのだろう。一度生産キャパを調整してしまうと、いざアクセルを踏もうにも、それなりの時間を要する。それでも、うれしい悲鳴というものであろうか。
想定外
一方で、自動車メーカ各社は半導体不足で生産調整、減産の動きが出ているという。
「部品調達に影響が出始めており、生産振替や台数調整などで影響のミニマム化に取り組んでいる」と説明するホンダの担当者の声をロイターが紹介する。
フォルクスワーゲンは「半導体メーカーが、コロナ禍で一時的に生産が影響を受けた自動車向けから家電向けなどへ生産をシフトした影響だ」とみているという。
こればかりでなく、旭化成の宮崎県にある半導体工場が昨年火災で操業停止になったことも影響しているようだ。
LIMOによれば、工場が火災により壊滅的なダメージを受けており、復旧時期は未定だという。この工場で作られるICが特殊品であり、シェアも高いことから影響が長引くことが懸念されるという。
想定外の事態なのであろう。メーカ各社は代替品探しに躍起になり、挽回策の策定を急いでいるのだろうか。
針の筵
かなり前のことだが、調達の仕事をしていた。こうした部品不足に陥ると、どんな理由があるにせよ、責められるのは調達部門だった。
産経新聞は半導体不足の原因は、独コンチネンタルが自動車向けより、「コロナによる巣ごもり需要で、ゲーム機への納入を優先していることも影響している」という。
こうしたことを事前に調達担当者は把握できていたのであろうか。問題判明してから動いても後の祭り、一気に回復させることはできない。
需要が上振れするPC業界の調達担当者は生産キャパの確保に奔走し、一時的にせよ、減産方向に振れた自動車の調達担当者は余剰在庫発生の抑制に動いていたのかもしれない。
いつ何時、想定外のことが起こるかは誰にも予測できない。そんなことがきっかけで、その立場が逆転したりすることもある。
部品が足りなくなると真っ先に責められ、余れば𠮟られる。まさに針の筵、緊急事態に心落ち着かない日々を過ごすのが調達部門の仕事。
平時は需給予測を頼りに市場を読み資材を確保する。部品資材があるのが当たり前であって、あまり注目されることはないのに、いざ緊急事態になると最前線に放り出され、数字と睨めっこし、その穴埋めに奔走する。
何か一つ問題が生じるとあれやこれやと次々に波及していく、ひとつの問題がまるで関わりがか有るかのように立て続けに問題が起きたりする。世界のどこかで生じた問題のひとつが回りまわって様々な問題に発展することを後になって知ることも多かった、そんなことを思い出す。
電力不足もコロナの問題も同じ類の問題なのかもしれない。
電力会社でLNGを調達する担当者にとってはまさかの年末寒波だったのだろう。今も針の筵に座らされているのだろうか。
8割おじさんの予測
京都大学大学院の西浦博教授が、コロナ感染者数の新しいシミュレーション結果を公開したという。「緩い対策ではすぐに元どおりとなる」といい、「緊急事態宣言の解除基準は、数値感覚を持つ自分としては耳を疑うような基準だった」という。
西浦教授のシミュレーション結果は記事で解説されている。
BuzzFeedによれば、西浦教授は「緊急事態宣言の強度とGDP(国内総生産)のロスは正の相関関係がある」といい、「経済学の先生方もGDPのロスを最小限にするために、どれぐらいの強さでどれぐらいの期間(対策を)打つべきか議論を始めている。今回の見通しを含めた上で、全部(の予測)がテーブルに出て、最適解を見つけていくのが理想像だと思う」と話しているそうだ。
ある予測から何かを判断し、予測通りに結果を導きだしていくことは骨のいる作業だ。いつ何時、想定外のことが起こるかわからない。まして対策を施してから結果が見えるまでに2週間の時間を要するのが今のコロナだ。ただ、幸いなことに、コロナは人から人に感染するものだ。
自分で自分自身をコントロールできれば、予測通りの結果を導きだすことができるのかもしれない。それに気づく人が増えれば増えるほど、感染は急速に収まっていくのかもしれない。
「参考文書」