Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【リサイクルとごみ回収】パンパースの紙おむつ回収プロジェクトで考える循環型経済

 

 P&Gが紙おむつパンパースの「おむつ回収プロジェクト」を神戸市で4月中旬より始めるという。パンパース独自の「おむつ回収ボックス」を、小売店や保育施設の計8箇所に、約6か月間設置するそうだ。

 P&Gによれば、将来的な「循環型経済の実現」に向け、使用済み紙おむつを分別・回収する際の消費者の習慣、行動、認識の傾向を理解することが目的だという。

 

 

 スマホBluetooth機能を使い、スマートフォンアプリの開錠ボタンを押すと、「おむつ回収ボックス」の投入口が自動で開き、使用済み紙おむつを回収する。

プロジェクトに参加すると、回収後、アプリからの応募で、ギフトポイントが獲得できるという。ポイントはクーポンや商品券、育児グッズなどと交換できるそうだ。

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(写真:P&G

 執行役員のハリス バィラモウィッチ氏は、このパイロットプロジェクト後、さらに多くの場所、市町村に設置していくこと、また、P&Gが持つリサイクル技術を使った二次利用についても検討していきたいと述べたという。

 日本経済新聞によれば、P&Gはオランダとイタリアで、19年からドラッグストアなどに回収箱を設置、30万枚以上の使用済み紙おむつを回収し、現地のリサイクル会社と協業しておむつの材料の3割を占めるプラスチック部分を抽出、ペットボトルのキャップなどに再利用しているという。日本でも同様の方法が検討されるともいう。

www.nikkei.com

 紙おむつ廃棄量は年々増加、乳幼児用や大人用含め、2015年には約191万~210万トンに達し、2030年までに一般廃棄物排出量に占める紙おむつの割合は、6.6~7.1%に増加すると推定されているという。しかし、それらは通常焼却して処分される。

 P&Gの取り組みに期待したい。わが家の燃えるごみの中で、ペット用トイレシートが大きな割合を占める。こうしたものも分別回収できるようになれば、精神負担も軽くなる。

 

  

 使用済み紙おむつの水平リサイクルについて、ユニ・チャームが昨年10月に発表した。

 回収した使用済み紙おむつを破砕、そこからおむつ材料の5割を占めるパルプ成分のみを取り出し、減菌処理して新品と同等品質のパルプに戻し、紙おむつに再生するという。

 

dsupplying.hatenablog.com

 日本経済新聞によれば、ユニ・チャームが16年から始めた鹿児島県志布志市、同大崎町での回収では、全世帯に当たる約2万2000世帯が分別回収に協力したという。

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 様々なリサイクル技術が開発され、それを実用化しようと思えば、ごみ回収方法の見直しも必要になる。

 どのような回収方法がよいのだろうか。 従来、自治体に頼っていていたごみ処理を見直す契機になればいいのかもしれない。

 税金を投入し処理していたごみをできる限り多く、有益に資源化し、再利用することができれば、新たに作られる商品に投入されるバージン材料の比率を低下させ、ごみ処理が新たな経済活動の枠組みに加わることで、循環型経済への移行につながっていく。

 今まで経済活動の枠外にあったごみ処理を見直し、新たな習慣を作り出すときになっているのではなかろうか。ごみ出しが精神的な負担にならずに、ごみが確実に新たな商品の資源になるサステナブルな回収方法が確立できればいいのかもしれない。