Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【循環型社会へ】動き出す「サステナブルファッション」、業界団体を結成へ

 

「脱炭素」に動きだした国際社会。各国の競い合いが始まっているのでしょうか。

 差し当たっての目標はパリ協定で定めた1.5℃目標。2050年のカーボンニュートラル達成が各国の共通認識になり(中国は2060年としていますが)、その達成のための中間目標となる2030年までの目標と行動計画でしのぎを削っているというところでしょうか。

 様々な新たな価値が一気に立ち上がろうとしています。様々な議論が一気に立ち上がり、どれが社会に定着し、現実に脱炭素社会に貢献するのだろうかと感じることもあります。たとえるなら、ほんとうに水素社会は実現するのだろうかと。2050年、遠いようで近い未来。そのとき、水素はどれだけ現実の社会で脱炭素に貢献することになっているのでしょうか。そればかりでなく、循環型社会やクルマの電動化などなど.....

 

ファッションと循環型社会

サステナブルファッション」を目指す業界団体を8月初旬に設立されるそうです。

 WWD Japanによれば、環境省が7月20日に発表し、9月初旬には他の企業にも参加を呼び掛け、11月に第一回総会を行うといいます。

 この業界団体は、「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」を目標にするそうです。

www.wwdjapan.com

 現在、参加を表明している企業は、アダストリア伊藤忠商事倉敷紡績ゴールドウイン帝人フロンティア東レ、豊島、日本環境設計、ユナイテッドアローズで、アシックスは賛助会員として参加し、事務局は、ユニステップスと伊藤忠ファッションシステムが担うそうです。

「いいたいことが2点ある」と、東レの寺井秀徳・繊維GR・LI事業推進室長が会見で述べたとWWD Japanが伝えます。

1点目は、今後、リサイクルやバイオをうたった衣料品がますます増えていくが、は消費者に見える化する意味でも、それらの成分含有率を表示する制度を構築していきたい。

2点目はファッションロスゼロのためにも重要となる繊維to繊維のリサイクルに関して、ファッション業界全体で取り組む体制を構築したい。高コストになるケミカルリサイクルに関して、税制や助成面での政府のご支援をお願いしたい。(出所:WWD Japan)

 これに対し、小泉環境相が、「(東レの)寺井さんからは見える化と税制優遇の話の具体的な政策提言があった。ファッション分野の政策につながる提言をしてもらうことがこのアライアンスの大事な役割だと思う。そういった意見を形にできるようにしたい」とコメントしたといいます。

 

 

 ファッションにおいて、バイオ素材やリサイクル素材への転換を押し進ようとすれば、素材メーカの力によるところが大きくなるのでしょうか。

 従来の設備をそれに対応させるためには刷新が求められる。そこに需要が生まれつつあることは理解できても、いざ投資の段となると、まだ二の足を踏む、強力なインセンティブがあれば.....との印象を東レの発言から感じます。

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 鶏が先か卵が先かの論理のような気がします。世の中が脱炭素に注目し、ESG投資が主流になりつつあります。企業もこの流れを無視できないはずです。自ら仕掛け、サステナブルファッションの需要を作り、その成長に合わせ、設備していくしかないように思えます。投資回収ということからすれば、サステナブルファッションがラグジュアリー、高級品になってしまうということなるのかもしれません。もしかしたら、東レにはそれについての疑問や苛立ちがあるのでしょうか。

 今までは個社で進めてきた「サスティナビリティ」を業界団体として推進できるのなら需要を大きくすることができるかもしれません。政府施策ばかりに頼るのでなく、業界団体としてどれだけ消費者に訴えかけることができるのか、それにかかっているような気もします。

 団体が目標とする、「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」は実現することはできるのでしょうか。

 生半可の努力では実現しないのかもしれません。現状の経済を否定するくらいの勇気が必要になっているのではないでしょうか。ただ潜在需要は確実にあるように思われます。