「グローバル100」、世界で最も持続可能性の高い100社「2021 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World index」が、世界経済フォーラムのオンラインイベント「ダボス・アジェンダ」で発表されたという。
グローバル100とは
「グローバル100(Global 100)」は、カナダ トロントの「コーポレートナイツ社(Corporate Knights Inc.)」が毎年発表するもので、 世界のあらゆる業界の大企業(2021年は8,080社)を対象に、ESG(環境・社会・ガバナンス)などの観点から持続可能性を評価し、上位100社を選出しているものだという。
アパレルからはケリングとアディダスがランクイン
WWD Japanによれば、アパレル企業でランクインしたのは2社、トップはケリング(KERING)の7位(前年23位)と、アディダス(adidas)が76位(前年55位)だったという。
WWD Japanによれば、ケリングは、「環境パフォーマンス」「クリーンな収益」「クリーンな投資」の項目で業界内で最高位にランク付けされたという。
「サステナビリティ指標と連動の報酬制度」(Sustainability Pay Link)では、さらに高い評価が与えられ、サステナビリティ活動の推進に関連する役員報酬についてのベストプラクティスで100%を獲得した。 (出所:WWD Japan)
そのケリングのサステナビリティは、「地球の限界」が基準だという。
アディダスは、「END PLASTIC WASTE」が自らの使命だというが、Global100では76位。もう少し科学的根拠に基づくものがあればいいのであろうか。
日本からは5社がランクイン
サステナブル・ブランドジャパンによれば、地域別では、米国・カナダが33社、欧州からは全体の約半数にあたる46社がランクインしているそうだ。
アジア太平洋地域では17社、日本の5社のほか、台湾の半導体ファウンドリーTSMCなどもランクインしたという。その他地域では、南米からは2社、アフリカは1社、中東1社という内訳になっているそうだ。
日本企業5社
16位:エーザイ 32位:シスメックス
41位:コニカミノルタ 51位:積水化学
71位:武田製薬(出所:サステナブル・ブランドジャパン)
16位 エーザイ ESG経営の神髄
エーザイは、ヒューマンヘルスケア 「hhc理念」を旨とし、患者様との「共感」を目指し、その「共感」が知識創造の最も重要な起点となるという。
「ESGと企業価値の実証研究」を独自に進め、ESGに関わる諸項目が経営指標にも深いかかわりがあることを突き止め、その改善を進める。
日経ESGはその鍵をデジタル化、DXデジタルトランスフォーメーションが握っていると結論付けていた。一方、エーザイは「デジタル世界の数値、データに意味をもたらすのは、あくまで人間の創造性」という。
51位 積水化学 クリーンレベニューが牽引
積水化学によれば、クリーンレベニュー、環境貢献投資、安全、従業員の定着率などの項目で高い評価を受けたことで、51位にラインクインすることができたという。クリーンレベニューとは、環境貢献度、社会貢献度の高い製品・サービスの販売によって得た収益のことだという。
昨年、積水化学は、住友化学と協力、“ごみ”のケミカルリサイクルからなるサーキュラーエコノミーを推進すると発表した。
それによれば、ごみ処理施設に収集された“ごみ”を一切分別することなく、まるごと原料にして、一酸化炭素と水素にガス化、このガスを微生物によりエタノールに変換する生産技術を開発したという。
こうした地道な環境貢献度の高い技術開発が評価されたのだろうか。
(資料出所:積水化学公式サイト「積水化学と住友化学、サーキュラーエコノミーの取り組みで協力」)
まとめ
サステナブル・ブランドジャパンによれば、昨年グローバル100に入った企業のうち、26社が今回ランク外になったという。その代表例としてトヨタ自動車と独化学大手BASFを挙げる。
トヨタは内燃機関車への依存度の高さ、BASFは気候変動対策に反対するロビー活動を行っていると英シンクタンクから指摘されたことが理由になっているようだ。
注目企業として取り上げられているのは、低価格の新型コロナワクチンを開発・販売し、今後、世界的危機の解決に貢献するとされる英製薬大手アストラゼネカ(82位)。
このほか、米オーウェンスコーニングやトレイン・テクノジーズといったグリーンビルディングや不動産空間関連の事業を行う企業もランク内に増えてきているという。 (出所:サステナブル・ブランドジャパン
グローバル100のような評価ですべてを明らかにすることはできないのだろうけれども、それでもランクインする会社はそうでない会社よりは差があるということは確かなことなのだろう。
トヨタがランク外になったことからすれば、ものづくりをする製造メーカは少し不利なのかとも感じたりする。ただ、それでも数多くの製造メーカがランクインしている事実からすれば、それは言い訳になってしまうのかもしれない。
2050年のカーボンニュートラルの実現が日本の目標になり、循環型経済サーキュラーエコノミーに挑戦する国内企業も増えてきているようだ。来年には、もっと多くの日本企業がランクインして欲しいものだ。
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