地方移住、国も積極的に推進してきた政策だが、コロナ渦で関心が高まっている。
共同通信によれば、国の2021年「まち・ひと・しごと創生基本方針」案がまとまり、テレワークを通じて地方への移住や企業誘致に取り組む自治体を、24年度末までに千に増やす目標を明記するそうだ。
地域住民の利便性向上につながる行政デジタル化や、太陽光、水力など地域資源を生かした脱炭素化も重点施策とし、地方創生を強力に推進する。 (出所:共同通信)
インバウンド・爆買い頼りの地方では、移住するよりは観光で訪れた方がその良さを体感できるのかもしれない。ただそれでは、あまりサステナブルとは言えそうにもない。地方の魅力が再発見されれば、さらに移住が加速するのだろうか。
サステナブルを求めれば求めるほど、その答えは地方にあるのかもしれない。
持続可能な漁業に挑戦する女性をBusiness Insiderが紹介する。記事主人公の女性は、養殖魚への餌やりを効率化させた「スマート給餌機」の設置と運用に取り組んでいる。
「スマート給餌機」にはカメラが搭載され、餌やりの遠隔操作が可能となっている。例えば、沖の生け簀から離れた自宅でも、スマートフォンでリアルタイムで魚の様子を確認し、餌が必要かどうか、判断ができる。
「スマート給餌機」は、労務効率の向上と餌の無駄の削減をサポートしているという。 (出所:Business Insider)
追求すべき効率化はこういうところに存在し、その追求がサステナブルな社会に誘うのかもしれない。
農業も同じように、多くの課題を抱える産業のなのかもしれない。農業人口は毎年減少を続け、それと同時に就農者の高齢化も進んでいるといわれる。
若者が農業から離れる理由に、商業的な魅力がないからだともいわれる。自然相手の農業では、安定的な収入が期待できず、自分の生活が成り立つかどうかに不安を覚える人が多いそうだ。朝早くからの重労働に、休みも充分に取れないなどのマイナスイメージも、農業が避けられる原因となっていると、「minorasu」は指摘する。
社会の変化とともに農業に魅力を感じる若者が減少すれば、高齢化が加速、農業人口は減少の一途をたどり、衰退してしまうこともあるのかもしれない。
国内の産業別人口割合は2015年のデータで、全就業者のうち第三次産業が71.0%で、第二次産業が25.0%、第一次産業は4.0%といわれ、完全にサービス業偏重になっている(参考:minorasu)。
大学生に人気の業種ランキングでは、事務・管理系、医療・福祉系、技術・研究系がトップ3を占め、社会がデジタル化を求めるようになれば、デジタル人材の需要が伸び、さらに一次産業に就労する人口は減る可能性があるのだろう。
地方には切実なペイン、課題とニーズが存在するのだろう。課題解決を促進すれば、そこに雇用が生まれ、地方移住もさらに加速しそうな気がする。この先、産業別人口の平準化をどこまで改善していくことができるのだろうか。中央一極集中であるより、分散型である方が、脱炭素やSDGsの時代に即しているのかもしれない。
伊藤園は、 「茶産地育成事業」を推進し、耕作放棄地での就農支援をする。
そこでソーラーシェアリングなどの併用があってもいいのかもしれない。
くら寿司はオーガニックはまちの養殖を支援する。
こうした企業の取り組みで、つながりが広がれば、地域の魅力も増したりしないだろうか。もしかしたら、こうした延長線上にSDGsが目指すサスティナブルな社会があるような気がする。