国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書が来年2022年2月に公開予定といいます。その草稿をAFPが独自に入手、その内容を伝えています。
「最悪の事態はまだこれからだ。われわれの子どもや孫の生活への影響は、現在われわれが受けているものを大きく上回る」
IPCCはこの中で、種の絶滅、疾病のまん延、命を脅かすほどの酷暑、生態系の崩壊、都市に迫る海面上昇の脅威といった気候変動による破滅的な影響は加速しており、今生まれた子どもが30歳になる前に、明らかな影響が出てくるのは避けられないと指摘している。 (出所:AFP BB NEWS)
AFPによると、報告書の草稿では、気温上昇が1.5度以上となるだけでも「数世紀に及ぶ、着実に深刻度が増す影響を引き起こし、不可逆的な結果を生むこともある」と指摘、「気温上昇が1.5℃に抑えられたとしても、多くの生物が適応できる範囲以上の環境変化がある」としているそうです。さらに気温の上昇幅が2℃になると、生命の危険がある極度の熱波に見舞われる人は4億2000万人増えるそうです。
ゾッとしそうな内容になるのでしょうか。温暖化の抑制を真に急がねばならないようです。
紙関連産業の一大集積地で、「紙のまち」として知られる愛媛県四国中央市では、大手製紙メーカー2社が、「カーボンニュートラル協議会」を設立、協力して2050の二酸化炭素の排出ゼロを目指すことになったといいます。この協議会を設立したのは、四国中央市に本社を置く、業界4位の大王製紙と7位の丸住製紙です。
NHKによると、製紙業界の2019年度の二酸化炭素排出量は、2100万トンで、産業部門全体の5.5%を占めているといいます。製造業の中では「鉄鋼」「化学工業」「機械」「窯業など」の次に多くなっています。環境白書でも、製紙業界を脱炭素が困難な産業のひとつにあげていました。
製紙業界全体では、必要なエネルギーのおよそ9割を自家発電でまかなっているそうです。紙をつくるためには、その乾燥のために膨大な熱エネルギーが必要とするです。自家発電で得られる熱を有効活用しているそうです。
「今後の地球温暖化対策のモデルケースになりうるものだ。多くのハードルがあるが、新技術の挑戦など緊密に連携していきたい」と、今回の協力を、大王製紙の若林社長が述べているそうです。
技術面、そして、費用面でも困難な問題であっても、業界内で協力すれば、もしかしたら問題解決が図ることができるのかもしれません。新たな潮流になればいいのかもしれません。
スポーツブランド、スニーカー業界では、ライバル関係にあるアディダスとオールバーズがコラボして、カーボンフットプリントを低減した商品を開発しました。
このコラボレーションでは技術や素材を共有することで、1足あたり2.94kg CO2e (二酸化炭素換算 )の新しいランニングシューズ「FUTURECRAFT.FOOTPRINT (フューチャークラフトフットプリント)」が誕生したといいます。
カーボンフットプリント「2.94kg CO2e」とは、従来のランニングシューズ adizero RC3の測定値 7.86kg CO2eと比較し、63%も削減されているそうです。
開発チームは大陸間の時差を越え、開発から納品までの作業をデジタルで行い、カーボンフットプリントを抑える開発プロセスを採用しました。
アディダスとオールバーズの各チームは、プロダクトデザイン、素材イノベーション、サステナビリティ、サプライチェーンの全てにおいて分析的な手法を用いながら、あらゆる構成要素とプロセスの見直しを行いました。
パフォーマンスを損なうことなく、可能な限りカーボンフットプリントを抑えるフットウェアを製造するという共通のビジョンを追求した結果、わずか12ヶ月の間に素材、製造技術、パッケージに至るまで全てを再考することに成功しました。 (出所:オールバーズ)
このシューズは今年2021年5月、100足限定で発売されたそうです。今年2021年秋冬に10,000足限定で一般販売され、2022年春夏にはさらに拡大していくそうです。
「脱炭素」時代のイノベーションのあり方のような気がします。互いの知見と技術を共有する、それで開発費用が抑制できる。そして、途轍もなく脱炭素にも貢献できる商品ができれば、なおさらなのでしょう。
人類共通の大きな気候変動の解決に、1社単独で立ち向かうよりは、こうした協力のもと、進めていくべきなのかもしれません。
「関連文書」
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