Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

魔訶不思議は起こる、ユニクロとウーバーの場合 下落する価格と報酬

 

 日経平均株価が昨日大きく値を下げた。米国での金利上昇を嫌気しての下落と言われるが、「ファーストリテイリング」が1銘柄で日経平均を約200円押し下げる要因となったとロイターはいう。

ユニクロが9%値下げへ

  その背景には、ファーストリテイリングが、ユニクロやGUの商品を3月12日から約9%値下げするとしたことがあるようだ。 

 

 

 ロイターによれば、小売業は4月から消費税を含む価格を明示するよう義務付けられるが、ユニクロやGUは税抜き価格で表示している値札を変えず、本体価格自体の変更で対応するという。

business.nikkei.com

「強気の値下げを決めた背景には、コロナ禍で広がる景気や雇用の先行き不安がある」と日経ビジネスは指摘、コロナ渦にあっても好調な業績を追い風に、値下げすることでさらなる取り込みを図る狙いがあるようだという。

 顧客にとってありがたく、さらなる拡大も期待できそうなのに、これを手掛かりにして株価は値を下げるというのだから不思議なものだ。

 どんな感情が投資家を支配しているのだろうか。 

 

 

報酬下がる = ウーバーイーツ

 このコロナ渦で、ウーバーイーツもサービスを拡大させ、全国の大都市圏で利用にできるようになったという。その一方で、「ギグワーカー」と言われる労働者が増加、ウーバーイーツだけでも10万人を抱えるほどになったそうだ。

 そのウーバーが今月から福岡県と京都府で新たな報酬体系の運用を開始したと共同通信が報じ、他の地域にも広がる可能性があると指摘する。

配送距離などに応じて算出する基本料の水準を下げ、報酬総額は平均で約3割下落したとみられる。新型コロナウイルス流行に伴う解雇や雇い止めの影響で配達員の成り手が増える中、労働環境の悪化が懸念されている。 (出所:共同通信

this.kiji.is

従業員との判断 = イギリスのウーバー

 イギリスでは、最高裁がウーバー(Uber)の運転手らを「契約者」ではなく「従業員」として扱われるべきだとする判断を示したという。ウーバー側も、同裁の判断を尊重すると表明したとAFPが報じる。

 「ギグエコノミー」にも広く影響し得ると指摘する。

www.afpbb.com

 英国では「従業員とすべき」とした判断が示され、国内では労働環境の悪化の懸念が浮上する。英国では判決を支持したウーバーの対応に疑問を感じたりする。この差はどこから生じるのだろうか。

 

 

ウーバーイーツ配達員に多額の寄付 = 米国

 アメリカのウーバーイーツで働く1人の男性が、泣きながらその苦労を訴える動画に反響が集まっているとFRONTROWが伝える。

組織に縛られない、時間がフレキシブルに使える、副業として気軽に始められるというメリットがある一方で、「ギグワーカー」は企業の従業員ではないため、最低賃金や有給休暇の対象にならない。そういったことが労働者の搾取に繋がるとして、現在議論が進められている。 (出所:FROONTROW) 

front-row.jp

 チップ制度がアメリカ文化の一部となっているが、彼が動画で主張した「配達員にチップを払うべきだという意見」に多くの賛同が寄せられ、予想外の出来事が起きたという。

 それは、多くの人からの寄付だったという。

「なんと、彼の元には、約5万5,000ドル(約605万円)もの寄付が集まったという」。

 摩訶不思議な世界。チップをケチ人々がいる一方で、多額の寄付が集まる。

 

 

 感情と真実

 2017年にノーベル文学賞を受賞した小説家のカズオ・イシグロ氏の東洋経済オンラインのインタビュー記事が気になった。

よりネガティブな、センセーショナルな情報が注目を集める中、私たちはこうしたコントロールできない世界とどう折り合いをつけていくのかに苦慮しています。

それでも私たちは、真実がきちんと伝わるすべをなんとか考えなければいけません。

それがセンセーショナルだから、とか、目立つから、とか、怒りに満ちているからという理由ではなく、尊敬の念から注目を集めるものが必要です。

私たちは何とかしてもっと思慮深いものを作っていかなければならないと思います。 (出所:東洋経済オンライン) 

toyokeizai.net

 そんなイシグロ氏の言葉に納得する。

 さらに、「俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています」と指摘し、「東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです」という。

 狭い世界に住むことに慣れてしまえば、違う世界に住む人々のことを忘れてしまうのかもしれない。

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 選別され過ぎた情報社会になったせいのだろうか。 

 他者の存在を一連のアルゴリズム、すなわちその人間が何を望み、何を買いたいと思い、何をおそれるのか、といったことを正確に予測できると仮定した世界において、それは他者に対する私の見方を変えるのか。

そういう世界においては、妻や娘など人間を愛するという概念や、その意味するところも変わり始めるのか。そして、これによって私たち人間の関係性が根本から変わるのか……。 (出所:東洋経済オンライン) 

 少し複雑な気持ちでイシグロ氏のインタビュー記事を読んだ。

 

「参考文書」

www.sankei.com

jp.reuters.com