Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【トレーサビリティとエシカル消費】AIが浪費を警鐘、「人工ハート」がモラルを教える日

 

 トレーサビリティ、電機会社で調達の仕事をしていたときには、品質保証部からよくこの言葉を聞かされた。出荷した製品がどのような履歴を作られたか、それをどこまで追えるか。製品を作る工場はもちろんのこと、その製品に使われる部品はどのように作られ管理され、また、その部品を構成する素材や材料はどのような履歴をもっているのか。

 そのころはまだマニュアルな仕組みだったが履歴を追えるようにはなった。まだ顧客からの要求事項がそれほど多くなかったので、それで十分だった。

 今は、CO2の排出量から人権まで、顧客からの要求は多岐にわたり、その「トレーサビリティ」履歴管理もたいへんなことなのだろうと想像する。

 

 

 その当時は、サプライヤー選定を重要視していた。こちらの要求事項に対応できないなら退場いただいた。要求基準が高くなれば、コストアップにつながる。要求基準を絶対として、その中で最安値を探す。コストアップの増加分は効率化と技術開発でカバーしていく。そんな作業が続いていた。

 当時に比べれば今はITツールやサービスも発達したのだから、もっと容易く対応できのではと思うが、そうではないのだろうか。

www.ibm.com

 ユニクロのTシャツがウイグル問題に絡む形で米国で輸入差し止めになり話題になった。この件の影響なのだろうか、ミズノやアパレルのワールドが新疆綿の使用停止を決断した。

 そのミズノは、タイの取引先工場での「人権侵害の疑いがある」とNGOを指摘を受けてから現地監査に着手したという。「海外取引先の管理の難しさを痛感した」と日経新聞は伝える。

 今後も人権問題が重視され、それによって制裁措置の発動の恐れもあるのかもしれない。そんなことを考えれば、ますます「トレーサビリティ」の重要性が増していくのだろう。

 

 

 コロナ禍で行動変容が起こってはいないだろうか。強く意識しなくとも、節約志向になったり、ムダな消費を抑えたり、しなくなったり。じつはそういうことが「エシカル消費」の原点のひとつ「足るを知る」につながっていくような気がする。消費という言葉がついているからと言って、無尽蔵な消費を推奨しているわけではないだろう。

「消費そのものが豊さや幸せにつながるとは限らない」というのはエシカル協会の末吉里花さん、「無駄な消費は環境負荷を高めることにもなります」という。

近年、世界の緊急課題と言われている①貧困②人権③気候変動の解決、またSDGsという共通目標の達成に大きく影響することから、エシカル消費への注目が高まっています。 (出所:電通報) 

  商品やサービスの背景にあるストーリーを知る、その上で自ら消費するものを選ぶ、それがエシカル消費というのは電通報。「トレーサビリティ」で把握された事実をストーリに変えて、お客様に伝えていくことが求められるということなのだろう。

dentsu-ho.com

 さらに電通報は「消費者からのエシカルな商品とサービスの需要は現状明確に存在しています」といい、「そのニーズは今後さらに拡大、そして多様化、普遍化していくでしょう」と指摘する。「変わり始めている消費者の意識に応えるだけでなく、企業の活動は、SDGsの達成、持続可能な社会の実現に大きく貢献します」という。

 間違ってはいないのかもしれないが何か釈然としない。今あるマーケティングへの疑問なのかもしれない。そもそもマーケティングが消費を助長したりしていないだろうか。

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 2016年、米大統領選挙で個人情報を利用し、有権者に誘導情報を流すことで選挙結果に影響を与えたのではないかといわれている。マーケティング手法とあまり変わらないような気もする。

 倫理観が問われている。モラルや倫理=ethicsを失えば、利己的な行為ばかりの社会になってしまう。

 

 

 生命科学やAIといったテクノロジーそのものが、「ディスラプター」になる可能性も高まっているとNECはい。テクノロジーを適正に使っていくためにも、技術者の倫理観や社会課題への理解を高めることが必須になっていると指摘する。

 マーケティングも同じなのかもしれない。

 技術の活かし方をしっかり考えることが求められています

技術を世の中の効率化に使うことで、時間が限られている中で私たちが人間力を磨いたり、こころが通じ合うつながりをつくったりするためにより多くの時間を使うようにすることが大切ということなのだと思います。

快適である(簡単で早く行ける)ことだけを意識すると、人間力を磨くようなことが遠回りで面倒くさい道に見えてしまうのかもしれませんが、そちらの方がこころの豊かさへの近道と言われているのだと思います。(出所:NEC

future.nec

 

 ここ最近、モラル低下や倫理観の欠如によるような事件や報道が増えている気がする。

 東日本大震災の復興事業で、大手ゼネコン「鹿島建設」の幹部が下請け業者から過剰接待を受け、多額現金を受領しながら税務申告していなかった疑いで関係先の捜索を受けたという。こんなこともその一例なのだろう。

 こうした事態に環境省は、日本建設業連合会全国建設業協会に対し、コンプライアンスの徹底を文書で求めたという。それでゼネコン業界に根強く残る悪習を変えることができるのだろうか。

人工知能はできるが人工ハートは出来るか?」

「足るを知る」ということが重要で、そのためにもっともっとという気持ちに警鐘を鳴らすAIは出来るのではないかとも言われています。 (出所:NEC

 AIに頼らずに、人が人として、心の豊かさを取り戻し、人間力、そして、モラルを養っていかなければならないのだろう。

 今の子どもたちはSDGsエシカル消費のことを学校教育で学んでいるという。