Amazon.com 元CEOのジェフベゾス氏が、自身で創立したブルーオリジンの宇宙船「ニュー・シェパード」で宇宙旅行したそうです。
その旅行を終え、地球に戻ってきてからの会見で、「宇宙に行った人は誰もが、それによって自分が変わったと語る。地球とその美しさだけでなく、そのはかなさに驚嘆し、畏敬の念に打たれる、と。私もそれは断言できる」と述べたといいます。
地球の大気は地上では「とてもたくさん」あるように感じるが、宇宙から見ると「実際にはとても薄いことが分かる。
とても少なくてもろいもので、私たちは地球を動き回る中でそれを傷つけているとし、「それを頭で理解することと、実際にこの目で見ることは別物だ」と語った。 (出所:AFP BB NEWS)
宇宙から俯瞰すれば、ひとつの事実も違った見え方をするのでしょうか。
一方、イタリア ナポリではG20の気候・エネルギー相会合が開催されていたそうです。その場で「石炭火力発電の縮小や廃止」について議論したそうですが、具体策や数値目標などの合意に至らなったといいます。10月に開かれるG20首脳会合に持ち越したと日本経済新聞が報じています。
石炭が地球温暖化の主な原因であることは頭で理解はできても、自国の利益を優先すれば、即時廃止についつい反対してしまう。
「みんなのためを考えず、自分ひとりの利益ばかりを考えれば、人から欲しいものを奪い取らないと満足できなくなる」
本来、経済活動は、社会のためになるというルールや道徳に基づかないと、理解されず、活動自体が長続きしなくなってしまいます。
しかし、そのルールが高貴すぎて現実的でなければ、それがもとで生産力は低下し、国力を失わせることにもなりかねません。 ある意味では、「自分たちの利益」を優先させるという誘因がないと成り立たないのかもしれません。
そうはいえ、今ある現実や世の中の空気、事情を読まずに、自分さえ良ければとなれば、因果応報、必ずその罪を償わされることになってしまうのかもしれません。これは一般的に言える道理なのではないでしょうか。
他人を犠牲にしてまであげる利益ほど無意味なことはないともいえそうです。
物事解決には優先順位があるのかもしれません。国ごとに抱える事情は異なります。この違いを理解した上で、問題解決のストーリーを共有する必要があるのでしょう。
気候変動の問題を解決したいと欲望をみなで共有する一方で、「自国の利益」も尊重する。
理想論に寄り過ぎれば空論となり、自分の利益ばかりを優先すれば分断を招く。いつ何時もバランスが求められているのでしょう。
JFEホールディングスが、洋上風力発電設備の着床式基礎製造のための新工場に投資するそうです。JFEホールディングスはその意義を次のように説明します。
政府は、2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を揚げ、洋上風力発電は再生可能エネルギー主力電源化の切り札として期待されています。
昨年12月に発表された「洋上風力産業ビジョン(第1次)」においては、2040年までに30~45GWの案件形成と国内調達比率を60%にする目標が示されました。
当社がモノパイル式基礎の国内製造事業に着手することは、この政府目標の達成に大きく寄与するものとなります。 (出所:JFEエンジニアリング)
JIJI.COMによると、JFEの他にも東芝や住友金属鉱山、信越化学などが設備投資し、政府の「脱炭素政策」に貢献するといいます。
気候変動対策に立ち向かい、地球温暖化を防止するという課題解決を図ることが目的になっていないことに、 少しばかり戸惑います。動機が整理されていないように感じます。
人というのは往々にして、その仕事が自分の利益には関係のない他人事だったり、儲かっても自分が幸せにならず、損をしても不幸せにならなかったりすれば、その事業に全力で取り組もうとしない。ところが自分の仕事であれば、この事業を発展させたいと思い、実際に成長させていく。 (引用:「論語と算盤」渋沢栄一 P88)
自分たちの仕事が気候変動対策になるとの強い信念があれば、政府のためではなく、もっと積極的に海外進出し、遅れている国を支援しようとの気もおきるのではないでしょうか。
「参考文献」