「代替肉」と最初聞いたときは、興味をそそられた。近いうちに日本にも普及していくんだろうと漠然と考えていたが、当初の期待ほど成長していないのだろうか。
気候変動の抑制や将来の食糧危機を考えれば、肉食を減らし、植物ベースの代替肉を取り入れていくことは説得力のある話に聞こえるが、それは肉食中心の米国ならでは事情なのかもしれない。
お肉が好きか嫌いかと問われれば、好きということなのだろうけれども、さりとて、そんなに肉を頻繁に食しているかといえば、そうでもないような気がする。今でこそ、肉好きな母と同居し頻度がアップはしたけれど、毎日肉を食しているわけではない。以前であれば、今日は豆腐ハンバーグしておくかと、少しばかり健康に気を使い、そうした選択をすることもあった。どこかで動物性たんぱく質の過剰摂取はよくないという意識があったのかもしれない。
代替肉関連のニュースを興味をもってチェックしている割には、外食や買い物のときに積極的に探し求めているかといえば、まったくないといっていいくらいだ。ニュースをみるたびに、今度買って試してみようと思うが、同じことの繰り返しで、すっかり忘れてしまう。
『「植物肉」がコロナ禍で普及モードに突入の意外』との東洋経済オンラインの記事を読んでみる。
大阪心斎橋の大丸にある「UPGRADE Plant based kitchen (あっぷぐれーど ぷらんとべーすど きっちん)」というお店を事例に代替肉、植物肉の動向を解説する。
そのお店を出店したのは植物性油脂大手の不二製油グループ。2019年のことだったという。「大豆で世界を変える」をコンセプトにしているそうだ。
植物性たんぱく質
記事は、コロナ禍で健康志向が強まり、植物性たんぱく質が注目されることになったという。植物肉は、大豆タンパク質を多く含むなど栄養価が高いうえに、動物性たんぱく質に比べると脂質が少ない点も好まれているという。
世界には多くのベジタリアンやヴィーガンたちがいる。宗教的な理由や本気で気候変動に立ち向かう、そうした理由の人たちもいるのだろう。
「2020年の東京オリンピック観戦や観光を目的とした訪日外国人の消費を見据えて、国内の食品業界では植物肉を使った商品やメニューが増えてきた。」 (出所:東洋経済オンライン)
記事によれば、不二製油はオリンピックに合わせ、大手ラーメンチェーンと植物性素材の豚骨スープを共同開発していたというが、商品化を延期したそうだ。
このコロナ渦が、東京オリンピックの延期ばかりでなく、代替肉や様々な新商品の普及にも影響したのだろうか。食の選択肢もそのひとつなのだろうか。
大豆調達
その不二製油グループは、業務用チョコレートでは世界3位のシェアを持つ他、パームオイルなども商う。フェアトレード、倫理的な調達に熱心に取り組む会社で以前から少しばかり興味を持っていた。
昨年6月、不二製油グループは「大豆調達」について以下発表をしていた。
事業の主原料であるパーム、カカオ、大豆の社会課題を認識し、サプライチェーン中流に位置して上流及び下流情報が入手できる立場を活用することにより、当社グループは、サプライチェーンの持続可能性を高め、「SDGsゴール12」にある持続可能な生産と消費を推進する取り組みを加速させます。
従前から問題が指摘されてきたパームとカカオに比べ、社会からの注目が比較的新しい大豆に関しても、当社グループの成長戦略上、調達におけるサステナビリティ確保は不可欠と考えております。この度同時に経過を発表できなかったのは遺憾ではありますが、慎重かつ積極的に検討し速やかに対応いたします。 (出所:不二製油グループ)
代替肉というインパクトがある言葉に気を奪われることなく、植物性たんぱく質関連商品ということで考えれば、 もっと注目されていいのかもしれない。その延長で、大豆調達がより安全で健全化し、サステナブルな大豆が増えていけば、その波及効果は計り知れないような気がする。私たちの回りには大豆を原料とする食材がたくさんあるのだから。
百聞は一見に如かずというだから、ちょっと気にかけ、あったら買ってみたいと思った。