容器を回収、洗浄し再利用する「Loop(ループ)」のサービスが5月25日からイオンで始まった。「ゼロ・ウェイスト」ごみを出さない新たな体験が始まるとイオンはいう。
「Loop」とは、使い捨てされていた洗剤やシャンプーなどの日用品や食品などの容器や商品パッケージを、ステンレスやガラスなど耐久性の高いものに変え、繰り返し利用を可能にする新たな循環型ショッピングプラットフォーム。
使い終わった容器をイオンに設置された回収ボックスに返却すれば、容器のデポジットが返金される。
またひとつ地球に環境にやさしいサービスが始まった。ごみが減り、容器を繰り返し使うことが可能になり、脱炭素化社会にも貢献するのかもしれない。
多くの企業がカーボンニュートラルを目標にすると公表するようになった。鉄鋼業界もまた同じだ。一方で、まだまだ課題も多く、その対応に苦労しているようだ。日本鉄鋼連盟が、エネルギー基本計画において、原子力の最大限の活用などを明記すべきとのコメントを発表したという。
鉄鋼産業の二酸化炭素排出量は国内において14%を占める。カーボンニュートラル目標を達成するためには工法を刷新していくしかないのだろう。電炉の活用を進めれば、電気料金が気になり、水素還元高炉に転換しようと思えば、水素の価格が気になる。
鉄鋼連盟の橋本会長(日本製鉄社長)が「電力コストは世界的に高く、再生エネルギーの導入が増えればさらに高くなる。コストアップなどをどう補うかを考えれば、原子力しかない」と記者会見で話したそうだ。
真意は知る由もないが、手前勝手な発想ではなかろうか。求めているのはカーボンニュートラルな電源ではなかろうか。事情があるにせよ、短絡的に、原子力の活用と述べることで、社会貢献になるのだろうか。
日本経済新聞によれば、1世帯が4カ月間に使う1000kW時の電気をつくる場合、中国は太陽光が33ドル㌦、米国は風力36ドルで最安値だという。一方、日本で最も安い電源は石炭火力74ドル、太陽光は124ドル、風力は113ドルもかかるといい、その原因は、脆弱な送電網にあると指摘する。
地域をまたいで送電できる量が限られているうえ、送電網の運用は電力会社から独立しておらず、電力会社の自前の火力発電所や原子力発電所でつくった電力を優先的に接続します。この仕組みが再生エネの大量導入を阻み、コスト削減につながりにくい一因となっています。 (出所:日本経済新聞)
変えようとしない限り変化はおきない。安価なカーボンニュートラルな電力にニーズがあるのに、その希望に応えようとしないのは何故なのだろうか。
林業、木材業界も同じなのだろうか。ウッドショックといわれるまでに木材価格が高騰し、国産材との声が高まるが、国内業界の動きは鈍いという。需要があるのに活かしきれていない。
国内の林業は、市場原理よりも補助金の額で動いているとForbesは指摘する。木材価格が下がっても、補助金目当てに木を伐ると批判されてきたが、今回は価格が上がって補助金がないと増産しないわけであるという。
林業では植林から下草刈り、伐採搬出まで、作業のほとんどに国や自治体から補助金が支出される。その額は各作業経費の約7割に上る。しかし補助金の支出額は年間で決められるため、急な増額は無理だ。 (出所:Forbes)
森林の管理、活用が進めば、そのメリットは大きい。補助金を出す国も林業を活性化させ、木材利用はCO2排出の削減に役立つと強調しているという。
お粗末な話ではなかろうか。いつまで自分たちの利益のことだけを考えているのだろうか。
長引く緊急事態宣言で、飲食や観光産業は疲弊し、雇用の受け皿になり得なくなった。一方で、機会に恵まれているのにその機会を活かさず、人手不足を理由にして楽な方法で儲けることばかりを考えている人がいるようだ。実行しなければ、矛盾が残り、社会課題が増えていく。
機会を活かしきれない、これほどもったいないことはない。脱炭素や脱プラは、ビジネスチャンスではなかろうか。少しだけ発想を変えれば、新たな成長の機会になるし、社会の雰囲気をがらりと変えることができるのかもしれない。まだ少数のようだが、それに果敢にチャレンジする人たちもいる。