Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【SDGsとコロナ渦】それでも旺盛な消費意欲、日本製紙釧路工場は紙・パルプ生産から撤退

 

 出口が見えない新型コロナ、そんな中、2021年4-6月期のGDP 実質国内総生産の速報値が前期比年率で1.3%増になったといいます。2四半期ぶりのプラス成長だそうです。GDPの構成要素である「個人消費」も2四半期ぶりにプラスに転じ、前期比0.8%増となったといいます。

「私にとっては非常に複雑な思い」と、西村経済再生相が話したそうです。

 

西村再生相は、4-6月期は大型連休の大規模商業施設休業やイベント無観客化など経済活動を制限することで感染を抑えようとしたと説明。

政府の要請にもかかわらず若者を中心に「旺盛な消費意欲」があり、「人流が減らない」と話した。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 若者を中心に「旺盛な消費意欲」、致し方ないことなのかもしれません。抑制を求められる期間が長くなればなるほど、その反動が大きくなるのでしょうか。自然な成り行きなのかもしれません。

 SDGsが学校教育にも取り入れられていると聞きます。消費を少し抑えようとの意識付けにつながっていけばと思うのですが、なかなか定着しないということなのでしょうか。 

 

 ブルームバーグによると、西村再生相が感染拡大が長引くことで「中途半端のままに進んでいくことが経済にとっても非常に良くない」と述べたそうです。当面は「感染拡大を抑えることを最優先に取り組んでいきたい」と話したといいます。

「厳しい感染対策を取る一方、今年度3.7%のプラス成長を実現し、今年中にコロナ前の経済水準を回復する見通しを維持する」

字面からすれば、まずは感染対策、可能な限り新規感染を抑制してから、経済対策でGDPの目標達成とのシナリオに読めますが、現実のアクションとはギャップがありそうです。

 GDP経済指標は好転するが、感染拡大に歯止めがかからない、これほど明確に結果が現れていることもないのでしょう。こうした雰囲気が若者を含め社会全般に、無意識下に伝播した結果なのでしょうか。

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 そんな中、大手製紙メーカー日本製紙が、釧路工場での紙・パルプの生産が16日で終えたといいます。

日本製紙」釧路工場は大正9年に操業を開始し、およそ100年にわたって新聞用紙などの生産を続けてきました。
しかし、デジタル化の進展や新型コロナウイルスの影響などで紙の需要が落ち込み、去年11月、紙・パルプ事業から撤退する方針を決めました。そして、16日午前、紙を作る「抄紙機」2台を止めて、生産を終えました。 (出所:NHK

 日本製紙によれば、新聞用紙および印刷用紙の需要は、従来からのIT化の進展により構造的な減少が続き、それに加え、新型コロナの感染拡大による経済活動の停滞に伴い、大きく減少したといいます。そして、今後も需要減少が進んでいくことをと想定、今回の釧路工場での紙・パルプ事業からの撤退に至ったと説明しています。

 時代の移り変わりを感じます。紙・パルプ事業は鉄鋼などともに産業界において多量に二酸化炭素を排出する産業のひとつです。紙需要の減退が脱炭素に貢献していくことになるのでしょうか。

 これを偶然の出来事にしてはならないのでしょう。地域での雇用の問題が絡む難しい問題ですが、消費が抑制されれば少なからずとも脱炭素の貢献になることを学ばなければならないのかもしれません。

 

 鉄鋼産業にも変化の兆しがあるのでしょうか。

 日刊産業新聞によれば、国内の高炉メーカーも上級スクラップの買いを強めており、鉄スクラップ相場が押し上っているといいます。世界的な脱炭素の流れから、環境への負荷が少ない製鋼原料とされる鉄スクラップへの評価が高まっているといいます。

 鉄はリサイクルのチャンピオンといわれます。国内でリサイクル活用が進めば、脱炭素への貢献が期待できそうです。

 GDPが永遠に右肩上がりで成長を続ける必要があるのでしょうか。一時的な減速はごく自然なことに思われます。影響を受ける産業にとってはひどく厳しいものでしょうが、ある環境下で需要がなくなるのは自然な流れであって、それを変に刺激するから歪な構造が生まれるのでしょう。

 新陳代謝もまた自然なことではないでしょうか。古きもののにすがっては、新しいものに変わることはなく、いつまでもたっても持続可能な社会は実現できないような気がします。