モノづくり、素材に付加価値を加えて、利用できるモノに変換していくこと。究極的に言ってしまえば、そういうことなのかもしれない。そういうと、素材は重要な要素になり、素材選びがもっと重要視されるべきことなのかもしれない。
”【ユニクロ×東レ】モノづくりの、その先へ。LifeWearで世界を変える「共創力」”と題したNEWS PICKSの記事を読んでそんなことを感じた。
電機メーカに勤めていたころ扱っていた商品は、PC周辺機器ということもあって、世に出した時は最先端なものであったが、あっという間にコモディティ化し、低価格化が進んでしまった。いつしか粗利率が20%になった。価格下落の進行に対して、変動費を抑制できないことが主たる要因であった。変動費を細かく分析すれば、元々の素材にこんなに費用を使っているのかと、嫌になったりした。付加価値のところをいくら合理化、効率化しても、素材の価格が変わらなければ、限界がある。
当時、そんな考えから素材メーカとの付き合いが始まった。いくつかの素材メーカとはよい関係性を築くことができた。
ただメーカにとってはあまりありがたくはなかったのかもしれない。何しろ、やることと言えば、素材をダウングレード(低価格化)するのに、スペック(性能)は維持しようとするのだから。ただ生産数量が多かったことが救いだけだったのかもしれない。
ユニクロと東レのコラボは理想的なものなのだろう。顧客を思い、新たな機能素材を生み出し、そこに顧客満足が生まれる。
ユニクロは素材をつくれないし、工場も持っていません。
私たちにできるのは、お客様のご要望に耳を傾け、どういう商品をつくりたいかを考え、一緒に開発すること。そして、その商品の良さをお客様に伝え、届けること。 (出所:NEWS PICKS)
そう話すのはユニクロ取締役 中嶋氏。これに対し、東レの石井上席実行役は東レとユニクロのコラボの始まりを振り返る。
本格的な共同開発が始まったのは、ヒートテックからでしょうね。2003年にユニクロさんから、デニムの下に着ることができるような、薄くて暖かい素材を開発してほしいという要望をいただきました。
その課題に対して新しい原糸を開発し、2006年に4種類の繊維を組み合わせたヒートテックが生まれたわけです。 (出所:NEWS PICKS)
そうはいっても、こうして生み出された新素材も石油由来の化学繊維であることに変わりない。
ユニクロ中嶋氏は、「これからは、地球環境に負荷をかけないものづくりがますます重要になっていきます」といい、人々の暮らしを豊かにする服をつくっていくのですから、生産から販売まで含めて、サステナビリティを実現する開発を追求していかないといけない」と話す。
環境に負荷をかけないから品質や機能、着心地が犠牲になっていいかといえば、そんなことはありません。この二つを両立し、さらに品質や着心地ももっと進化した服を、どんどん世の中に出していきたいと思います。 (出所:NEWS PICKS)
そうした想いが、両社の協力関係を次のステージに押し上げたのだろうか。
ウルトラライトダウンのリサイクルやRE:UNIQLOの取り組みは、SPA製造小売業 (= Specialty store retailer of Private label Apparel)と素材メーカの協力なくして成立しない。
サスティナビリティは両社にとって、新たな成長のエンジンになっていくのだろうか。
その東レは様々なDXツールも提供しているようだ。
次のユニクロが誕生する機会になればいいのかもしれない。