Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【環境先進国へ】CCU開発とカーボンリサイクルロードマップ

 

 変化があると漠然とした不安が生じたりするが、気候変動問題で米中が協力していく意向を示したと聞くと、少しばかり安堵できそうだ。

 相手を挑発するよう言葉を慎めば、禍も少なくなるのだろう。異端を好むのではなく、まずは化石燃料からの転換が世界の目標として共有されればいいのだろう。何も地中深くから資源を掘り出さなくとも、地表には使えそうな資源にごまんとありそうだ。

 温室効果ガス低減を大きな目標とし、それに各国が向け切磋琢磨しながら、イデオロギー的な対立を乗り越えて協力していく、それがこれからの課題ということなのだろうか。

 

 

 化学はあまり得意ではなかった。その影響もあるのかもしれないが、気候変動対策の化学的分野に興味がわく。排出される二酸化炭素を資源にするメタネーションやメタノール製造が実用化されれば、その価値が大きく上がることはないのだろうか。低廉になった化石燃料の価格に対抗することが大きな課題というが、あと7~8年で形になりそうとの声を聞くと期待が膨らむ。

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 こうした技術をCCU=Carbon dioxide Capture and Utilization(CO2回収と利用)という。いわばCO2の有効利用。輸入に頼ってきた化石燃料の代替品となり、国内製造できば、エネルギー供給の安定化につながるばかりか、基礎原料にすることができれば、様々な産業で利用が可能となりそうだ。そして、そこから何かしらの製品が作られ、販売されれば、従来の化石燃料から成り立っていた社会から抜け出る可能性があるのかもしれない。

 経済産業省は2019年6月に「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を公表し目安を示した。

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(資料:経済産業省「カーボンリサイクル技術ロードマップ」

  商船三井は昨年、「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」を立ち上げ、メタネーション技術を船舶のゼロ・エミッション燃料に活用する実現可能性を探ることを目的とし、具体的には、メタネーション燃料の原料調達・原料輸送・メタネーション・舶用燃料化によるカーボンリサイクルのサプライチェーンを想定し、実現に向けた技術的課題の洗い出しとロードマップ策定を行なうという。

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグによれば、この実現可能性の現時点での成果を、今年夏ごろ造船・海運系学会誌に掲載予定という。多少大がかりなスキームかと思われるが、ブルームバーグの取材に答えた商船三井の担当者は前向きな言葉を発信しているようだ。

 

 

 大成建設は製造途上に二酸化炭素を大量に排出するセメントを使わず、CO2から作った炭酸カルシウムを用いるコンクリートの製造方法を開発したという。

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(資料:大成建設

 大成建設によれば、回収したCO2から炭酸カルシウムを、製鉄で発生する高炉スラグ主体の結合材により固化させることで、コンクリート内部にCO2を固定することが出来るという。

www.taisei.co.jp

 炭酸カルシウムなどカーボンリサイクル材料がまだ流通が始まっていないと大成建設は指摘し、今後のカーボンリサイクル材料の開発・市販の状況を踏まえ、このコンクリートを現場打ちコンクリートや二次製品など多様な建設資材に取り入れていくという。

 将来的にはコンクリート用砂利・砂の代替として粉砕した廃コンクリートなどの利用も検討しているという。

 そのためには、ここでも廃材を再利用可能とする処理ルート、そのためのサプライチェーンやスキームが必要になるということなのだろうか。技術開発を世界に先駆けて進めていくことも重要なことであろう。その一方で、その実用化のためには廃材などが循環するためのループ作りも同じ程度に重要なのだろう。

 ここでイニシアティブが取れれば、世界のどこよりも早く環境立国、環境技術先進国と言えるようになるのではなかろうか。

 

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