「緑の復興」と題したパタゴニアの記事が、市民風車を手がけるNPO法人北海道グリーンファンドの活動を紹介する。
それによれば、市民が北海道電力の筆頭株主となり、燃料代のかからない再生可能エネルギーに転換、経営の厳しい北海道電力の事業を再建しようと構想しているという。
資本主義の原則に従い、固定概念に固まった頭脳を変えていくには、有効な方法なのかもしれない。
記事は、福島県二本松市でのソーラーシェアリングを利用した地域電力の活動を紹介し、「地域分散ネットワーク型」の有用性を説く。
また、パタゴニアのその記事は、福島第一原発事故のその後を「検証も反省も責任も曖昧にされ、その後も原発維持・拡大に固執」と指摘する。
10年前の3.11。誰もがあの衝撃的な爆発映像を目の当たりにし、放射能が頭上に降り注ぐ不安を体験し、炉心溶融という先の見えない危機に怯えたあの日々に、私たち日本人が気づかされたことは、たしかに「エネルギーを自分ごとにする」という当事者意識でした。 (出所:パタゴニア クリーネストライン)
さらに記事は、「3.11からのこの10年で、世界は劇的に変化しました」といい、「エネルギー大転換」と「モビリティ大転換」という2つの人類史的な大転換が同時進行しているという。
いずれも人工知能(AI)やビッグデータなどデジタル技術(DX)の急速な進展が通底しており、産業・経済・社会も巻き込んだ「破壊的変化」と呼ばれる地球規模の大転換が進行中です。 (出所:パタゴニア クリーネストライン)
「これらの変化は10年前には想像すらできませんでしたが、そこには化石燃料や原子力発電から再生可能エネルギーに急速に移行できる新たな希望が見えます」ともいう。
その一方で、今後、電力消費が増え続けるとの指摘もある。その需要に応えるために発電容量を拡大させていく必要があるのかもしれない。
どこかで電力需要を抑えないと、再エネ転換という希望も破綻を招きかねない。それ故に、省エネ、省電力化が今求められている。
米アップルはiPhoneなどの端末機器の省電力化を進め、その機器に使用される電力を含めて、2030年のカーボンニュートラルを目指している。
コロナ渦で、テレワークやオンライン学習、巣ごもり需要などが当たり前になり、ハードウェアがよく売れているという。その旺盛な需要は需給バランスを崩し、半導体の世界的な不足にまで発展している。
自動車メーカはその調達に遅れを取り、世界各地で工場が停止し、政治問題になっている。
その半導体は、機器の省電力性能を左右するきわめて重要コンポーネントだ。
その半導体の一大生産地である台湾が、深刻な水不足に直面している。半導体メーカから繊維工場や農場に至るまで、水を大量に消費する産業に影響がおよぶという。
台湾の蔡英文総統は、「水資源の状況は過去56年で最も深刻」だといい、国民に節水を呼び掛けているという。 jp.techcrunch.com
台湾が梅雨となる5月までの水は確保できているというが、各半導体メーカは独自に水確保に動き、水のリサイクル設備の稼働を準備しているという。
「当分の間、すべてのテクノロジーは「気候対策」のもののようだが、技術がまったくないということにならないように」と警鐘を鳴らす声をTechcrunchは紹介する。
気候変動が、「気候対策」を阻害しているのだろうか。
なかなか一筋縄で「サスティナビリティ」持続可能な社会には到達しそうにもない。
緑の復興、グリーンリカバリーを加速させる必要があるのだろう。そして、何より、「省エネ」が重要ということなのかもしれない。それなら誰でもすぐに実践できそうだ。