JALとANAが6月17日、国産バイオジェット燃料を国内定期便で使用したという。
JALによれば、国産の持続可能な航空燃料「SAF」(Sustainable Aviation Fuel)が品質検査に合格したことで、今回、実際の運航で使用することになったそうだ。
国産バイオジェット燃料が空を飛んだ日
商業化へ向けての最初の一歩、その燃料は、JALの東京国際空港(羽田)発 新千歳空港行、JL515便のエアバスA350-900で、ANAの東京国際空港(羽田)発 大阪国際空港(伊丹)行、NH031便のボーイング787-8に使用されたという。
持続可能な航空燃料「SAF」とは、「ニートSAF」と混合用の化石由来のジェット燃料を混合したものを指す。
「ニートSAF」は、バイオマス原料等を基に製造されたジェット燃料で、化石由来のジェット燃料に一定割合を混合し、航空機に搭載する必要があるという。また、原料及び製造方法により、化石由来のジェット燃料と混合する量の上限が定められており、藻類(Annex7)は10%まで、木質バイオマス(Annex1)は50%まで混合することが可能だという。
国産バイオジェット燃料とは
今回のフライトでは、実証プラントで生産された国産SAFが使用されたそうだ。
JALは、フライトで使用した約8.7klの燃料のうち、藻類由来と木質バイオマス由来の「SAF」を混合し使用した。藻類由来の「SAF」を11%の938ℓ(このうち、「ニートSAF」は1ℓ(0.01%))、木質バイオマス由来は25%の2,195ℓ(このうち、「ニートSAF」は283ℓ(3%))の比率て使用した。
ANAは、伊丹行の便で使用した約5.0klの燃料のうち、 藻類由来のSAFを使用、混合比20%の988ℓを使用したという。このうち、「ニートSAF」は38ℓで、0.8%使用した。ANAによれば、「ASTM D7566 Annex7」の規格に基づく「SAF」の商業フライトは、世界初だったそうだ。
今回のプロジェクトは、NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「バイオジェット燃料生産技術開発事業」の成果として実施された。
この事業には、三菱パワー、JERA、東洋エンジニアリングが参画し、木質バイオマスでの製造技術確立を進めきた。
藻類由来のバイオ燃料は、IHIが光合成により高速で増殖する微細藻類 高速増殖型ボツリオコッカスHGBbを大量培養し,その微細藻類が生成する藻油を使って製造した。
IHIによれば、NEDO事業に2017年から取り組み始め、鹿児島市の施設とタイ サラブリ県に新設したパイロット屋外培養施設を使い、大規模に培養、それからSAF製造までの一貫製造技術の確立を進めてきたという。
NEDOは、今後想定される「SAF」の本格普及に向け、大規模安定製造技術や製造コスト低減に向けた効率的な製造プロセスの確立を目指して、SAF生産研究開発事業に取り組んでいきますという。
低炭素化、求められる持続可能な航空燃料「SAF」
ICAO(国連の国際民間航空機関)は2010年、2020年以降は温室効果ガス(CO2)の排出量を増加させない「CNG2020」を採択した。
これによって、代替航空燃料としての「SAF」や排出権取引制度の活用などが求められるようになった。
航空業界の低炭素化へのアクションがいよいよ本格的に始まったようだ。足下、航空需要が落ち込んでいるこのときに、「SAF」、国産バイオジェット燃料が加速すればいいのだろう。早期に大量生産にこぎつけてもらいたい。
ユーグレナとは競合ということであろうか。それとも協力できることは協力する、そんな関係づくりができるのだろうか。今後の進展が気になる。
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