Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【危機に求められる合理性と信念】ワクチン接種の優先順位はどうなるか、温室効果ガス削減目標は実現できるか

 

 今日からまた緊急事態宣言の延長期間に入った。全体としては減少傾向のようだが、沖縄のようにまだ厳しい状況が続く地域もある。期待のワクチン接種も医療従事者から始まり、高齢者の接種も始まった。それらが軌道に乗れば、次の検討が始まる。

 国が、大学や職場での接種を推進する方向で調整に入ったという。そればかりでなく、いわゆる「夜の街」を対象にしたワクチンの集団接種の案もあると、報道がされる。「夜の街」を職場のひとつとみなし、そこでの感染リスクが高いとすれば、合理的な判断なのかもしれない。一方で、夜の街も飲食業の一種とすれば、それ以外を対象から外せば合理性に欠くということになりかねない。合理性は判断する人によって異なるのだろう。さて国の判断はどうなるのだろうか。

 

 

 国が示した「2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%減」とする新たな目標を、電力中央研究所がその実現性を評価し発表した。

 評価は、政府審議会で示された長期エネルギー需給見通し(長期見通し)の見直し項目を基に分析したという。それによれば、新型コロナによる経済影響等を考慮した電中研試算(2030年度の排出量を8.74億t-CO2と推計)を起点に、増加要因として経済成長の見直しをあげ、それによる排出増を0.64億t-CO2とし、政府審議会で示された見直しによる減少要因として、①粗鋼生産等の減少(0.45億t-CO2)、②「徹底した省エネ」の更なる深掘り(1.52億t- CO2)、③PVの更なる増加(0.15億t-CO2)をそれぞれ推計し、温室効果ガス46%減に相当する7.6億t-CO2の水準を実現するには、さらに0.81億t-CO2の削減が必要となると指摘する。

criepi.denken.or.jp

 エネルギー部門での対策が仮にうまくいっても、それを利用する側で浪費があれば、その努力は水泡に帰す。電中研は、省エネ(高効率化)とエンドユース機器の「ロックイン問題」を指摘、低炭素製品への転換が必要という。

wp-criepi.denken.or.jp

 

 地球温暖化防止を大義にして合理的に考えれば、温室効果ガスが大量に排出する産業から削減を進めようとすることは正しいことなのかもしれない。しかし、一方で、それが足枷になり、その産業は莫大な投資を求められ、成長機会を奪われてしまうのかもしれない。はたして、それでよいのかと疑問はある。そうした不公平を排除しようとすれば、家庭を含めすべての産業が応分に負担すべきとなるのであろう。

 

 

 多発する激甚災害、そしてそれが気候変動の影響とすれば、2050年のカーボンニュートラルは避け得ないし、それでも遅いくらいなのだろう。しかし、その実現のため、みなが納得する施策をまとめ上げることは至難なことなのかもしれない。

 今まで合理性といわれてきたことだけは説明できなくなっていることが増えていないだろうか。資本主義に違和感をおぼえる人があっても不思議なことではないのかもしれない。

 合理性の対義語は、非合理。非合理とは、神秘的なもの、情緒的なもの、信念的なもの。時には非合理的なもの、たとえば信念をもとにした判断が必要になっているのだろう。