首都圏の緊急事態宣言は延長となるのだろうか。
1都3県が、政府に宣言を2週間延長することを要請する方向で調整との報道を目にする。一方、加藤官房長官は2日午前の会見で、解除や延長の判断は知事の要請を尊重するといったそうだ。
気分的には重苦しい緊急事態宣言を早く解除して欲しいと思うが、足元の情勢からすれば、延長やむなしというところであろうか。
回復しそうな米国経済とインフレ懸念
米国に目を向けてみれば、長期金利が上昇し始め、それを受けて株価が動揺する。
政権が替わりワクチン接種を進め、その効果が表れ経済が回復してくると、次の課題として、もう金融・財政政策の出口戦略の問題があがるという。
ロイターによれば、その背景にはインフレ懸念があるという。原油など商品市況が上がり、世界的に製造業が活況になってきたことで、インフレ圧力が生じているという。実体経済が過熱し、積極財政と過剰流動性を放置すれば、さらにインフレ懸念が強まる。FRBはまだ出口戦略を描き切れていないというが、2021年度中には新しい方針の設定をすることになるだろうという。
経済構造自体が異なるということなのかもしれないが、そのスピード感の違いをまざまざと感じる。
減少したCO2排出はつかの間 回復しそうな石油需要
エネルギー業界の国際会議が開催され、参加した大手石油会社幹部が、今後10年間に原油需要は上昇すると予想しているという。
再生可能エネルギーが注目を集めたとしても、化石燃料がエネルギー構成の主要部を担う構図は変わらないとの見方を示しているとロイターが伝える。
航空燃料需要は2021年下期には平常に近い水準に戻り、この会議に参加した米ユナイテッド航空はビジネス旅行の回復を見越しているそうだ。
一方、2020年のエネルギー起源の二酸化炭素の排出量は前年から5.8%減ったという。
IEA国際エネルギー機関によれば、減少幅は第2次世界大戦後で最大で、19年から20億トン減り、20年の世界の排出量は315億トンになったそうだ。コロナ禍で人やモノの移動が鈍り、運輸部門の排出が14%大きく減ったのが主因だという。これにより、石油の消費量が大きく落ち込んだと日本経済新聞は指摘する。
コロナ渦も過ぎれてみれば、元に戻ってしまうのだろうか。
日本経済新聞によれば、昨年4月に15%減を記録したCO2の排出も、経済活動の再開とロックダウンの緩和などを受け、その後は増加に転じ、12月には2%の増加を記録したという。
コロナ以前に戻ることはないとは言われていたが、どうなのだろうか。
2025年、変わる価値観
「2025年には価値観が大転換して気候変動の問題も解決に向かいますよ」
と、ユーグレナの出雲社長がいう。その理由をPHPオンライン衆知に寄稿する。
「2025年にミレニアル世代が過半数になると、一気に社会の価値観が変わり、これまでの常識がことごとく覆されることになるでしょう」と指摘する。
民主主義社会においては、この「過半数」が非常に重要になります。(中略)過半数が重要になるのは選挙だけではありません。
生命科学やエコシステムなどにおいても、過半数と同様の重要なポイントがあります。
物理ではそれを「臨界点」、数学なら「偏極」と言いますが、あるところで激変するポイントがあるのです。 (出所:PHPオンライン衆知)
2011年の東日本大震災と2008年のリーマンショックという大きな出来事があった。こうしたことが、多くの人の心理に影響を与えている。特にミレニアル世代に与えた影響を出雲氏はこう指摘する。
科学の力によって100%何でも解決できると信じていましたが、自然は予測不可能であるという事実が、目の前に突きつけられたのです。
自然というものがいかに偉大であり、ときに恐ろしいか。
世の中はそんなにシンプルではなく、もっと複雑なものだということ、私たちが忘れていた自然に対する謙虚さを、東日本大震災と原子力発電所の事故が思い出させてくれたのです。
科学によって世の中の問題は100%解決できるというのは、あまりに楽観的、かつ傲慢な捉え方だったのではないかと、反省したのです。(中略)
少なくとも、これまでの金融資本主義を推し進めていけば、明るい未来が訪れるという神話は、日本では3・11のときに崩壊したと私は思っています。 (出所:PHPオンライン衆知)
私たちは、このコロナ渦からどんな「学び」を得るのだろうか。
またも不正発覚
ジェネリック医薬品大手の「日医工」が、国が承認していない工程で医薬品を製造していたとして、業務停止命令を受け、処分されるとNHKが報じる。
それによれば、ジェネリック医薬品の需要が高まった平成26年ごろから生産を急増させたが、人員や設備を確保しないまま過剰な生産計画を立て、試験で不適合となった製品を廃棄しなくて済むよう再試験などを行っていたという。
医薬品を製造販売する企業として、あるまじき行為にただ驚愕する。こうした行為の動機は何であったのだろうか。
こうした由々しき行為に対する粛清も、次のステージに向かうためには通らねばならない道なのだろう。
倫理的な企業
「世界で最も倫理的な企業」リスト最新(2021年)版の発表があったとBusiness Insiderが伝える。
それによれば、日本企業で選ばれたのは、15年連続の花王、3年連続のソニーの2社だという。この他、キャノンのアメリカ法人が自主応募して選出されているそうだ。
リスト選出企業は、
「企業倫理とコンプライアンスに関する取り組み」
「企業市民としての責任ある行動」
「倫理的企業文化」
「リーダーシップ・社会からの評価」
の5項目を柱とする独自の手法で評価されているという。
受賞企業には、スターバックスやロレアルなどの名があがる。
あと4年。
2025年がやってきたとき、どれだけ「倫理的な企業」としてリストアップされる企業は増えているのだろうか。期待をしたいが、まだ不安も感じている。